歯の詰め物を白く!材質別の特徴と費用のまとめ

いったんは銀歯で治療したものの、「笑った拍子に銀歯が見えているのでは…」と悩む人も多いようです。美容面を考慮するなら、詰め物は白いほうがベターでしょう。近年は機能面・美容面に優れた詰め物も増えているので、「銀歯から白い詰め物に変えたい」という人も多いのではないかと思います。

そこで、こちらの記事では「詰め物のバリエーション」を解説することにしました。それぞれの特徴・費用などを踏まえて、口もとの美容を考える上での参考にしていただければ幸いです。

この記事の目次

1.虫歯治療に使われる「詰め物」の種類を解説!

神経を抜かずに治療できる程度の虫歯治療は、最後に詰め物を入れるのが普通です。多くは「C2:象牙質齲蝕(ぞうげしつうしょく)」までの虫歯が、詰め物で治す形になります。詰め物のことは、「インレー」と呼ぶことも多いです。

1-1 銀歯(パラジウム合金)~保険診療

一般に銀歯と呼ばれているのは「パラジウム合金」の詰め物です。主流となっているパラジウム合金が含有する金属の比率は「銀48%、パラジウム20%、銅17%、金12%、そのほか3%」となっています。

銀歯の特徴まとめ

・銀色なので、外見的に目立つ
・金属アレルギーの原因になり得る
・金属の影響で歯肉が黒ずむことが多い(メタルタトゥー)
・硬いので摩耗しにくい

美容面の問題のほか、近年は「金属アレルギーの原因になる恐れ」が指摘されるようになってきました。もっとも、金属アレルギーにならない人もたくさんいるので、世間で指摘されるほど不安視する必要はありません。

むしろ、着目したいのは「摩耗しにくい」という特徴です。「すり減ってしまわないのは、良いこと」と思うかもしれませんが、むしろ逆です。天然の歯はすり減るからです。天然の歯が摩耗するのに、金属部分が摩耗しない…ということは「徐々に銀歯と天然歯の隙間に段差が生じること」を意味します。段差・隙間ができると、その部分に歯垢が溜まり、虫歯が再発する傾向にあります。そのため、ほかの詰め物に比べて、虫歯の再発(二次カリエス)リスクが高いと考えられます。

1-2 コンポジットレジン~保険適用

コンポジットレジンは、プラスチック樹脂で歯を埋める方法です。型をとる必要がないので、最短1日でレジンを入れるところまで完了します。白い詰め物なので、銀歯に比べると見た目に優れます。

コンポジットレジンの特徴まとめ

・プラスチックなので割れやすい
・強度が低く、容易に摩耗する
・時間が経つと唾液を吸収して変色する
・歯と歯が隣接する箇所には不適

当初はある程度、自然な見た目になりますが、変色しやすいのが欠点です。また、「歯の上部に小さな穴が開いている場合」は適用できる反面、「歯と歯の隙間部分が欠損している場合」には不向きです。

1-3 ハイブリットセラミックインレー~自由診療:3~5万円程度

ハイブリットセラミックは、「セラミックとレジンを混ぜた材質」です。自然な色合いで、天然の歯と見分けがつきにくくなります。そのほか、金属不使用なので「金属アレルギーの原因にならない」というメリットもあります。

ハイブリットセラミックの特徴まとめ

・天然の歯と同程度の硬さ
・歯垢が付着しにくい
・時間が経つと、わずかに唾液を吸収して変色する

レジンが含まれているので、経年劣化により若干の変色が見られます。しかし、銀歯・コンポジットレジンに比べれば、自然な見た目を長く維持できます。

1-4 ゴールドインレー~自由診療:4~6万円程度

白くはありませんが、詰め物のバリエーションにはゴールドインレーも存在します。一般には金歯と呼ばれることもあります。金100%ではなく、金と白金(プラチナ)の合金でできています。

ゴールドの特徴まとめ

・歯と密着するので、虫歯の再発リスクが低い
・天然歯と同じくらいの硬さで、歯に優しい
・身体への悪影響が少ない

見た目は決して自然とはいえませんが、機能面では非常に優れた材質です。人から見えない大臼歯の詰め物なら、検討の余地はあるでしょう。

1-5 セラミックインレー~自由診療:4~6万円程度

オールセラミックのインレーは、全体がセラミックになっています。光を透過する性質があり、もっとも天然歯に近い見た目になります。また、金属不使用なので金属アレルギーの心配もありません。

オールセラミックの特徴まとめ

・割れにくく、耐久性が高い
・歯垢が付着しにくい
・時間が経っても、ほとんど変色しない

唾液を吸収しないので、時間が経過してもほとんど変色しません。自然な色合いを追求するのであれば、オールセラミックインレーがおすすめです。

1-6 ジルコニアインレー~自由診療:5~8万円程度

ジルコニアは、二酸化ジルコニウムという物質です。セラミックの一種で、立方晶(宝石のような結晶)にしたジルコニアは模造ダイヤとして装飾品などに使われています。自然な色合いで、強度も高く、大臼歯の詰め物に適しています。

ジルコニアの特徴まとめ

・強度が高く、耐久性に優れる
・歯垢が付着しにくい
・時間が経っても、ほとんど変色しない

見た目はオールセラミックインレーにやや劣りますが、強度面では勝ります。外から見えづらく、噛む力が重要な大臼歯の詰め物におすすめです。

2.保険適用の白い詰め物は存在しないの?

「小臼歯だけCAD/CAM冠が保険適用になった」という情報から、「小臼歯なら白い詰め物が保険で入れられる」と誤解している人も多いようです。小臼歯の「CAD/CAM冠」は「プラスチック樹脂のかぶせ物」を指しています。

残念ながら、セラミックなどの詰め物が保険適用になったわけではありません。コンポジットレジン充填で対応できない虫歯に関しては、「銀歯または自由診療」という選択になります。

3.まとめ

虫歯治療における「白い詰め物」は、現状、保険のきかない自由診療が中心です。コンポジットレジンで対応できる小さな虫歯でない限り、ある程度の費用がかかってしまいます。ただ、わらったときに正面から見えてしまう小臼歯に関しては、「費用をかけてでも見た目をきれいにしたい」というニーズが高いのも事実です。

幸い、小臼歯は大臼歯より安価な金額になることも多いので、白い詰め物を入れることを検討しても良いのではないでしょうか?

 

先生からのコメント

歯の詰め物やかぶせものに使用するセラミックやジルコニアは、見た目の美しさだけではなく、酸化しないため虫歯発生を抑制したり、金属が溶け出して全身の血管を詰まらせたりするリスクを低減させます。

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。