【教授に聞く】口内細菌を増やさない歯磨きのタイミング!朝起きたらうがいをするべき?

お口の中の細菌はどのように増えていくのでしょう。きれいに歯磨きをすれば増えることはないのでしょうか?

鶴見大学・歯学部・口腔微生物学講座・大島朋子教授にインタビューを行い、口内細菌との付き合い方について考えたいと思います。

また、間食がいけないといわれる理由、食後の歯ブラシのタイミング、朝起きたらうがいをするべきかなど、さまざまな疑問に答えていただきます。

※前回の記事「口内細菌を“0”にしてはダメ!大学教授が教える細菌たちとの付き合い方

この記事の目次

食後は細菌が少ない?細菌は次の食事までに増加

Q1.口内細菌はどのように増えていくんですか?

食事と食事の間、何も食べていないときに“じわじわ”と増えるんですね。

食べるという行為自体は、物理的に歯に食品があたるので、その瞬間は歯から菌が剝がれて少なくなるんです。ですので、食後すぐは菌が減っているんです。その状態で、歯磨きをすると更に少なくなります。

ですが、歯を磨いてきれいなつもりであっても、全ての菌を落としきれているわけではないので徐々に増えていきます。食事をしてから、次の食事までの間に、食べ物からいただいた糖分などの栄養素を取り込んでおいたものを利用して数を増やしていくんですね。

Q2.間食を取ることも細菌が増える原因につながるのでしょうか?

間食の回数が多いと、その度に菌に栄養を与えることになるのであまりよろしくないですね。

例えば、チョコレートを一口食べて歯磨きを繰り返すというわけにはいきませんよね。そうすると、菌たちの代謝が長時間にわたり続いてしまいます。間食の回数は少なくした方がいいと思います。

“食後30分後の歯磨きがいい”は本当?細菌の増え方との関係性

Q3.歯磨きは食事をしてから30分後にした方がいいという話を聞きますが、本当なのでしょうか?

唾液の中には、抗菌物質と脱灰した歯を元に戻すカルシウムの供給成分があるので、30分くらいたってから歯を磨くといいという説もありますね。

ただ私の意見は、やはり“早めに磨いた方がいい”となります。なぜならば、菌が栄養素を取り込むスピードの方が、唾液の作用より勝っていると考えるからです。

なので、早めに歯磨きをして栄養素を取り込んだ菌を減らし、その後で唾液中の抗菌物質やカルシウムの供給を受けるという方がいいのではないでしょうか。

朝起きたらうがい・歯磨きが大切?細菌との付き合い方

Q4.朝は口内の細菌数が多くなっていると聞きます。朝起きたらうがい・歯磨きをするべきですか?

細菌は朝に数が増えているので、朝一番にうがいをした方がいいという意見を聞きますが、菌を飲み込んで胃腸に落ちていくことで健康を害するというエビデンスはないと思います。

逆に、ある一定の微生物と同居することが免疫系の刺激につながると考えていますね。

ですが朝はまず、うがいをした方が気持ちいいと思われるのでしたら、やられるといいかなと思いますよ。

※次の記事「女性は口臭リスクが高い!?原因や口内細菌との関係性を調査。口臭の原因菌は舌にいる?

鶴見大学 歯学部 口腔微生物学講座
大島朋子教授監修
経歴・プロフィール

鶴見大学 歯学部 口腔微生物学講座 学内教授
【略歴】
1993年~2000年:鶴見大学歯学部 助手
2001年~2008年:鶴見大学歯学部 講師
2009年~2014年:鶴見大学歯学部 准教授

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執筆者:歯の教科書 編集部

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