【教授に聞く】徐々に口内環境が低下、オーラルフレイルとは?原因、対策などを紹介

オーラルフレイルという言葉を聞いたことはありますでしょうか?

身体の衰えの引き金になる口の衰えが、オーラルフレイルという状態だと考えられています。

では、どういった方がなりやすいのか、対策はあるのかなど、東京医科歯科大学・水口俊介(みなくちしゅんすけ)教授に解説していただきました。

※前回の記事「入れ歯の素材の進化!患者さんはどのように義歯を選ぶべきか

この記事の目次

オーラルフレイルとは何か?原因を解説

歯の教科書 編集部

オーラルフレイルとは、どういった状態を指す言葉なのでしょうか?

水口俊介教授

まずフレイルとは、虚弱といった意味合いの言葉になります。虚弱の概念というのは、だんだん弱ってきて、病気になりやすい状態を指していますよね。

そういった兆候が口の中でも起こっているのではないかと提唱されたのが、オーラルフレイルです。

歯の教科書 編集部

オーラルフレイルには、どういった人がなりやすいのでしょうか?

水口俊介教授

高齢になり、社会性が落ちてきて、人とあまり交わることなく、引きこもってしまっている状態の方がなりやすいですね。

口の中なんてどうでもいいやとなってしまい、歯を磨かなくなってしまう。すると当然、虫歯にも歯周病にもなってしまい、歯を抜かなければならなくなってしまいます。抜くために歯医者さんに行く人はまだいいかもしれませんね。

歯が抜けてしまうと、食べられる物も、量も、栄養のバランスも悪くなってしまい、どんどんオーラルフレイルが進行していくんです。

オーラルフレイル対策!地域での支えが重要

歯の教科書 編集部

オーラルフレイルはどのように防止できるのでしょうか?

水口俊介教授

若いときは、唾液がたくさん出ているから虫歯になりづらいかもしれませんが、高齢になるとそうもいきません。

なので、しっかりと歯を磨くということを意識し、習慣づけてください。そうすれば、防ぐことのできる症状だと思うんですよ。

歯の教科書 編集部

オーラルフレイルの対応策として、歯医者さんで行っていることはありますか?

水口俊介教授

我々としては、しっかりとした歯磨きの方法を伝授し、欠損しているところがあれば義歯を入れる、あるいは調整して噛めるようにしてあげるというのが基本的な介入です。

ほかには、舌の運動などを行っている医院もあります。

何より、口の中というのは、普通の活動をしていれば衰えるということはなかなかないんです。なので、みんなで集まれる場所を提案し、そこでよく噛まなければ飲み込めない弁当を出すことで、口内環境の向上に貢献しているグループもあります。

フレイルの概念は、体だけではなく、社会性、メンタルの面も含んでいます。楽しい生活を送りながら、お口の環境を整えておくということがオーラルフレイル予防には大切なんです。

歯の教科書 編集部まとめ

オーラルフレイルは、急な症状ということではなく、徐々にお口の環境が悪くなってしまうことだと分かりました。

原因には、社会とのつながりが薄くなってしまい、口内への意識が低下することなどが考えられるようです。

対策としては、地域ぐるみで高齢者が集まれる場所を提案し、歯磨きなどのケアへの意識を強く持って盛られるようサポートすることが大切になってきます。

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
高齢者歯科学
水口俊介教授監修
経歴・プロフィール

2005年3月~2006年2月:東京医科歯科大学院医歯学総合研究科口腔老化制御学分野 助教授
2006年2月~2008年2月:東京医科歯科大学院医歯学総合研究科全部床義歯補綴学分野 准教授
2008年3月~2013年3月:東京医科歯科大学医歯学総合研究科全部床義歯補綴学分野 教授
2013年4月~:東京医科歯科大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野 教授
現在に至る

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執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。