【教授に聞く】年代別デンタルケア!虫歯の予防方法を解説

【教授に聞く】年代別デンタルケア!虫歯の予防方法を解説

東京医科歯科大学・田上順次教授に、オーラルケアで気を付けるべきポイントを解説していただきました。

乳幼児期、学童期、成人期、高齢期に分けて、それぞれの時期で重要になってくるケアを紹介します。

子供からご年配のかたまで、参考にできるポイントをまとめています。

※前回の記事「なるべく削らない治療“ミニマルインターベンション”とは!誕生した背景は“虫歯になりやすい治療” ?

この記事の目次

乳幼児期

歯の教科書 編集部
歯の教科書 編集部

乳幼児期に大切になってくる口腔ケアを教えてください。

田上順次教授
田上順次教授

乳幼児期で、大切になってくるのは両親の取り組みですね。ただ最近のお父さん、お母さんは、虫歯予防についての意識が高いですから、子供たちの口内環境は非常に良くなってきています。

お伝えするとすれば、歯は生えてきたらときから、虫歯のリスクにさらされています。ですから、子供は嫌がりますけれども、早いうちから歯ブラシに慣れるようにしてあげてください。

そして、可能な時期になればフッ素を使うことをおすすめします

フッ素というと「フッ素は体に悪い、有害だ」という意見も出てきますが、そんなに高濃度のものを使用するわけではないです。フッ素に期待できる作用と副作用を考えてみましても、有効な作用の方が重要ですので、小さな子供でもフッ素はちゃんと使った方がいいですね。

学童期

歯の教科書 編集部
歯の教科書 編集部

活発に活動するようになった時期では、どういった口腔ケアが必要になるのでしょうか?

田上順次教授
田上順次教授

学童期というのは、乳歯と永久歯の生え替わりの時期、つまり混在する時期ですね。この時期に、乳歯だからといって虫歯をほうっておくと、虫歯菌が残っていて新しく生えてきたまだ弱い永久歯にどんどんうつってしまうということがあります。口の中に広がってしまう前に、乳歯といえどもきちんと手入れをしましょう。

日本では、学校単位で歯科検診などの取り組みがしっかりと行われ、改善されてきています。12歳児の時点では、日本は虫歯予防において進んでいると思っています。

しかし、そのあとが問題なんですね。中学校、高等学校となってくると、自分の活動範囲も広がり、体も丈夫ですから、健康への意識がうすれる時期だと思います。

こうした時期に、すぐには進行しない虫歯が歯と歯の間の見えないところにできていることが多いんです。そしてその虫歯は、20歳、30歳を過ぎても、症状がないまま歯の内部で虫歯が広がり、急に“ぽこん”と歯の表面が割れて穴が空いてしまうんですね。

このような見えないところの虫歯も、普段の口腔ケアをしっかりと行っていれば予防できます。プラークをできるだけ少なくし、歯と歯の間の初期虫歯の進行を遅らせるのですが、部活や受験と、なかなか日々のケアに目を向けられないかもしれません。

ですから、かかりつけの歯医者さんを決めて、定期的に受信してもらいたいですね。この時期の虫歯は症状もあまりなく、自分でも分かりませんからね。

成人期

歯の教科書 編集部
歯の教科書 編集部

中学校、高等学校の時期におろそかにした口腔ケアで虫歯になってしまっている方もいる成人期。どのようなオーラルケアを意識するべきか教えてください。

田上順次教授
田上順次教授

成人になりましたら、そろそろデンタルフロスや歯間ブラシといった補助的清掃用具を活用が重要になってきますね。この時期では主にデンタルフロスを使うことをおすすめします

デンタルフロスは、Uの字やYの字になった棒の先端に糸がついているものが市販されていますが、これだと奥歯まで入れるのが難しいんですね。

糸を直接指に巻きつけるタイプのデンタルフロスが奥歯まで入りやすいので、こちらを推奨したいのですが、なかなか慣れるまで難しい。

ですから歯医者さんに行って歯科衛生士さんに、奥歯までデンタルフロスを入れられるよう教えてもらってください。すると歯周病や、歯と歯の間にできる虫歯を防ぐことができるようになりますよ。

高齢期

歯の教科書 編集部
歯の教科書 編集部

根面う蝕などのトラブルにも気をつけたい高齢期ですが、どういった口腔ケアをするべきでしょうか?

田上順次教授
田上順次教授

自分でケアを行えるのであれば、歯の根元を中心にした歯磨きを大切にしてください。そして、かかりつけの歯医者さんで、フッ化物を塗布してもらうといいと思います。歯と歯の間にも汚れがつきやすくなるので、歯間ブラシの使用をおすすめします。

歯の教科書 編集部まとめ

中学校、高等学校の時期に歯磨きをおろそかにしてしまうと、気づかないうちに虫歯が進行してしまっていることがあるそうです。この虫歯は歯と歯の間にできており、自分で見ることも、痛みを感じることもほとんどないようです。

この進行の遅い虫歯は、30代以降になって症状として現れてきます。そのため、成人期ではデンタルフロスを使用することを心がけ、歯と歯の間の虫歯が進行しないよう、予防できるようにしてください。

また、デンタルフロスは指に糸を巻くタイプの方が、奥歯まで入れやすいです。しかし、慣れるまでは使用が難しいので、歯科衛生士さんに使い方を教えてもらってくださいね。

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
う蝕制御学分野
田上順次教授監修
経歴・プロフィール

1980年 東京医科歯科大学歯学部卒業
1984年 東京医科歯科大学大学院歯学研究科博士課程修了(歯学博士)
1984年 東京医科歯科大学歯科保存学第一講座助手(1994年まで)
1987年 米国ジョージア医科大学 Adjunct Assistant Professor(1988年まで)
1994年 奥羽大学歯学部歯科保存学第一講座教授(1995年まで)
1995年 東京医科歯科大学歯学部歯科保存学第一講座教授(2021年まで)
この間、同大学にて、歯学部附属歯科技工士学校長、歯学部附属病院歯科器材・薬品開発センター長、歯学部長、大学院医歯学総合研究科研究科長、理事・副学長 等を歴任
2021年 東京医科歯科大学名誉教授
現在 朝日大学客員教授、奥羽大学客員教授、昭和大学客員教授、医療法人徳真会 先端歯科センター長

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執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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