虫歯や歯周病、日頃の習慣で歯がボロボロの場合の治療法

虫歯や歯周病、日頃の習慣で歯がボロボロの場合の治療法

軽度の虫歯なら削って詰めるといった軽い治療で済みますが、激しい痛みや歯が溶ける、虫歯が骨の近くまで達しているなど、ボロボロといえる状況ともなると、複雑な治療が必要です。時にはそれらを複合的に行うこともあるでしょう。

歯がボロボロだと、どんな治療をされるのか不安ですよね。歯医者さんに「こんなになるまで放置して!」と怒られるのが怖い方もいるでしょう。

でも、そんな不安や心配より、一刻も早く歯医者さんで治療を受けることが大切です。この記事では、代表的な治療法と歯が悪くなる原因や解決策を紹介しています。ぜひ治療前の参考にしてみてください。

この記事の目次

1.歯がボロボロになった場合の治療法

歯がボロボロになる原因として虫歯や歯周病が挙げられます。歯がボロボロになるようなひどく悪化したような状態では、治療内容も難しくなってきます。この章では、ボロボロになった歯に対する治療法について紹介していきます。

1-1 虫歯治療

虫歯が神経まで達した場合の歯の根の治療

虫歯が神経まで達すると、噛んだときに強い痛みがあったり、甘いものや冷たいものがしみたり、歯茎が腫れたりもします。その場合、一度汚染された神経や血液を取り除き、それらが入っていた管(根管)を消毒して薬を詰める「根管治療」が必要となります。

根管治療は精密な作業で、少なくとも2〜3回は通院する必要があるでしょう。しかし、うまくいけば重度の虫歯も抜歯せずに残せます。根管治療で治らない場合は、歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)や再植術、歯根分割術などが行われます。

セラミックによる詰め物や被せ物を施す

セラミックで詰めものや被せ物をすると、自然な見た目にできるうえ、汚れにくく長持ちします。なかでも、まったく金属を使わないオールセラミックは天然歯のような透明感をもち、金属アレルギーの心配もありません。

虫歯治療や費用について詳しくは下記を参考にしてください

『進行度や状況に応じた虫歯治療と痛みを抑えた治し方』

『歯根治療の方法と費用、治療中や治療後の痛みの原因と対策』

1-2 歯周病治療

歯周病によって歯がボロボロになるケースがあります。歯茎から血が出る、赤くブヨブヨ腫れている、歯がグラグラ動くなどの症状があるなら、重度の歯周病かもしれません。

歯周病は、歯と歯茎の間に細菌が侵入し炎症を起こす病気で、悪化すると歯を支えている骨(歯槽骨)が溶け、歯が抜けることもあります。

治療は歯ブラシやデンタルフロスで歯垢を取るプラークコントロールが主ですが、歯科衛生士が専用器具で歯石を取るスケーリングも行われます。

また、歯石除去にかかる費用はおよそ「3500円」といわれています。

歯石除去の費用について詳しくは下記を参考にしてください

『歯とお口の健康を守る歯石除去の費用、実は意外と安かった!』

重度の歯周病には、外科治療が必要です。フラップ手術では、歯茎を切開して奥深くにある感染部分を取り除きます。そのほか必要に応じて、腫れた歯茎を切り取る歯肉整形術、歯槽骨の一部を削り取り表面を滑らかにする歯槽骨整形術、歯槽骨の再生を促す歯周組織再生療法などが行われます。

1-3 虫歯や歯周病で歯を抜かなければならない場合

今はなるべく歯を残す方向で治療が行われますが、どうしても治せない場合や、その歯が周囲に悪影響を及ぼすような場合は抜歯もありえます。また、抜歯後は、状況に合わせて元のように噛むための治療を行います。代表的な治療法は以下の3つです。

ブリッジ

抜いた歯の両脇にある歯を柱にし、人工の歯を橋のようにかけます。ブリッジは、失った歯が1〜2本でその両脇に健康な歯が残っていることが条件です。見た目がよく、しっかり噛めますが、土台となる健康な歯を削らなければなりません。

ブリッジの費用について詳しくは下記を参考にしてください

『歯のブリッジの費用は?保険適用内から適用外まで徹底紹介!』

義歯(入れ歯)

歯をたくさん失った場合や手術を避けたい場合は、義歯が適しています。義歯はブリッジのように健康な歯を削る必要がなく、取り外しできるためお手入れも楽です。ただし、違和感があったり、見た目が不自然だったりという側面があります。

入れ歯の費用について詳しくは下記を参考にしてください

『入れ歯の費用と性能から考え抜いた選び方のポイント』

インプラント

インプラントは顎の骨にチタンなどでできたネジ(人工歯根)を埋め込み、その上に人工の歯を固定します。治療期間が長く、保険適用外のため高額ですが、この3つの中でもっとも自然な見た目と噛み心地を得られます。

インプラントの費用について詳しくは下記を参考にしてください

『いくらかかるの?インプラント“費用”について解説』

1-4 歯並びや噛み合わせを直す

歯並びが悪いと、歯ブラシが届かない箇所ができ、汚れがたまって虫歯や歯周病になりやすくなります。また、噛み合わせが悪いと歯や顎に負担がかかり、虫歯や顎関節症の原因にもなりえます。

現代では目立たない矯正法や痛みの少ない矯正法などがあり、多くの選択肢から治療法を選べます。

矯正の費用について詳しくは下記を参考にしてください

『矯正費用とお支払いプランを明確にするための4つのポイント』

1-5 ドライマウスの改善

唾液には、外からくる細菌などが体内に侵入しないよう防いだり、口の中をきれいに保ったりする働きや、歯の再石灰化を助ける作用があります。

唾液が減るドライマウスでは、口の中で菌が繁殖しやすく、虫歯や歯周病が発生し悪化しやすいのです。原因に合わせた生活習慣の見直しや、治療が必要です。

2.日頃の習慣で歯がボロボロになる原因と解決策

2-1 歯に悪い癖を直す

食べること以外に歯を使うと歯を痛めやすくなります。下記に挙げた癖がある人は、歯をボロボロにする危険性がありますので気をつけましょう。

  • 氷をガリガリ噛む
  • 歯で糸を切る
  • ボトルの蓋を歯で開ける
  • ものを口でくわえる

2-2 タバコを吸う習慣を見直す

タバコを吸う人は虫歯や歯周病になりやすく、治りづらいことも分かっています。喫煙者が歯を失う確率は、非喫煙者の約2〜3倍にのぼるケースがあるということが、「国立がん研究センター」の多目的コホート研究により報告されています。

引用元:http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/331.html

2-3 歯ぎしりや食いしばりから歯を守る

寝ている間やストレスがかかったとき、歯をグッと噛みしめることがあります。誰にでも少しはありますが、過度に食いしばりがあると歯に大きな負担がかかり、歯槽骨が割れるなど歯をボロボロにする原因となることがあります。

歯ぎしりの場合は、正常時に噛む方向とは違う斜め方向などに強い力がかかるので、歯を痛めやすいのです。歯ぎしりや食いしばりの衝撃は、歯医者さんにある専用のマウスピースなどで軽減することができます。

3.歯を守るためのメンテナンス

間食が多いと虫歯になりやすいといわれますが、それは甘いものに虫歯菌のエサとなる糖質が多く含まれているためです。一度に食べる量が少なくても、間隔を空けずダラダラ食べ続けると歯の表面が酸性の状態が続き、歯の再石灰化が滞って虫歯が多発します。

予防策として、歯を健康に保つには、間食はなるべく少なく、食べたあとは歯みがきをしましょう。ダラダラ食べ続けないことも大切です。

3-1 毎日正しい歯みがきを

歯を守るために大切なのは、歯みがきの習慣です。ただし、自分の歯に適した方法で正しくブラッシングしなければ意味がありません。歯医者でブラッシング指導を受け、効果的な歯磨きを習慣化しましょう。

3-2定期検診で虫歯を早期発見

かかりつけの歯医者さんを見つけ、定期検診を受けることも大事です。症状が軽いうちに虫歯が見つかれば、治療も軽く済むのです。

3-3 歯のクリーニング

歯医者で行う歯のクリーニングには、スケーラーや超音波器具で歯の表面の歯石を取るスケーリングや、歯茎より奥深くにたまった歯石を除去するディープスケーリング、歯根の表面についた歯石を取ってなめらかにするルートプレーニングなどがあります。

さまざまな器具を使って全体の汚れを落とし、フッ素塗布まで行う場合もあります。

4.まとめ

歯医者さんは症状が悪化してから行くところではなく、症状を食い止めるためにいく場所です。少しでもおかしいと思ったら早めに受診しましょう。すでに歯がボロボロになっている場合は、治療に数ヶ月から一年くらいかかるかもしれません。

それでも途中で投げ出さないことです。歯医者さんとよく相談をし、無理のない治療プランで、じっくり治しましょう。

経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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