歯肉炎には丁寧な歯磨き!今すぐ始められる歯肉炎の治し方

歯医者さんや歯科検診で、「歯肉炎」と言われたことはありませんか?歯肉炎は歯周病の初期状態の総称で、ひどくなるまで病気と自覚されることの少ない病気です。しかし、放っておくと悪化して「歯槽膿漏」になり、最終的には歯を失う可能性もあります。ここでは、そんな歯肉炎の治し方をまとめて紹介しますので、ぜひ読んでみて下さい。

この記事の目次

1.歯肉炎の症状と毎日のブラッシングで治す方法

「歯肉炎」とは一言で言うと、歯茎がプラーク(歯垢)によって炎症を起こしている状態のことを言います。具体的な症状としては、下記のようなものがあります。

・朝起きたとき、口の中がネバネバする

・歯を磨くと出血する

・歯茎が赤く腫れている

特に歯と歯茎の境目が赤く腫れたように見える、歯ブラシをすると歯茎から血が出るという場合は、歯肉炎である可能性が高いです。

歯肉炎は若者からお年寄りまで幅広い年代で見られ、症状の出る期間は口腔内の細菌の保有バランスによってかなり個人差があると言われています。歯肉炎の原因はプラーク(歯垢)での細菌の繁殖ですので、普段からケアしていくことが大切です。

おすすめの歯磨き方法(スクラビング法)

普段から行えるケアとして、「スクラビング法」という歯磨き方法があります。スクラビング法のポイントは下記です。

・歯と歯茎に歯ブラシの毛を直角に当て小刻みに前後に振動させる

・振動幅は2~3ミリで20回程度振動させる

・歯の裏側で直角にあてるのが難しい場合、45度程度でもOK

この際に1番大事なことは、ストロークの大きな横磨きではなく、あくまでも振動させるように小刻みで動かすということです。また、歯ブラシの毛の一部が歯茎に触れているようにすることも大切です。では、歯肉炎対策ができる歯ブラシや歯磨き粉選びについてみていきましょう。

2.歯肉炎 – 治し方のポイント

2-1. 歯ブラシは先端の細いものを選ぶ

歯肉炎の場合、歯と歯肉の境目や歯周ポケット近くまでできるだけ歯垢を落とす必要があります。そのため、毛先が歯肉の境目に入っていくよう先端が細いものがよいでしょう。しかし、このタイプの歯ブラシは先端の細さゆえに歯の表面を磨く力が弱いので、密にブラシが植毛されているものを選びましょう。

また、デンタルフロス・歯間ブラシなどを使えば、歯と歯の間や溝の部分の歯垢を落とすことができ、歯磨きでは落とせない部分のケアができます。

手磨き用の歯ブラシではなく電動歯ブラシを使われている方もいらっしゃると思いますが、どちらの方が優れているとは一概に言えません。

2-2. 歯磨き粉は発泡剤不使用のものを選ぶ

歯磨き粉には、爽快感を得るために強めのミントや発泡剤などを使用しているものが多いです。こういった歯磨き粉を必要以上に使うことで、口の中が清涼感でいっぱいになってしまい、磨きが不完全でも磨いたつもりになってしまうことがあります。そういったことを防ぐ意味で、発泡剤不使用の歯磨き粉がおすすめです。価格は600円前後で購入できます。

また、炎症がひどい場合は痛くて歯ブラシを使えないこともあります。そのような場合は指につけて直接歯茎をマッサージするように使うタイプもあるので、歯茎の状態に合わせて歯磨き粉を使い分けましょう。歯磨き粉だけで歯肉炎を治すことはできませんが、ご紹介した歯磨き粉とスクラビング法を組み合わせればより効率的だと考えられます。

3.歯医者さんで治療

歯肉炎は歯周病の初期の状態ですが、ほとんどの場合は近所の歯科医院に行けば保険適用の範囲内で治療が可能です。歯垢や歯石を除去し、歯磨き指導をしてもらうことで歯肉炎の再発を予防することもできます。どこの街にもある近所の歯医者さんなら、虫歯治療を中心に行っていても、歯肉炎など歯周病の治療をやってもらえます。また、重度の歯肉炎の場合は抗生物質などの薬による治療や手術療法を行っている歯医者さんもあります。

4.まとめ

歯肉炎の治し方のポイントを整理すると下記になります。

・スクラビング法による毎日の歯磨き

・歯ブラシは先端の細いものを選ぶ

・歯磨き粉はできれば発泡剤を使っていないものを選ぶ

歯肉炎は歯周病の初期段階なので軽く考えてしまいがちですが、症状が進行すると最終的には歯を失うこともあります。また、歯を失うだけでなく実際に口の中の病気が原因で重篤な病気を引き起こし、死亡するケースもあります。毎日の丁寧なブラッシングを心がけ、明るく元気な生活を送って下さい。

経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

執筆者:歯の教科書 編集部

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