一言に“歯ブラシ”といっても、さまざまな種類があります。
ブラシのかたさや、ヘッドの大きさなど、歯ブラシの種類はとても豊富なので、どれを使用したらいいのか迷っている方もいるのではないでしょうか。せっかくであれば自分のお口の状態に合った歯ブラシを選んで、自身に適したオーラルケアに取り組みたいですよね。
ただ単に、こんな理由で歯ブラシを選んでいませんか?
①CMで商品を見たことあるから
②家族が買ってきてくれたから
③デザインがすてきだったから
これでは、毎日しっかり歯磨きを行っていても、その効果は十分といえない可能性があります。
そこで、自分に合った歯ブラシを選べるよう、より良い口腔ケアを行えるよう歯ブラシの専門店「Megadent(メガデント) 銀座店」を訪れました。メガデント銀座店とは、日本では珍しい歯ブラシ・デンタルグッズの専門店です。今回は、店長である酒向淳(さこうじゅん)さんに、歯ブラシの種類と選び方について教えていただきます。
“磨きやすい歯ブラシ”“自分のお口の状態に合っている歯ブラシ”を探している方は、参考にしてみてはいかがですか?
この記事の目次
奥歯の汚れをしっかり落としやすい歯ブラシ2種類
奥歯や歯の裏も磨きやすい“ワンタフトブラシ”
ワンタフトブラシとは、普通の歯ブラシと比べると非常にヘッドが小さく、ブラシ部分が1つの束になっている歯ブラシのことです。ヘッドが小さいため、磨きたい箇所をピンポイントで細かく磨くことができ、柄が細く角度もついているので奥歯の奥まで無理せずに磨くことができます。
【特徴】
歯と歯の間の歯垢(プラーク)や、歯と歯茎の間の歯周ポケットの汚れなど、口内をすみずみまで磨くことができるのがワンタフトブラシの特徴です。
ブラシの先端が三角形になっていて、普通の歯ブラシでは落としきれない汚れを取り除くことができます。
ですが、ワンタフトブラシ1本だけで口の中の汚れを落とすと時間がかかってしまい大変なので、いつも使用している歯ブラシに加え、仕上げ磨き用としてワンタフトブラシを使用するとお口の中の汚れをしっかりと落としやすくなります。
ワンタフトブラシは柄が細く角度がついているので、歯の裏も磨きやすそうですね。八重歯など、歯並びが良くない人も磨きやすい気がします。親知らずや奥歯を、普通の歯ブラシだとうまく磨くことができなかったので、ワンタフトブラシを1本追加して使用してみようと思います。
2本も歯ブラシを使うのが面倒という方に朗報!先端集中毛付き歯ブラシ
先端集中毛付き歯ブラシとは、ブラシの先端は山型になっていて、先端以外はフラットなブラシになっている、まるで“ワンタフトブラシ”と“普通の歯ブラシ”が合体したような歯ブラシです。
【特徴】
先端集中毛付き歯ブラシを使って奥歯を磨こうとすると、山型のブラシが歯を包み込んで奥歯の奥の汚れを落としてくれるため、山型の部分はまるでワンタフトブラシのような役割をしてくれます。
歯に付着した汚れをしっかりと落とすために、実際は普通の歯ブラシとワンタフトブラシの2本利用するのが好ましいのですが、2本を利用して歯を磨くのが面倒だと感じる方は、1本の利用ですむ先端集中毛付き歯ブラシを使用するといいかもしれません。
※ただ、あくまでも普通の歯ブラシとワンタフトブラシの2本使用するのが面倒だと感じる方のための歯ブラシなので、最初はワンタフトブラシと普通の歯ブラシの2本を使用した方が、細かい場所の汚れをしっかりと落とすことができます。
歯ブラシを毎日2本使用するのは大変ですよね。私は横着なので先端集中毛付き歯ブラシの方が合っているのでしょうか・・・。奥歯の奥の汚れを落とすことができるようなので、とても気になります。
歯科矯正中の方でも磨きやすい歯ブラシ2種類
三角形の歯ブラシでブラケットの上下から磨く!
この歯ブラシで歯を磨く時は、歯科矯正器具であるブラケットを中心にして上下に分けて磨く必要があります。ブラシが三角形になっているので、ブラシの毛先が歯の汚れにきちんとあたるため、ワイヤーやブラケット部分も細部まで磨きやすいです。
【特徴】
ブラシの形が三角形なので、歯に対して歯ブラシを45度の角度であてると、毛先が汚れにしっかりと当たるため歯の汚れを落としやすいです。
こちらは、あくまでも表側矯正の方に向けた歯ブラシです。表側はブラシの形が三角形になっている歯ブラシで磨き、歯科矯正器具がついてない歯の裏側は、普段使用する歯ブラシを使用することで汚れをしっかりと落とすことができます。
歯は毎日磨くので、歯科矯正器具があることで歯を磨くことができないのはストレスですよね。歯科矯正器具自体をしっかりと磨くことができれば、口内の衛生面も保つことができるので、歯科矯正中の方は参考にしてみてください。
U時歯ブラシはブラケットの上から磨くことができて時短にもつながる!
三角形の歯ブラシはブラケットをはさみ上下から磨く必要がありますが、このU型歯ブラシはブラケットの上からゴシゴシと歯を磨くことができます。歯ブラシの真ん中がくぼんでいるため、歯科矯正器具の上から磨くことができ、また歯を磨く時間を短縮することができます。
【特徴】
表側の矯正用歯ブラシなので、歯科矯正器具がついている歯の表側はU型歯ブラシを使用し、歯科矯正器具がついていない歯の裏は、普段使用している歯ブラシを使用することで汚れをしっかり落とすことができます。
時間がないときに、歯科矯正器具の上から“ざっ”と磨けたらうれしいですよね。会社への出勤前など、時間がないときはU型の歯ブラシの方が使用しやすそうだと感じました。
また、歯ブラシは1本だけではなく、2本使用することが大切なのかもしれません。
デンタルフロスは“ビギナー用”“上級者用”の2種類
おすすめのデンタルフロス紹介(初心者用)
このデンタルフロスは、持ち手がないので糸を指に巻いて使用するものです。糸の表面にワックスがついているものとついていないものがあるのですが、こちらの商品はワックスがついているため、デンタルフロスを使用し始めたばかりのビギナー向けのフロスです。
【特徴】
糸の表面にワックスがついているので、歯と歯の間を通すときに引っかかりが少なく、するっとなめらかに歯と歯の隙間に入るので、使用しやすいのが特徴です。
私も歯科衛生士さんにこのデンタルフロスを紹介していただきました。いきなり上級者用を使用すると糸を歯と歯の間に通すのが難しく使いづらいため、デンタルフロスを使用するのをあきらめてしまう方も多いと思うので、まずはビギナー用のデンタルフロスを使用するといいかもしれません。
おすすめのデンタルフロス紹介(上級者用)
こちらは、デンタルフロスを使用することになれてきた、上級者の方向けのデンタルフロスです。
【特徴】
ワックスがついていない分、デンタルフロスを使い慣れていないと歯と歯の間に糸を入れづらく、歯の間に糸が残ってしまうことがあるため、デンタルフロスを使い慣れている方におすすめをしています。
ビギナー用のデンタルフロスを使用することに慣れてきた方は、上級者用のデンタルフロスを使用してみてください。糸の表面にワックスがついていないので、歯と歯の隙間の汚れをごっそり落としやすくなります。
日本人の約7割が歯周病?歯周病の方におすすめの歯ブラシ2種類
歯周病の方向けの歯ブラシ(軽度・中度の方用)
歯ブラシの毛束の中は、長い毛と短い毛との2層になっていて、毛が段差になっているので、長い毛で歯と歯茎の間の汚れをかきとることができます。
【特徴】
毛束の中の短い毛は、基本使用する歯ブラシの毛の太さと同じですが、長い毛の先端はとても細くなっているので、歯と歯茎の間にある汚れをごっそり落とすことができます。
そのため、歯周病の進行速度を遅らせたり、解消させたりするのに効果が期待できます。
歯と歯茎の間の汚れは知らぬ間にたまってしまいます。その汚れが歯周病や口臭の原因になってしまいます。そのため、未来の自分への投資だと思ってこの歯ブラシを使用してみるといいかもしれません。
歯周病の方向けの歯ブラシ(重度)
重度の歯周病の方におすすめしたい歯ブラシは、やわらかい毛がたくさん植毛されているものです。歯や歯茎を傷つけにくく、歯の汚れをしっかりと落とすことができるためです。
【特徴】
ブラシの毛がかたいと歯茎などに傷をつけてしまうため、細く柔らかい毛をたくさん植毛している歯ブラシを使用します。
毛がやわらかすぎると歯の汚れをしっかりと落とすことができないため、毛が細い分植毛する毛の量を増やしています。
ブラシ部分の毛が細く、毛の量も多いため手で触ると“ふわふわ”でとても気持ちがいいです。
1点気をつけていただきたいのは、歯ブラシの交換時期です。植毛されている毛の量が多いので、毛の間に汚れが残りやすく、手でしっかり洗わないと汚れが残ってしまうため、普段使用している歯ブラシよりも交換時期を早める必要があります。交換頻度が高いので、その分コストもかかってしまいます。
とにかくブラシ部分の毛が細いので、さわり心地がとても良いです。まずは、触ってみてください。歯周病になる方はとても多いそうなので、このような歯ブラシがあると言うことを覚えておくといいかもしれません。
幅広ヘッドの歯ブラシで前歯の汚れを一掃!
歯の広い面の汚れを落としたい方は“幅広ヘッド”
前歯など、歯の広い面を磨くのに適しているのは“幅広ヘッド”の歯ブラシです。
みなさんが使用している歯ブラシよりも横幅が広く、毛の列が5列から6列あるため、歯の表面や、歯と歯茎の境目を一気に磨くことができます。
【特徴】
実はこのような横幅ヘッドは日本特有のものなのです!
歯磨きにあまり時間をかけたくない方や、歯並びが悪く磨きづらい箇所が多い方、歯ブラシが上手でない方、歯が抜けていて小さな歯ブラシでは磨きにくい方も磨きやすいのではないでしょうか。
ドラッグストアなどでも販売しているので、1度使用してみてはいかがでしょうか。
前歯などの歯の広い面と、歯と歯茎の間をしっかりと磨くことができるので、汚れをしっかりと取ることができます。
歯の教科書 編集部まとめ
歯ブラシの購入時に“かたさ”までは意識していたのですが、ブラシの横幅の広さや毛の多さまで気にしたことがありませんでした。歯並びが悪いのでワンタフトブラシに興味があります。
もちろん、所有している歯ブラシの本数を増やしたり、質のいい歯ブラシにしたりすると、多少値ははります。ですが、将来の自分への投資だと思って歯ブラシを探してみてもいいかもしれません。
紹介した歯ブラシ専門店はこちら
〒1040061 東京都中央区銀座1ー14ー10 松楠ビル1F
執筆者:
歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。