【教授に聞く】顎関節症4タイプの症状と治療方法!予防方法や避けるべき食べ物についても詳しく解説

顎(がく)関節症や噛み合わせは、どこの診療科に相談すればいいのかわからない方も多いのでは?

この記事では、歯科口腔外科の診療でも相談の多い顎関節症や噛み合わせについて説明しています。

解説してくださるのは、歯科口腔外科の診療内容や、インプラントなどの欠損部補綴について詳しくお話しいただいた、東京歯科大学 水道橋病院口腔外科 山本信治先生です。

前回までの記事:
歯科口腔外科ってどういう診療!?口内炎と口腔がんの見分け方も解説
インプラントや入れ歯のメリット・デメリット!抜けた・欠けた歯をどう対処する

この記事の目次

山本先生に【顎関節症】について聞いてみた!

Q.1 顎関節症について、原因と予防方法を教えてください

顎(がく)関節というのは、下顎骨の下顎頭(かがくとう)という部分と、側頭骨の下顎窩(かがくか)というくぼみで形成されている部分を顎関節といいます。

顎関節症は年齢や性別を問わず、歯科口腔外科に来院される疾患の中ではかなり多いです。原因としては、日常生活の悪習癖(悪い癖)が挙げられます。

具体的な原因としては、頬づえ、歯ぎしり、食いしばり、横向きで寝ること、偏心咬合(片側だけでものを噛むような癖)、あごを横にスライドさせる、大きな口を開けてあごをカクカク鳴らすといった、日常生活の悪習癖が主な原因といわれています。

Q.2 顎関節症の主な治療方法は?外科手術は必要?

基本、顎関節症の治療は外科手術ではなく、保存療法で行うことがほとんどです。

顎関節症は4タイプに分類されます。

I型は、咀嚼筋など、あごの筋肉のこり、痛み、筋肉に対する障害です。

Ⅱ型というのは、関節の靱帯(じんたい)などに炎症が起こって痛みが起きる、口が開きづらいなど、あごの靱帯に障害が出ます。

Ⅲ型は関節円板という、上下顎の間にあるクッションの役割をしている軟骨の障害です。

そして、顎関節自体が変形を起こす、変形性の顎関節症がⅣ型と分類されます。4タイプのどの型に分類されるかによって治療法が変わってきます。

Ⅰ型のような筋肉のこりですと、低周波治療器を用いた理学療法で治療します。

Ⅱ型で靱帯に痛みや炎症がある場合は、鎮痛剤をお飲みいただき、痛みを取ります。

Ⅲ型で音が鳴るなどの症状がある場合には、スプリント療法といわれる、マウスピースを用いた治療を行います。歯型を取り、1~2mmくらいの、運動選手がしているようなマウスピースを装着していただきます。基本は夜寝ている時に、7~8時間くらい連続して装着すると、変化現れるといわれています。7~8時間連続して装着できる時間は、夜寝ている時間に相当するので、マウスピースを付けてお休みいただきます。

Ⅳ型の変形性の顎関節症も同じように、痛みにかんしては鎮痛剤を用いて、音が鳴るなどの症状がある場合には、スプリント治療を行っていくことが多いです。

Q.3 日常生活で私たちができる予防法は?

生活習慣の悪習癖(悪い癖)を取り除いてあげるということが、大事です。

具体的には、頬づえをつく癖がある方は意識してやめていただきたいと思います。歯ぎしりをする方は、自分では気づけませんので、マウスピースのようなナイトガードを装着して予防してください。

あとは食事でも、特に「粉砕食」といわれる、固いチョコレート、アーモンドやピーナッツ、おせんべい、あとはもっちりとしたフランスパンのような硬いパン、弾力性のあるキャラメル、グミ、ガムなどの粘り気のあるものは、特に気を付けた方がいいと思います。

痛みがある方や、あごのカクカクとした音が強い方で、ガムやキャラメルなどの嗜好がある方は、控えていただきたいです。固いパン、歯ごたえのあるパンを好まれている方は、サンドウィッチのような柔らかいパンに切り替えてください。

また、一口が大きいお寿司などは、細かくしてから食べていただいたり、からあげや天ぷらなどの衣が強いものを避けて柔らかいお食事をしていただいたりといった心がけが予防につながるかと思います。

まとめ

今回は山本先生に歯科口腔外科の疾患の一つである顎関節症について、その原因や自分でできる予防方法を解説していただきました。

次回は、噛み合わせのセルフチェック方法や、外科治療で保険適用になる基準などを詳しくお伺いします。

明海大学 歯学部 病態診断治療学講座
山本信治教授監修
経歴・プロフィール

明海大学 歯学部 病態診断治療学講座 口腔額顔面外科学分野Ⅰ 主任教授
東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 客員教授

【略歴】
東京歯科大学卒業
東京歯科大学大学院歯科学研究科(口腔外科学専攻) 修了
東京歯科大学口腔外科学第一講座 病院助手
東京歯科大学口腔外科学講座 助手
学命により中国北京大学口腔医学院顎顔面口腔外科講座に研究留学
東京歯科大学口腔がんセンター 講師
東京歯科大学口腔外科学講座 講師
東京歯科大学口腔外科学講座 准教授
神奈川歯科大学大学院歯学研究科歯学教育学講座 准教授
神奈川歯科大学 客員教授 臨床教授
東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座 講師
明海大学 歯学部 病態診断治療学講座 主任教授
東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 客員教授
現在に至る

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執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。

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