抜く前に知っておこう!親知らずと顎関節症の関係について

顎がカクカクと鳴る、口が大きく開けられないなど、顎関節症が疑われる場合、親知らずが原因となっていることもあります。しかし、顎関節症の原因はさまざまで、生活習慣などが複合的に合わさって、その原因となっていることも多いのです。

親知らずの抜歯が顎関節症の解決策だと自分で即断せず、医師との相談が必要となります。親知らず自体も、すぐに抜歯すべきものもあれば、抜かない方が良いというケースもあるのです。

また、抜歯後に顎関節症になる場合もあるので、親知らずと顎関節症の関係をよく把握しておくことが大切です。

この記事の目次

1.親知らずと顎関節症の関係3つのパターン

親知らずと顎関節症には3つのパターンがあります。親知らずが顎関節症の直接的な原因となっているケース。親知らずを抜歯後に、顎関節症を引き起こすケース。そして、親知らずとは直接関係がなく、顎関節症となっているケースです。

1-1 親知らずが原因となる顎関節症

噛み合わせが悪くなり、片側だけで噛んだり、顎の負担が偏ると顎関節症を引き起こすケースがあります。さらに、原因を突き詰めると、親知らずがその原因となっていることもあります。

特に、親知らずが奥歯を前方に押すような形で生えてきている場合には、歯並び全体を歪めて、顎関節症を引き起こすケースがあります。

1-2 親知らずの抜歯後に額関節症になるケース

親知らずの抜歯が原因となって、顎関節症につながる場合もあります。親知らずの抜歯後には、炎症が起こるので、2日から1週間くらい腫れや痛みが続くものです。しかし、親知らずの抜歯後の炎症を悪化させてしまうと、顎関節症を引き起こすこともあります。

1-3 直接的に関係のないケースもある

顎関節症は、偏った咀嚼、顎への恒常的な負担、悪い姿勢や寝相など、生活習慣が主な原因となります。さらに、そうしたさまざまな要因が、複合的に重なって顎関節症という形で現れるケースも多く、親知らずが顎関節症の直接的な原因でない場合もあります。

2.親知らずの抜歯=顎関節症の改善とは限らない

顎にどこか違和感がある。親知らずも生えてきている。しかし、抜けば直ちに治るのかといえば、そうでないこともあることを知っておきましょう。親知らずの抜歯=顎関節症の改善とはならないケースもあるのです。

2-1 顎関節症の原因はさまざま

前述したとおり、顎関節症は生活習慣の複合的な要因が重なって、現れるケースが多く、特定の要因だけを取り除けば、すぐに改善されるものではありません。多くの医師を転々としても、なかなか治らない慢性的な症状に悩まされている人もいるのです。

食いしばりや歯ぎしり、偏った咀嚼、悪い姿勢や寝相など、こうしたさまざまな悪い生活習慣が積み重なって、引き起こす場合が多いということを知っておきましょう。

2-2 親知らずの抜歯でも改善しないケース

親知らずが顎関節症を引き起こす一因となっていても、複合的にさまざまな要因があるのならば、親知らずを抜歯しただけでは顎関節症が改善しないケースもあります。生活習慣全体を見直し、複合的な要因を改善するトータルなセルフケアが必要となります。

2-3 歯科口腔外科にまず相談を

親知らずがあるから顎関節症になっていると自分で判断せず、生活習慣も含めた広い視野で、その原因を探るべきです。顎関節症はまず歯科医院に相談すべきですが、特に歯科口腔外科のある歯科医院にまず相談してみましょう。

3.親知らずを抜歯する判断基準について

顎に違和感を感じるからといって、親知らずが原因であるとは限りません。とはいえ、顎関節症の直接的な原因でなくても、抜いた方が良い親知らずもあります。逆に抜かない方が良い場合もあります。

3-1 抜歯が必要なケース

歯並び全体を歪めてしまう場合

親知らずが上に向かって生えず、奥歯を前方に押すように生えてしまう場合は、歯並びを歪めるので、抜歯が必要です。

歯としての機能がない場合

上下の歯が噛み合わず、歯としての機能を満たさない場合は、やはり抜歯が必要です。ブラッシングが届かず磨ききれない親知らずは、虫歯になることが多く、早めに抜歯するのが望ましいと言えます。

3-2 抜歯しなくても良いケース

奥歯として、しっかりと機能している場合は、抜歯する必要がないこともあります。上下の歯と噛み合わせができていて、食べ物を咀嚼できるのであれば、無理に抜く必要はありません。

3-3 抜歯してはいけない場合

レアなケースですが、親知らずを抜いてはいけないというケースもあります。奥歯は隣接する歯が強く支え合っており、奥歯がグラグラしていたり、弱っている場合に、親知らずを抜いてしまうと、そのお互いの支えを失ってしまうことがあるからです。

3-4 顎関節症治療のための抜歯は慎重に

顎関節症の自覚がある場合でも、まずは、親知らず自体のあり方として、それがすぐに抜くべきものなのか、抜かなくても良いものか、あるいは抜かない方が良いものかを知る必要があります。

顎関節症改善のために、自己判断で親知らずを抜くということは避けたいところです。歯医者さんに相談して正しい判断を仰ぐようにしてください。

4.親知らず抜歯後の顎関節症には要注意

これまで、顎関節症の経験がなかった方でも、親知らずの抜歯後に顎に違和感を感じる場合もあります。親知らずの抜歯後は、しっかりとケアをして、顎関節症を招かないように注意しましょう。

4-1 抜歯後の炎症悪化に気をつけよう

親知らずの抜歯後は、1周間程度で炎症がおさまってきます。しかし、抜歯後2週間以上、痛みや腫れが続くようであれば、顎関節症に要注意。炎症が悪化することで、顎関節症を引き起こすケースがあるからです。

4-2 歯磨きの注意点

抜歯直後は、歯茎の傷を刺激しないよう、患部周辺の歯磨きは控えるようにすることが肝心です。抜歯後、1週間くらいであれば、歯磨きをしなくても大丈夫。強く口をゆすいだりといったことも避けて、安静に保ちましょう。

4-3 食事で気をつけたい点

歯茎に強い刺激を与えるような固い食べ物や辛いものは避けましょう。また、アルコールの摂取は出血を助長するので控えたいところ。歯茎に負担をかけないような柔らかいメニューを心がけるのがよいでしょう。

5.まとめ

親知らずと顎関節症の関係をよく知ることで、自分勝手な思い込みによる親知らずの抜歯は避けられます。顎関節症かな?と思ったら、親知らずがあることも伝えつつ、歯科口腔外科のある歯医者さんで、その原因について診断してもらいましょう。もちろん、顎関節症とは直接的に関わらないとしても、親知らず自体、抜くべきかどうかも診てもらう必要があります。

経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。