【教授に聞く】年代別で見る咀嚼機能の変化!楽しく食べることで脳を活性化

【教授に聞く】年代別で見る咀嚼機能の変化!楽しく食べることで脳を活性化

しっかりと噛むことが、脳機能の活性化にもつながるといいます。そこで、普段あまり意識することない咀嚼が、年代別でどう変化するのかを調査しました。

神奈川歯科大学・木本克彦教授にお話を伺い、噛むことの大切さや咀嚼中に意識してほしいことなどを詳しく解説していただきます。

また、食べることと認知症の関係、歯周病と認知症の関係性なども明かされます。

前回の記事「しっかり噛むことで認知症予防!口内環境が与える脳への影響

この記事の目次

幼年期 0~5歳の咀嚼。おっぱいを吸い込むことで基礎を獲得

歯の教科書 編集部
歯の教科書 編集部

赤ちゃんはどうやって咀嚼ができるようになるのでしょうか?

木本克彦教授
木本克彦教授

咀嚼の機能は、生まれながらにして備わっているものではありません。成長の過程で学習することによって正しい機能が発達し、獲得されていく後天的なものです。

咀嚼機能の発達は、哺乳期および離乳期から始まります。哺乳期は乳児が吸綴(きゅうてつ)、 おっぱいを吸い込むことにより母乳から栄養を取る時期。この際、乳児は乳首を口の奥まで入れて、重力を利用して母乳を流し込みますこうした行動が、咀嚼の基礎となると考えられています

その後、離乳期に入ると、口腔内に半固形物を受け入れられるようになり、1歳6カ月くらいで基本的な咀嚼機能を獲得します。

生後3歳になると乳臼歯が生えそろうので、自分の力で食べ物を噛み砕き、口の中から咽頭を経て食道へ送り込めるようになる。つまり、離乳期を境に、反射によって起こる哺乳運動から自分の意思で行う随意的な咀嚼へと移行していきます。

哺乳期から咀嚼に移行する離乳期は、液体食から流動食・軟食・普通食へと段階的に咀嚼機能を発達・獲得させるのに特に重要な時期となります。

少年期 6~14歳の咀嚼。咀嚼機能の成熟

歯の教科書 編集部
歯の教科書 編集部

少年期の咀嚼では、どのような変化が起こるのでしょうか?

木本克彦教授
木本克彦教授

乳幼児期に基本的な咀嚼の機能は獲得されています。また、小学校低学年から中学年にかかる学童期には、乳歯から永久歯への生え変わりがあります。さらに、顎や筋肉も発達することから、咀嚼機能の成熟が見られます。

しかしながら、歯が生え替わる際、一時的に上下の歯が無くなるため歯並びが悪くなる時期でもあり、咀嚼機能の低下が見受けられます。ですが、すぐに補正されるので、そんなに心配はいらないです。

青年期 15~30歳、壮年期 31~44歳の咀嚼。咀嚼への意識が大切

歯の教科書 編集部
歯の教科書 編集部

咀嚼機能が整い、いろいろな食べ物を取ることができるようになってからは、何を意識したらいいですか?

木本克彦教授
木本克彦教授

意識して咀嚼を行えるようにしてください。まず、一口30回は噛んで食べましょう。次に、飲み込もうと思ったら、あともう少し噛みましょう。そして、食べ物を水分と一緒に流し込まないということが大切です。

また、一口の量を少なくし、1回の食事で噛む回数を増やすことも重要になってきます。ほかにも、早食いはよくないので気をつけてください。

さらに、ただただ噛んでいるだけではダメです。噛んでいることを意識しないと、脳は活性化しないんですね。新聞やテレビを見ながらではなく、会話を楽しみ、食べ物をおいしいと感じて食べることが脳の活性化につながります。

高年期 65歳以上の咀嚼。認知症予防にもなる咀嚼

歯の教科書 編集部
歯の教科書 編集部

高齢になってきた際に、咀嚼で大切になってくることを教えてください。

木本克彦教授
木本克彦教授

認知症にならないためにも、会話を楽しみながら食事をしてください

咀嚼というのは、味覚・視覚・嗅覚・触覚・臭覚の五感を最大限に刺激できる行為です。人と会話をしながらだと、さらに高まると考えています。

インプラント治療を受けた私の患者さんは、こんなことがありました。しっかり噛めるようになって、みんなと食事ができるようになり、カラオケにも行けるようになった。すると、健康的に体重も増加していったんですよ。

口腔内が整っていれば社会にも出るし、会話もできる。すると、刺激も増して、食事から栄養素をよりよく吸収できるようになる。口の中がしっかりしているということは、いいことずくめなんですね。

脳にも影響する歯周病。アルツハイマーのリスクを高める

歯の教科書 編集部
歯の教科書 編集部

脳と口腔ケアの関係で、ほかにも分かってきていることはありますか?

木本克彦教授
木本克彦教授

歯周病菌のポルフィロモナス・ジンジバリスが、アルツハイマーの患者さんの海馬で確認されたという論文が公開されました。脳内にあるアミロイドβというのが、アルツハイマーと関連しているとされているのですが、脳の中に入ったジンジバリスがアミロイドβを増加させているということが分かったんです。

なんらかの経路で歯周病菌が脳へ入り、悪影響を与えているということです。ですから、口腔ケアはやはり重要ですよね。

歯の教科書 編集部まとめ

咀嚼で大切なこと

●一口30回、噛んで食べましょう。

●飲み込もうと思ったら、もう少し噛むことが大切です。

●食べ物を水分と一緒に流し込まないようにしましょう。

●一口の量を少なくすることで、1回の食事で噛む回数を増やすことも重要です。

●早食いはしないようにしましょう。

意識して咀嚼することで脳を活性化

●新聞を読みながら、テレビを見ながら食べても脳は活性化しません。

●意識して食事を味わい、楽しむことで脳は活性化します。

●会話を楽しみながら食事をすることは、心がくつろぎ、ストレスの発散にもつながります。

歯周病は脳にも悪影響

●歯周病菌のポルフィロモナス・ジンジバリスが海馬で発見されました。

●歯周病菌は、アルツハイマーと関連しているアミロイドβを増加させてしまいます。

●健康的な生活を送るためには、口腔ケアが重要です。

神奈川歯科大学 大学院 歯学研究科
口腔統合医療学講座(補綴・インプラント学)
木本克彦教授監修
経歴・プロフィール

1988年 :神奈川歯科大学歯学部卒業
2000年:米国カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)歯学部 客員研究員(〜2002年)
2007年:神奈川歯科大学 顎口腔機能修復科学講座 クラウン・ブリッジ補綴学分野 教授
2014年:大学院歯学研究科 副研究科長(〜2019年)
2015年~:神奈川歯科大学附属病院 副病院長
2017年~:神奈川歯科大学大学院歯学研究科 口腔統合医療学講座
補綴・インプラント学 教授(講座再編のため)
現在に至る。

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執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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【教授に聞く】年代別で見る咀嚼機能の変化!楽しく食べることで脳を活性化 2020-06-08T16:41:44+09:00
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