ある日、自分の歯を鏡でチェックしていると、歯に「ひび」があるのを発見!不安になる方もいると思います。しかし、実際に歯に亀裂があったとしても、痛みにつがらないことが多いはずです。亀裂が歯の深い部分まで達しなければ痛みを感じにくいのです。
しかし、もしもあなたの歯にひびが入って痛みを伴っているとすれば、一度、歯医者さんに診てもらうことをおすすめします。
ここでは、歯にひびが入ってしまった原因を探り、悪化させないための対処法やひびを修復する方法も紹介しますので、ぜひ読んでみてください。
この記事の目次
1.歯に「ひび」が入った原因と対策
1-1 「歯ぎしり」や「食いしばり」が原因でひびが入る
ひびの原因には、日頃の「歯ぎしり」や「食いしばり」が引き起こしている可能性があります。あなたに歯ぎしりの癖があるならば、歯ぎしりするたびに歯に力が加わるので、ひびはもっと広がってしまいます。最初は浅かったひびが深くまで達し、痛みを感じるようになってしまいます。
歯ぎしりは自分の知らないうちにしてしまう行為です。夜寝ているときに無意識に歯ぎしりしていることがあるそうです。歯ぎしりをしてしまう原因ははっきりとはわかりませんが、ストレスが関わっているという説がよくあげられます。何か精神的に自分を追い込んでしまい、自然と歯を食いしばるような生活をしていると、歯にとっては良くない影響をもたらすといえます。食いしばることで奥歯に強い力が加わり、奥歯にひびが入るケースが多いとされます。
◆対処法
歯ぎしりを防ぐには、基本的にストレスを溜めないことが第一です。人それぞれ生活環境が違うので、すぐにストレスフリーの生活を送るのは難しいといえます。ただ、ストレスを溜め込み過ぎないようにするには、自分なりに発散できる趣味などを見つけることが大切です。悩み事などを誰かに相談したり、歯医者さんでも精神的なケアを行ってくれるところもあります。
◆治療法
歯医者さんで行ってくれる歯ぎしり治療の具体例としては、まず口の中をチェックして、どのような状態になっているかを確認します。歯ぎしりを治したくて診察してもらい、初めて歯にひびがあるのがわかったというケースだってあり得ます。
歯医者さんは歯ぎしりを治すために、ストレスを溜めないアドバイスもしてくれます。そして、患者さんの歯に合わせてマウスピースを作り、それを夜寝るときなどに装着することで歯ぎしりによる歯のダメージを防ぐ治療を行います。マウスピースは保険が適用されるので、約5千円で作ることができます。
1-2 噛み合わせが悪い場合にひびが入る
歯ぎしりの癖はないが、自分自身の歯の噛み合わせが悪い場合、歯にひびが入ってしまうこともあります。噛み合わせが乱れていると、噛んだときに一つの歯に集中してしまうことで、ひびが入る可能性が高まります。
◆対処法
噛み合わせが悪い場合は、一度、歯医者さんに診てもらう必要があります。歯の矯正をすることで、歯のひびが深くなるリスクを防ぐことができます。
◆治療法
噛み合わせを整えるには歯の矯正治療を施します。矯正治療には「ワイヤー」を使ったものや「透明なマウスピース」を使って矯正を目立たなくさせるものまであります。歯医者さんと相談して、用途に合わせた治療を行いましょう。
1-3 外傷を負った場合にひびが入る
例えば事故や怪我をしたときに、歯をぶつけてしまって歯にひびが入ることも考えられます。歯の表面は硬いエナメル質でできているとはいえ、反面、もろい性質でもあります。強い衝撃が加わることで、ひびだけでなく、歯が欠けてしまうこともあります。
◆対処法
事故や怪我で外傷を負った歯の場合、すぐに歯医者さんに診てもらい、どういった状態なのかきちんと確認してもらうことが大事です。外傷によって治療の仕方も違ってくるからです。
◆治療法
歯の外傷は、欠けた部分を接着したり、樹脂などで修復するやり方があります。もしも歯の根っこの部分に外傷があった場合は、抜歯をする場合も考えられます。
1-4 神経の抜いた歯にひびが入る
虫歯の治療をして神経を抜いた歯は弱くなっているので、ひびが入りやすいといえます。
神経がある歯に比べてダメージを受けやすいのです。さらに、ひびが入ることでかぶせ物が外れたりしやすい。歯の根っこの病気が治療でなかなか改善されないなど、厄介です。
◆対処法
神経を抜いた歯はもろいので、硬いものを噛んだだけで割れる可能性があります。歯の根っこまで割れてしまうことがありますが、そのほとんどが神経を抜いた歯の場合が多いのです。歯の根っこが割れてしまうことを「歯根破折(しこんはせつ)」といいますが、もしそうなった場合は歯医者さんで治療してもらいましょう。
◆治療法
破折した部分から細菌が侵入して痛みが生じる場合、歯の根っこを治療する必要があります。根っこの治療をしても改善されないときは抜歯の可能性もあります。
2.歯のひびを完全に治す術はない
歯のひびを治すには、上述したようにそれぞれの症状に合わせた対処法があります。しかし、歯のひびを完全に元通りにする術は残念ながら存在しません。浅いひびの場合は様子を見ることになります。浅いひびとは、エナメル質内で収まっていることを指します。
しかし、エナメル質よりもさらに深く象牙質まで及んでしまうと、神経が炎症を起こして歯の痛みにつながっていきます。このような場合、割れた部分を削ってからかぶせ物をして修復します。ひびがさらに深いところまで達してしまったら、神経を抜いてしまう治療も必要になってきます。
3.まとめ
知らないうちに歯にひびが入っていたらショックですよね。この事態をさらに悪化させないために、自分の生活を見直すと「歯ぎしり」が一つの原因として浮かび上がりました。さらに、「噛み合わせ」が原因であったり、神経の抜いた歯は弱いため、ひびが入りやすいという事実もわかりました。ひびが深くなり、痛みも感じてくれば日常生活にも支障が生まれてきます。歯が受けたダメージを理解し、改善する努力をしていきましょう。
1975年 東京歯科大学 卒業
1975年~1977年 新宿ビル歯科 勤務
1978年 早川歯科医院 開業
現在に至る
執筆者:
歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。