出っ歯の原因に合わせた治療法と出っ歯によるデメリット

なぜ私は歯が出ているのだろう…出っ歯に対して強くコンプレックスを持っている方も多いのではないでしょうか。出っ歯になる原因は大きく分けると2つであり、生まれつきからの原因と、後天的な原因があります。

今回の記事では、出っ歯になってしまう原因を紹介し、その治し方に関しても記載しています。また、出っ歯を放置して置くと起こり得るデメリットについても触れていますので、ぜひ参考にして下さい。

この記事の目次

1.出っ歯になる原因

日本人で、出っ歯に悩まされている方は多いです。ただ、生まれ持っての特徴として捉え、改善することを諦めている方も少なくありません。けれども、出っ歯になる原因には、さまざまなものがあります。

遺伝性のものもあれば、生活習慣に由来しているものもあるのです。ですから、生まれ持ってのものと諦めず、まずはその原因を探ることから始めましょう。

1-1 子供の頃の癖

皆さんも経験があるかもしれませんが、お子さんはお口に関係した癖を持ちやすい傾向にあります。指をしゃぶったり、舌を前方に突き出したりする癖が代表的です。これらを専門的には、「吸指癖(きゅうしへき)」と「舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)」と呼んでいます。

とても難しそうな名前がつけられていますが、歯科的には問題の大きい習癖と捉えていることの証拠です。これらの『口腔習癖(こうくうしゅうへき)』は、前歯を前方に傾斜させる作用があるため、出っ歯の原因となり得るのです。

1-2 生活習慣

出っ歯の原因には、日々の生活習慣も関係してきます。特に、普段から口が半開きな方は注意が必要です。口が半開きの状態だと、唇やその周囲の筋肉から前歯へ圧力が加わりにくくなるため、結果的に前歯が前方へと突出していくのです。

これは出っ歯の原因となる生活習慣のひとつです。口が半開きだと、鼻からではなく口から呼吸をするようになるため、口腔内が乾燥しやすくなるというデメリットもあります。口腔内が乾燥すると、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。

1-3 遺伝性の出っ歯

出っ歯の原因には、遺伝子が関与しているものも存在します。私たちの身体というのは、ある程度、骨格によって形が決められています。

例えば、「160cm」のご両親から、突然「190cm」のお子さんが生まれることはまずありません。顔の形や体型なども、ご両親に似た特徴を持つようになります。これと同じことが出っ歯という症状にもいえるのです。

遺伝性の出っ歯というのは、基本的に顎の骨の形や大きさ、またそれに伴って決定する歯列の形や大きさであると考えられます。どういった顎の形や歯列の大きさになるかというのは、あらかじめ遺伝子によって決められているのです。もちろん、厳密に決められているわけではなく、育った環境によっても柔軟に変化していくことがあります。

2.原因に応じた出っ歯の解決策

出っ歯を治すためには、原因に応じた解決策が必要です。まずは、自分の出っ歯の原因を特定し、適切な対応策を進めていきましょう。

2-1 口腔習癖の抑止

指しゃぶりや舌を突き出す癖が出っ歯の原因となっているケースでは、まず、こうした『口腔習癖』を除去する必要があります。ただ、気をつけなければいけないのが、指しゃぶりが絶対的に悪いものではないという点です。

「指しゃぶりが出っ歯の原因である」ということを耳にすると、2歳や3歳のお子さんが指しゃぶりをし始めると、すぐにでもやめさせようとする親御さんがいます。

ただ、指しゃぶりには、ストレスを軽減させるなどのメリットもあるため、とにかくやめさせれば良いというものでもないのです。しかし、顎の発育や歯列の悪化につながるような年代になったら、指しゃぶりをやめさせるようにしましょう。

具体的には、永久歯が生え始める6歳になっても指しゃぶりの癖が治っていない場合、親御さんがやめさせてあげる必要があります。舌を前に突き出す舌突出癖に関しても同様です。口腔習癖は、口で説明してもなかなか治らないことがあります。その場合、歯医者さんで矯正装置を装着して改善を目指す方法があります。

例えば、「タングクリブ」という矯正装置を装着すれば、物理的に指しゃぶりや舌の突出ができなくなるため、出っ歯の原因となる口腔習癖を取り除くことが可能となります。

2-2 筋肉を鍛えて口呼吸を改善

普段から口が少し開いてしまっている開咬(かいこう)は、骨格的な問題に由来しているケースがあります。その場合は、骨格を矯正したり、咬み合わせを改善するなどして対処していきます。

一方、お口の周りの筋肉が弱いために、口が半開きになっているケースもあります。この場合、口腔周囲筋を鍛える運動やマッサージが有用です。

子供の口呼吸の原因には「アデノイド肥大」も考えられます。アデノイドとは鼻の奥のリンパ組織のことであり、これが肥大化して大きくなり鼻や耳に影響を及ぼすことを「アデノイド肥大」と言います。2~5歳までの子供に見られ、それ以降は小さくなる傾向があります。

2-3 歯列矯正

出っ歯の原因が骨格や歯列そのものにある場合は、歯列矯正による対処方法が考えられます。矯正歯科には、歯並びを整えたり、顎の形や大きさを矯正する専門医が存在しています。そんな矯正医は、あらゆるパターンの出っ歯に対して、治療法を提示してくれます。

例えば、上顎の骨自体が前方に飛び出ている場合は、下顎の発育を促したり、上顎の発育を抑制したりすることで、上顎が前に出ているのを改善します。骨に問題がなく前歯だけが前方に傾いている場合は、治療も比較的容易です。なぜなら、傾いている歯だけを矯正すれば問題が解消するためです。

ここでひとつ念頭においておきたいのは、歯列矯正は若ければ若いほど、その効果が大きいということです。つまり、顎の骨の発育や歯の生え変わりが完了していない時期の方が、出っ歯の原因を除去しやすいのです。もちろん、成人してからでも出っ歯の原因を取り除くことは可能です。

3 出っ歯によるデメリット

出っ歯そのものは、病気ではありません。その人の骨格の特徴であり、すぐにでも何か悪い症状が現れてくるわけでもないのです。けれども、出っ歯の原因を放置しておくと、長期的には悪い影響を及ぼす可能性が生まれてしまいます。

3-1 歯列全体に悪影響を及ぼす

出っ歯は、歯列からはみ出している歯であるため、下の歯ともきちんと噛み合うことがなく、咀嚼運動に支障をきたすことがあります。すると、歯列全体がその問題を解消しようと、何らかの動きを見せるようになります。そのひとつの結果が「叢生(そうせい)」と呼ばれるもので、乱杭歯(らんぐいば)と呼ばれる状態のことです。

乱杭歯とは、歯がふぞろいに生えてしまっている、歯並びが際立って悪い状態のことをいいます。乱杭歯の全てが出っ歯によって生じるものではありませんが、ひとつの原因になり得るということは知っておいてください。その他、出っ歯の原因を放置すると、歯列全体にいろいろな悪影響を及ぼすリスクがあるといえます。

3-2 口腔内の乾燥

出っ歯だと、口呼吸となるため、常に口腔を空気が通過していることになります。すると、口腔内の乾燥が慢性化していくので、虫歯や歯周病を誘発してしまうのです。

唾液には、口腔内細菌の増殖を抑えたり、傷ついた歯を修復するような成分が含まれています。その唾液が減少するため、虫歯や歯周病にかかりやすくなってしまうのです。よって、出っ歯の原因は、口腔内全体の健康を考えた上でも解消する必要性があるといえます。

3-3 口元の見た目やバランス

出っ歯の方がとくに気にされているのが、見た目の問題です。歯が前方に突出していることで、見た目を気にする方もいると思います。気になる方は、一度、歯医者さんとしっかり相談した上で対処法を見つけていくことが大切です。

4.まとめ

出っ歯の原因は、人それぞれです。お子さんでは、口腔習癖が原因であったり、年配の方では、口腔周囲の筋肉が衰えている場合もあります。

出っ歯の原因に対して、歯医者さんは何らかの対処法を提示してくれますので、出っ歯に悩まされている方は、まず歯医者さんに相談してみましょう。原因を突き止めることができれば、程度の差はあれど、症状が解消していくはずです。

プロフィール&経歴

目指したきっかけ:医療には関心あったが、やはり一番は両親の教育が大きかったのではないかと思う。
やりがい:大学のときは他の職種とは違う特殊性に惹かれていたのですが、実際歯科医になってからはお礼を言われる部分です。

松本歯科大学卒業後、同病院勤務。
琉球大学医学部付属病院歯科口腔外科にて
顎顔面領域悪性腫瘍治療に従事。
その後都内複数歯科医院勤務後、
麻布シティデンタルクリニックを開院。
現在に至る。

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。