【教授に聞く】歯医者さんの治療で使われるコンポジットレジンとは?成分や用途を解説

【教授に聞く】歯医者さんの治療で使われるコンポジットレジンとは?成分や用途を解説

虫歯治療で詰め物をしたことがある方、または治療に通っているという方は、歯医者さんからコンポジットレジンという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

虫歯治療によく使われている材料なのですが、いったいどんな素材なのか調査したいと思います。

東京医科歯科大学・田上順次教授にお話を伺い、コンポジットレジンの実態に迫ります。

※前回の記事「感染症を防ぐための口腔ケア!清潔な口内でインフルエンザ、コロナ予防

この記事の目次

プラスチックとセラミックの複合体?幅広く治療に活用

歯の教科書 編集部
歯の教科書 編集部

虫歯治療でよく耳にするコンポジットレジンとは、どういった素材なのでしょうか?

田上順次教授
田上順次教授

コンポジットレジンというのは合成樹脂のことで、歯医者さんの間ではプラスチックといわれている素材です。

また、コンポジットは「複合」といった意味ですが、なにが複合かといいますと、レジン(プラスチック)の中には、セラミックの細かい粒子がたくさん練り込まれているからなのです。

コンポジットレジンという素材は、プラスチックとセラミックの複合体なんです。

歯の教科書 編集部
歯の教科書 編集部

コンポジットレジンは、主にどのような治療に用いられるのでしょうか?

田上順次教授
田上順次教授

詰め物治療に使用されることが多いです。ですが最近では、大きな被せ物であったり、1本歯がなくなったりしている部分をコンポジットレジンでつくってしまうということも可能になってきました。

これまでは、セラミックは安定した材料としてよく知られていたのですが、コンポジットレジンでも歯と同じくらいの性質が出せるようになってきたんです。

コンポジットレジンでの治療 ※写真提供:田上順次教授

欠けた歯の治療 ※写真提供:田上順次教授

虫歯治療では約1000円!大きな治療では自由診療に

歯の教科書 編集部
歯の教科書 編集部

コンポジットレジン治療を受けたときの値段の目安も教えてください。

田上順次教授
田上順次教授

普通の虫歯治療ですと、基本は保健の範囲で行われます。ですので、治療費は3000円から3500円くらいかかりますが、患者さんはその3割を負担するということになります。

なので、1000円くらいですね。ただし、そのほかに初診料が加わったり、歯のクリーニングをしたりすることで、費用はもう少し増えます。

歯の教科書 編集部
歯の教科書 編集部

費用の負担も少なくコンポジットレジン治療はメリットが大きいように感じます。

田上順次教授
田上順次教授

歯の健康な部分はほとんど削らず、また1回で治療が完了するなど、メリットはとても大きいです。

ただし、コンポジットレジンで大きな範囲を治療することになると、時間もかかりますし、材料の使用量も増えますし、技術的にも難しくなってきますので、保険適用で提供するということが難しくなってきます。

すべてが保険でできるというわけではありません。

コンポジットレジン治療後は、虫歯になりやすい?

歯の教科書 編集部
歯の教科書 編集部

コンポジットレジンで治療を受けた歯は、その後、虫歯になりやすいということはあるのでしょうか?

田上順次教授
田上順次教授

コンポジットレジンで、詰め物治療をした歯は虫歯になりにくいです。

なぜかというと、コンポジットレジンという材料が正しく使用されていれば、接着剤を併用しますので歯との間に隙間ができることが、ほとんどないからです。

しかしながら、自分の歯でも管理不足で虫歯になってしまうのですから、コンポジットレジンで治したからといって、その周りが虫歯にならないということではないですね。

プラークがいつもついていれば、どのような歯だって虫歯になります。ですから詰め物治療をして終わりではなく、治療した歯は自分の口内では虫歯リスクが高い場所ということを念頭に置いて、メンテナンスをしっかりと行ってください。

歯の教科書 編集部まとめ

コンポジットレジンとは、プラスチックとセラミックからなる素材だと分かりました。

また、詰め物として使用されるだけではなく、最近では被せ物として、1本歯をつくってしまうことも可能になってきているようです。ただし、大きな治療で使用される場合には、自由診療となることもあります。

再発のリスクも少ないコンポジットレジン治療ですが、メンテナンスを怠っていると、やはり虫歯になってすまうので、虫歯治療を行った歯は、虫歯リスクの高い歯ということを忘れないでください。

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
う蝕制御学分野
田上順次教授監修
経歴・プロフィール

1980年 東京医科歯科大学歯学部卒業
1984年 東京医科歯科大学大学院歯学研究科博士課程修了(歯学博士)
1984年 東京医科歯科大学歯科保存学第一講座助手(1994年まで)
1987年 米国ジョージア医科大学 Adjunct Assistant Professor(1988年まで)
1994年 奥羽大学歯学部歯科保存学第一講座教授(1995年まで)
1995年 東京医科歯科大学歯学部歯科保存学第一講座教授(2021年まで)
この間、同大学にて、歯学部附属歯科技工士学校長、歯学部附属病院歯科器材・薬品開発センター長、歯学部長、大学院医歯学総合研究科研究科長、理事・副学長 等を歴任
2021年 東京医科歯科大学名誉教授
現在 朝日大学客員教授、奥羽大学客員教授、昭和大学客員教授、医療法人徳真会 先端歯科センター長

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執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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