【教授に聞く】歯周病治療で大切なプラークコントロール!レーザー治療についても解説

歯周病になってしまった場合、どのように治療は行われるのでしょうか。日本歯科大学生命歯学部・沼部幸博(ぬまべゆきひろ)教授にお話を伺いました。

また、レーザー機器を用いた歯周病治療という話を耳にしますが、どういった用途で使用されているのかなど、そぼくな疑問にも答えていただきます。

※前回の記事「歯周病は、菌がうつるだけでは感染ではない?大切なことは菌を増やさないこと

この記事の目次

基本はプラークコントロール

 

歯の教科書 編集部

歯周病の治療では、何が重要になってきますか?

沼部幸博教授

歯周病の治療の基本は、まず患者さんご自身が、丁寧なブラッシングで、原因であるデンタルプラークを取り除くということです。

また、歯ブラシだけでは汚れが取れないという場合には、歯間ブラシやデンタルフロスといった補助清掃器具を使用してください。こういった流れをプラークコントロールといいます。

歯科医院では、歯科医師や歯科衛生士がこのプラークの取り残しをチェックして、どのようにしたら患者さんご自身でデンタルプラークを取り除けるかを指導するとともに、歯科医師・歯科衛生士の手でもきれいにしています。

歯の教科書 編集部

デンタルプラークが歯石になってしまっている場合はどうしたらいいでしょうか?

沼部幸博教授

デンタルプラークが石灰化して歯石になってしまっていると、硬くなり歯に張り付いているためにご自身で取ることはできないので、歯科医師や歯科衛生士がスケーラ-という先端に刃がついている器具を使って丁寧に削り取ってくれます。

または、超音波スケーラ-という超音波振動を利用した器具で、歯石を破砕、除去するという方法もありますね。

レーザーを用いて歯周病菌を死滅

歯の教科書 編集部

レーザーを用いた歯周病治療があるとお聞きしたのですが、どのように使用されているのでしょうか?

沼部幸博教授

レーザー機器を使った歯周病治療とは、レーザーの熱の力で歯周病の細菌を焼いてしまう、歯周病の場所を蒸散させてしまう、歯石をレーザーの力で破砕するという方法です。

歯周病のレーザー治療は30年以上前から行われているのですが、きちんと理論づけられて用いられるようになったのは、ここ20年程度の間ではないでしょうか。

歯科の治療では、主にエルビウムヤグレーザー、ネオジムヤグレーザー、炭酸ガスレーザー、半導体レーザーなどが使われています。

正しいブラッシングが何より大切

歯の教科書 編集部

歯周病治療では、レーザーが用いられることが主流になっていくのでしょうか?

沼部幸博教授

レーザー機器というのは、細菌や歯石を取り除くということを効率化したという考え方ですね。歯周病治療にとって必ずしも必要な機械ということではありません。レーザー機器を歯周病治療には使わない歯科医師もいます。

歯周病の原因である細菌のすみかであるデンタルプラークを取り除くための歯周病治療の基本は、なんといってもプラークコントロールです。

大切なのは、歯医者さんで正しいブラッシング方法を教えてもらい、自分でできるだけデンタルプラークを除去できるようになることですよ。

歯の教科書 編集部まとめ

プラークコントロールを行うことが、歯周病治療でとくに大切なことだと分かりました。また、歯石になってしまっている汚れは、ご自身で取ることは難しいので、歯医者さんで除去してもらいましょう。

そして、歯周病治療ではレーザー機器が用いられることがありますが、そちらの方が優れているということではないといいます。丁寧なブラッシング法を教えてもらい、原因であるデンタルプラークを取り除き、歯周病を改善していきましょう。

日本歯科大学 生命歯学部 歯周病学講座
沼部幸博教授監修
経歴・プロフィール

1983年3月:日本歯科大学歯学部卒業
1987年3月:日本歯科大学大学院修了(歯学博士)
1987年4月:日本歯科大学歯学部歯周病学教室 助手
1989年4月:日本歯科大学歯学部歯周病学教室 講師
1989年9月:カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)歯学部 客員講師(〜1991年)
1993年4月:日本歯科大学歯学部歯周病学教室 助教授
2005年6月~:日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座 教授
2018年4月~:日本歯科大学生命歯学部 学部長
現在に至る

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執筆者:歯の教科書 編集部

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