歯周病

放置すると危険な歯肉炎の症状3つと自宅と歯医者で行うケア

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最近、歯茎の状態が気になるんだけど、もしかして歯肉炎? そもそも歯肉炎って、どんな状態のことを言うのだろう・・・。

こんな疑問をお持ちの方に、歯肉炎の主な特徴をお教えします。症状に1つでも心当たりがあったら、すでに口の中で歯肉炎が進行しているかもしれません。

歯肉炎は放っておくと歯周炎、さらに歯槽膿漏と悪化していきます。この3つをまとめて歯周病といいますが、歯周病にかかった人の約6割は、自分が歯周病だということを知りません。ぜひこの機会にチェックして、症状が重くなる前に見つけることが大切です。

この記事では、歯肉炎の症状を見分けるための3つの特徴を紹介し、歯肉炎が悪化することで起きる危険性、自宅や歯医者さんでの治し方についても紹介していきます。ぜひ読んで参考にしてみてください。

1.歯肉炎の4つの特徴

1-1 冷たいものがしみる

歯肉炎で歯茎が下がってくると、歯がしみるようになります。歯の外側はエナメル質に覆われていて、通常刺激はすぐに伝わらないようになっています。しかし、歯茎が下がりエナメル質に覆われていない部分が露出してしまうと、冷たいものがしみるようになります。

1-2 痛みはないけれどよく出血する

まず現れる大きな異変は、ほとんど痛みを伴わない出血です。普段どおりに歯を磨いているときや、りんごのような固いものをかじったときに出血することがあります。もともと歯茎の血管は繊細ですが、歯肉炎によって炎症を起こすと歯茎が柔らかくなり、出血しやすくなります。痛みを伴っている場合は、既に初期段階ではないため、歯医者さんに相談しましょう。

1-3 歯茎が赤紫色になる

健康な歯茎は通常ピンク色をしていて、形も歯に沿った固く引き締まった状態です。しかし炎症が歯茎と歯の間にある歯根膜(しこんまく)まで進行すると、歯茎の血流が悪くなるため、歯茎が赤紫色になっていきます。形も丸みを帯びて、健康な歯茎と比べてかなり柔らかくなります。歯の周囲には歯垢が付着し、細菌の温床になってしまいます。

健康なピンク色の歯茎(左)は、歯肉炎になると赤紫色に変色してしまう(右)

歯肉炎による変色

また、赤紫というよりも黒ずみに近いという方は、メラニン沈着によるものや喫煙によるタールが付着したことによる黒ずみの可能性が高いため、レーザー等を使用した治療がおすすめです。

1-4 口臭が強くて気になる

歯周病の原因となる細菌が歯周ポケットにたまり、腐敗臭を出すようになります。また、歯周病により出血が増えると血液特有の臭いが口内に充満するため、自分では気づかないうちに口臭を悪化させているのです。さらに細菌が歯の周囲に増えていくと、口内の粘つきにもつながります。

2.歯肉炎の危険性

2-1 歯肉炎を放っておくと歯槽膿漏になる

歯茎に炎症が起こる歯肉炎は、悪化すると歯茎から口の中全体に炎症が広がる歯周炎になり、歯茎が退縮して歯と歯茎に隙間が生まれてしまいます。

その後、歯茎が化膿してしまうと歯槽膿漏になり、最終的には土台となる骨を溶かして歯が抜け落ちてしまいます。「8020推進財団」の調査によれば、歯を失ってしまう原因の4割が歯周病という結果も浮き彫りになっています。

歯を失う原因

※参考資料:2008年 8020推進財団「永久歯の抜歯原因調査」

◆歯周病の進行度

歯周病の進行度

 

歯周病の進行度は「歯肉炎」、「歯周炎」、「歯槽膿漏」の3段階に分類されます。歯肉炎を甘くみて放置しておくと、大切な歯を失う可能性が生まれるのです。「1章」で紹介した歯肉炎の3つの特徴をしっかり頭に入れ、“危険信号”を見逃さないように注意しましょう。

2-2 歯周病は糖尿病の合併症

糖尿病患者は、健康な人に比べて歯周病になりやすいと言われています。体を守る白血球が弱るため、感染症である歯周病に感染しやすくなるのです。実際に、健康な人に比べて、2.5倍の人が歯周病であると自覚していました。

逆に、歯周病の細菌から発生する毒素が歯茎から血管に入り込むと、血糖値を下げるインスリンの働きを抑えてしまうので、糖尿病も悪化してしまいます。このように歯周病は、糖尿病と密接に関わっているのです。

他にも歯周病菌は血管内に入り込み、動脈硬化を引き起こす原因となるため、脳梗塞や狭心症につながるリスクも併せ持っています。歯肉炎の段階で早めに対処することが、身体の病気への影響を絶つ最善策であるといえます。

2-3 特に思春期のこどもや妊婦さんは要注意

歯周病は感染症のため、体の調子やホルモンバランスによって感染のリスクが高くなります。特に11~14歳頃の女の子がもつ一部の女性ホルモンが細菌の栄養素となり、歯周病を発症しやすくなります。

また、妊娠2~8ヶ月の女性にも同じ傾向が見られ、つわりによって歯磨きをやめてしまうこともあり、幼少期よりも悪化する可能性が高くなります。そのため、妊娠中に歯医者さんへ通い定期的なクリーニングを受けることが重要です。

通院時期は、つわりが治まり安定期に入る妊娠5~7ヶ月目です。歯周病は早産のリスクを高めたり、胎児への悪影響を及ぼしかねません。安定期に入ったら早めに歯医者さんに診てもらうことをおすすめします。

歯周病(歯周炎)患者の出産リスク

3.歯肉炎を治す4つのホームケア

3-1 歯周病向けのデンタルグッズを使う

歯肉炎は、ホームケアのポイントを押さえれば自分自身で治すこともできます。歯肉炎の原因となる歯垢は、歯と歯茎の間にある歯周ポケットに残ってしまったものなので、毛先の細い歯ブラシを使って取り除きましょう。

腫れて出血する歯茎には、特にやわらかい毛先のものがおすすめです。磨くというよりも毛先で歯茎のマッサージをするというイメージを持って、ブラッシングしてみてください。歯磨き粉を使用する場合は、汚れを取る成分と共に、歯茎の炎症・出血を抑える「トラネキサム酸」が配合されているものもおすすめです。

さらに歯に密着した歯垢を取るために、デンタルフロスや歯間ブラシがおすすめです。「日本歯科保存学会」の学会誌『日歯保存誌』によると、歯ブラシのみの場合は61%しか取れない歯垢も、フロスを一緒に使うことで79%まで、歯間ブラシを使うことで85%まで取り除くことができるそうです。

歯垢除去

※参考資料:日歯保存誌(2005年)

ただし、洗口剤を併用する場合には、アルコール性の強い刺激のものは避けるようにしましょう。弱っている歯茎に刺激を与えたり、アルコールによって口内を乾燥させてしまうと出血を促す可能性があります。

3-2 ビタミンCを摂る

歯と歯茎を支えるための重要なコラーゲンを増やすには、ビタミンCを摂ることが効果的です。歯肉炎にかかった歯茎は、歯と、土台となっている骨の間のコラーゲン繊維が破壊されているため、破壊されたコラーゲンの再生を促すビタミンCが効果的です。

コラーゲン繊維が破壊されたままだと、歯がぐらついたり歯への栄養補給ができなくなります。早く歯肉炎を治し、より丈夫な歯肉を作るために、サプリメントなどを利用してビタミンCを摂りましょう。

3-3 口呼吸をやめる

普段口から呼吸する人は、唾液が減少し口内が乾燥するため、雑菌が入りやすくなります。この隙に歯周病菌も繁殖してしまうのです。口ではなく鼻で呼吸をしたり、食事中の噛む回数を増やすことで、唾液の分泌量を多くしましょう。料理に使用する食材を工夫すると無意識に噛む回数が増えるのでおすすめです。

3-4 甘いものを食べたらすぐにケア

「甘いものを食べるのは控えましょう」というのは、ストレスになる場合がありますが、「甘いものを食べたらすぐに口内をケアしましょう」というのはとても取り入れやすい治療法です。すぐに歯みがきをしたり、口を水でゆすぐことで糖分たっぷりの食べカスを流したり、こういった一手間をかけるだけで口内環境は良くなります。携帯用の小さな歯ブラシを持っていただくのも良いと思います。

4.歯肉炎が悪化したら歯医者さんで治す

歯肉炎の状態であれば「ホームケア」だけで治すことも可能です。ただ、「3章」で紹介した4つの方法で改善できなかった場合、歯医者さんでの治療が必要になってきます。歯周病は気づかないうちに進行していきますので、早めの判断で歯医者さんに治療してもらうことも大切です。

◆歯医者さんでの治療

歯肉炎が悪化している状態(歯周炎か歯槽膿漏)ですと、歯医者さんで歯周病の原因となる歯石を除去してもらって、歯茎の炎症を鎮める治療を行っていきます。歯石除去のことを「スケーリング」といいますが、もし歯周ポケット(歯と歯茎の境目)まで歯石が入り込んでいるような状態ですと、「SRP(スケーリング+ルートプレーニング」と呼ばれる治療法で改善を目指していきます。

SRPとは、スケーリングを行ったあと、ルートプレーニングと呼ばれる手法で歯周ポケット内を平らにし、滑らかにすることで歯石の再付着を防ぐことです。

また、SRPだけでは歯石を十分に取り除けない場合、「フラップ手術」という外科的治療法を施します。これは歯肉を切開して歯石を取り除き、炎症によって破壊された歯槽骨(しそうこつ・歯を支えている骨)を整えるなどして治療を進めていきます。

歯医者さんでの歯周病治療についてもっと詳しく知りたい方は『これを読めば、歯周病の治し方がわかる!』を参考にしてください

5.まとめ

歯周病の初期症状である歯肉炎は、痛みが無くても出血や口臭、歯茎が赤紫色に変色するなどの症状があります。歯肉炎が歯周炎に悪化する前に発見すれば、日頃のケアや食生活の改善で治すことができますが、痛みを伴うようになったら歯医者に相談してください。特に糖尿病の人や女性は感染リスクが高いため、要注意です。初期の自覚症状が少ないからこそ、定期的なチェックを心掛けていきましょう!

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