症状レベルが鍵に!歯肉炎に効く3つの薬と今からでも間に合うセルフケア方法

「歯を磨くと血が出る…」、「歯茎が赤く腫れている」等、歯茎の状態が良くないことは、歯医者さんに行かずとも分かりますよね。これは、歯肉の炎症であり、歯周病の初期段階になります。悪化してしまうと歯周炎や歯槽膿漏という重度の歯周病になる危険性もあります。

歯肉の炎症は毎日の歯磨きを改善するだけでも治すことが可能です。歯肉炎の9割が自宅で治す事が可能と言われています。さて今回の記事では、歯肉炎に効く薬の紹介だけでなく、すぐに始められるセルフケア方法についても紹介します。

この記事の目次

1.歯肉炎に効く、使い方が違う3つの薬

1-1歯ぐきに直接塗る歯槽膿漏薬

塗るタイプの歯槽膿漏薬は口内炎や歯槽膿漏に有用です。歯周ポケットに直接指で塗りこむタイプと、抗炎症成分のグリチルリチン酸二カリウムや、組織修復成分のアラントインといった成分が腫れや出血を抑えます。使用感は、スーっとした爽やかな感覚で、1,100円前後で購入できます。

1-2フッ素配合ジェル歯磨き粉

ジェル状の歯磨き粉で、フッ素が配合されているので虫歯予防にもつながり、研磨剤が含まれていないので歯の表面を傷付ける心配もありません。その商品の中でも、高い殺菌作用の塩酸クロルヘキシジンや、抗炎症成分のグリチルリチン酸二カリウムが含まれているものは、当該成分が歯茎に浸透していく事で腫れを治めていく作用があります。1,100円前後で購入が出来ます。

1-3殺菌力の強いうがい薬

近年、殺菌力の強いうがい薬も販売されています。殺菌作用の高いCPC(セチルピリジニウム塩化物水和物)や、抗炎症成分のグリチルリチン酸二カリウムが配合されていて炎症を抑えています。清涼感があり、スッキリとした感覚になります。値段は1,400円前後で購入できます。

ドラックストアやネットで購入する際、「歯肉炎」をうたった商品はなかなかありませんよね。歯周病や歯槽膿漏のキャッチコピーの商品を探すか、在籍する薬剤師の方へ質問するのが良いでしょう。さらに良い手段としては、歯医者さんにて歯周ポケットの状態の精査をしてもらい、症状に合わせて治療を行うことです。

※口腔内の状態は人それぞれです。詰め物や被せ物の不具合で歯周病を進行させてしまっている場合や歯ぎしり、噛み合わせ、又はストレス、睡眠不足から感染している可能性もあります。セルフケアが無駄にならぬように、出来るだけ早めに歯医者さんへ相談することをおすすめします。

2.自宅で始められる歯肉炎を治す方法

2-1歯磨きのやり方を改善する

歯肉炎を治す方法として、大切なのが歯磨きを正しく行うことです。歯肉炎にはバス法という歯磨きのやり方があり、歯と歯茎の間の歯周ポケットの汚れを効率的に落とせます。大事なポイントは、1本ずつ丁寧に磨く事です。食べカスが残っていると、歯茎が炎症を起こして歯肉炎になってしまう恐れがあります。

★バス法のやり方

①歯ブラシを歯に対して45度になるようにあてる
②2ミリ程度の振動幅で小刻みに磨く

歯ブラシをギュッと握らず、えんぴつを握る感覚で磨いていきましょう。詳しく歯磨きのやり方について知りたい方は「知らないともったいない!正しい歯磨きのやり方」を参照下さい。

2-2歯磨きとデンタルフロスを併せて使用する

デンタルフロスは歯垢を除去するのに、有効なデンタルグッズの1つです。

デンタルフロスとは、歯と歯の間の汚れを清掃する糸のことを言います。歯垢除去率が歯ブラシだけを使用した場合だと約60%に対して、デンタルフロスを併用することで約80%まで上がります。多くの歯医者さんが愛用しており、近くの薬局で購入する事が可能です。バス法とデンタルフロスを行うことで歯磨きの質を大きく変えることが出来るのではないでしょうか。

 

デンタルフロスの使い方に関しては「初めて使う方は見て下さい、デンタルフロスの正しい使い方」を参照下さい。

3.歯肉炎が悪化すると歯槽膿漏になる

歯肉炎の症状として、出血や歯茎が赤く変色する等があげられます。歯肉炎が悪化すると、歯周炎という状態になり、赤みが増して、歯茎の下がり、隙間が見えてきます。さらに悪化すると、歯がぐらぐらしてきて痛みが続き、臭いも発生するようになります。

4.重度の炎症には市販の薬が効きません!

歯周病は虫歯菌が歯茎に炎症を起こし、周囲の組織を破壊する細菌による感染症です。ですので、そもそも歯周病に対する薬はありません。薬を塗布することで、歯周病の炎症を改善すること出来るため市販の薬は一次的な処置薬と言えるでしょう。

軽度の歯周病であれば、腫れ等を改善することが出来ますが、重度の歯周病であると既に歯茎と歯を支える骨が弱ってしまっている可能性がありますので、最悪は手術・入院になり得ます。

歯磨き時の出血は気になるが、痛みがないためセルフケアのみで終わらせようと思っている方は危険です。健康な歯茎であれば、出血することはありません。出血は炎症で敏感になっている歯茎破損になりますので、出来るだけ早めに歯医者さんにてメンテナンスを行いましょう。

5.歯周病初期段階は自覚症状がない

成人の約8割が歯周病にかかっていると言われています。「今まで虫歯になったことがないから大丈夫」と油断しているアナタも注意した方が良いでしょう。虫歯は歯を溶かす病気であり、歯周病は歯茎と歯を支える骨等の周囲の組織を細菌によって破壊する病気であるため、虫歯と歯周病はまったく別物です。虫歯がなくとも最低でも3ヶ月に1度の定期検診をおすすめします。

6.まとめ

歯肉炎は、初期段階であれば毎日の歯磨きでも一次的に治す事が可能です。歯肉炎は、歯周病の初期状態ですが、悪化すると歯槽膿漏になる危険性もあります。定期検診に加え、毎日の歯磨きの質を改善してみてください。歯肉炎に効く薬を併用する事で、よりアプローチできるので試してみましょう。

先生からのコメント

他にも歯間ブラシは30歳超えたらマストと思っていただいてよいと思います。私が歯周病を一番わかりやすく説明する時に口が臭くなる病気と説明しています。口が臭い病気は誰でも嫌ですよね。清掃補助器具をもちいてしっかりとお口の中をきれいに保ってください。うがい薬やの効果も汚れが残っているお口の中では十分な効果が発揮できません。

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。