口内炎が歯茎にできた場合の治療法!種類別の知識を総まとめ

口内炎に悩んでいませんか? 場合によっては、何かが触れただけで強い痛みが生じ、食事さえ困難になることもあります。実際、「口内炎が続いて、あまり食事がとれていない」と訴える患者さんもいるほどです。

こちらの記事では、口内炎の中でも「歯茎にできる口内炎」を解説することにしました。「口内炎の種類」「基本的な対処法」など、歯茎の口内炎に関する基礎知識を全般的に扱っています。

この記事の目次

1.歯茎にできる口内炎の種類

口内炎というのは、「口腔粘膜にできる炎症」の総称です。原因・症状によっていくつかの種類にわけられるので、まずは歯茎に発生する口内炎の種類を確認することにしましょう。

1-1 アフタ性口内炎

「口内炎」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「アフタ性口内炎」です。「歯茎」「舌」「唇」「頬粘膜」など、口腔内のあらゆる場所に発生します。外見的には黄白色~灰白色の病変で、周囲との境界線がはっきりしています。大きさは2~6mm程度で、やや窪んでいることが多いです。

アフタ性口内炎の発生部位に物理的刺激を与えたり、刺激の強い飲食物が触れたりすると、強い痛みを覚えます。

1-2 カタル性口内炎

「歯茎」「頬粘膜」などに赤い斑点が生じることから、別名で「紅斑性口内炎」と呼ぶこともあります。境界線が不明瞭な赤い斑点がいくつか現れると同時に、周辺が赤く腫れることも多いです。悪化すると、粘膜表面にひび割れが生じたり、白くただれたりすることもあります。

カタル性口内炎の場合、痛みはほとんど感じません。ただ、周辺が腫れあがってくると、そのあたり一帯が熱っぽく感じられることがあります。

1-3 カンジダ性口内炎

真菌(カビ)の一種であるカンジダに感染することで発生する口内炎です。カンジダ自体は口の中に住んでいる常在菌です。普通なら感染することはありませんが、大きく免疫力が低下しているか、口の中を不衛生にしていると感染する場合があります。

別名で「義歯性口内炎」と呼ばれることがあり、義歯を使用している高齢者に多く見られます。義歯をきちんと手入れしないで使用すると、口腔内が不衛生になり、カンジダ性口内炎を発症するわけです。歯茎を含め、義歯を入れている場所に沿って、白い膜状の病変が生じます。

1-4 アレルギー性口内炎

アレルギーが原因で、口腔内に炎症が生じている状態です。口腔内のアレルギーとしては、詰め物・かぶせ物の金属に反応する「歯科金属アレルギー」が知られています。口の中だけでなく、手足にも症状が出ることがあります。

1-5 ウイルス性口内炎

ウイルス感染によって生じる口内炎です。単純ヘルペスウイルスによるヘルペス性口内炎が広く知られています。「口腔内の水ぶくれ」「唇のピリピリ感」「発熱」などと同時に、歯茎の潰瘍(えぐれたような病変)が現れます。

そのほか、コクサッキーA型ウイルスによる「ヘルパンギーナ」、エンテロウイルス属の複数ウイルスによって発症する「手足口病」なども、口腔内に水疱を生じる感染症です。ヘルパンギーナは口腔内だけですが、手足口病は手足にも水疱が発生します。

2.歯茎にできる口内炎の治療法

それでは、口内炎の種別ごとに「基本的な治療方法」を確認することにしましょう。軽症であれば経過観察でも構いませんが、「症状が広範囲にわたる場合」「2週間ほど経っても改善が見られない場合」「高熱などの全身症状を伴う場合」は医療機関を受診してください。

2-1 アフタ性口内炎

基本的には1週間程度、遅くとも2週間で症状は軽快します。医療機関を受診した場合、修復を早めるために「ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)」「非ステロイド消炎剤」などを用いて炎症を鎮めます。ビタミンBの不足が疑われる場合、ビタミン剤の投与がおこなわれます。

症状がひどい場合、何度も再発を繰り返す場合は、レーザー治療で患部を焼いて治療することもあります。

2-2 カタル性口内炎

1週間~10日で軽快するのが普通です。「物理的刺激」「口腔内の不衛生」などが主な要因なので、口腔内を清潔に保ち、雑菌の繁殖を抑えるようにします。抗生物質の軟膏なども有用です。医療機関を受診した場合でも、原則、対症療法になります。

2-3 カンジダ性口内炎

カンジダ菌は真菌(カビ)の一種なので、治療には抗真菌剤を用います。抗生物質・ステロイドなどを長期連用していると、カンジダ性口内炎を誘発します。抗生物質は真菌であるカンジダには効かないため、ほかの菌が減った結果、カンジダ菌が増加するわけです。

ステロイドは免疫を抑制する性質があるので、感染力が低いはずのカンジダ菌に感染するリスクを高めます。治療に抗生物質・ステロイドを用いる基礎疾患がある場合、医師とよく相談の上で、治療方針を決めてください。

2-4 アレルギー性口内炎

近年、歯科金属アレルギーの認知度が広まっていますが、実際にはそれほど頻繁に見られる疾患ではありません。さまざまな可能性を検討し、それでも、ほかに原因が見当たらなければ、金属アレルギーのパッチテストを受けると良いでしょう。その上で、金属アレルギーが疑われる場合には、口腔内の金属を除去することを検討してください。

2-5 ウイルス性口内炎

ヘルペス性口内炎であれば、抗ウイルス薬で修復を早めることができます。「アシクロビル」「ビダラビン」といった成分を含む内服薬を用います。

ヘルパンギーナ・手足口病の場合、効き目のある抗ウイルス薬が存在しません。「イソジン」「コンクール」などのうがい薬で口腔内を衛生的に保ち、安静にして治るのを待つことになります。いずれも高熱を伴うので、脱水を防ぐためにこまめな水分補給を心がけましょう。

3.まとめ

歯茎にできる口内炎にはさまざまな種類があります。外見的特徴・症状などから、ウイルス性口内炎が疑われる場合は、早めに医療機関を受診したほうが良いでしょう。アフタ性口内炎・カタル性口内炎に関しては、重症でない限り、「自然修復を待つ」「市販薬での症状緩和を試みる」といった対処でも構いません。ただ、症状が悪化したり、気になる点があったりする場合は、迷わず歯科を受診してください。

 

先生からのコメント

もう文字を見ただけで痛いと思う口内炎ですが、ほとんどの方が我慢をしているのが現状だと思います。歯医者さんでもすぐ治るからしばらく我慢ですねぇと伝えることもよくあります。そんななか、最近ではシール型の薬等も進歩して処方することも多くなりました。痛みが強ければ我慢せず相談してみてください。

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。