“歯ぎしり”からくるトラブルを解消!気になる治療法や費用

家族や恋人から「歯ぎしりがうるさい」といわれ、初めて自分が歯ぎしりしていたことに気付いた。という方も多いのではないでしょうか? 歯ぎしりの原因は、主に「ストレス」と「かみ合わせ」からくるものと言われています。

「歯ぎしり」を放置しておくと、歯に強い痛みを感じたり、知覚過敏を引き起こしたり、と口内トラブルの引き金になりかねません。また、それだけではなく、肩こりや頭痛といった身体にも悪影響を及ぼします。最近「肩こりがひどい」「頭痛がする」といった症状の原因は歯ぎしりにあるかもしれません。

一刻も早く治したい「歯ぎしり」ですが、いったいどのような治療法があるか紹介したいと思います。周囲の人に歯ぎしりを指摘された方や、自覚していて気になっている方は、歯医者さんに相談にいきましょう。

この記事の目次

1.歯医者さんで行う歯ぎしりの治療法

歯ぎしりによって歯にかかる力は、約60-80キロと言われています。毎日寝ている間、それほどの力が歯にかかるとしたら、歯には大きなストレスを与えることになるため、早めに治療することをおすすめします。

「歯ぎしりは治したいけど…歯医者さんでどのような治療を行うの?」と疑問をお持ちの方も多いと思います。そのため、この章では歯医者さんで行う歯ぎしりの治療法について紹介していきます。

1-1 マウスピースによる治療

歯ぎしりの治療法の一つとして、就寝時にマウスピースを使用する方法があります。日中は、歯を食いしばらないよう意識できますが、就寝時は無意識のため歯ぎしりや歯の食いしばりをコントロールできません。

そのため、マウスピースを作製し、歯と歯の間にクッションを入れ、磨り減りを防止させ、歯にかかる負担を軽減させてあげましょう。

 〈治療の流れ〉

診断・検査
まずは、レントゲン撮影でお口の中の状態や、歯の磨り減りや傷つきの度合い、顎骨の診断を行います。

マウスピースの作製

診断・検査結果を元に、マウスピースを作製します。まずは、歯型を取り、模型を作製します。

マウスピースを作製する際に使用するシートを歯の模型の上に被せ、熱をくわえます。少し時間を置くと、マウスピース用のシートが歯の模型の型に合わせてかたまります。

そこから、歯の磨り減りや歯の凹凸にあわせたマウスピースの型を作製していきます。これで、あなたに合ったマウスピースの出来上がりです!

基本は1週間から2週間ほどで受け渡しが可能です。早い歯医者さんでは1日か2日で受け取ることが可能です。

1-2 噛み合わせ治療

噛み合わせ治療とは、食事をする際に歯と歯の機能面をみて調整を行う2つの治療法のことです。

1つ目は、まっすぐ噛んだときの 嵌合位(コウトウカンゴウイ)の調整
2つ目は、顎を動かしたときの機能時の調整

噛み合わせ治療は、歯が磨り減ることで、どこか一箇所の歯に負担がかからないようにするための治療です。磨り減ってしまった歯に合わせて、周りの歯を削っていきます。

ただし、噛み合わせが悪い原因は、歯の形だけではなく顎の動きによっても起こるものなので、ただ削ればいいというものでもありません。よく歯医者さんに相談し判断を仰ぎましょう。

1-3 矯正による治療

歯ぎしりの原因になる、噛み合わせの悪い歯を矯正し、歯並びを根本的に治療する方法です。矯正装置を使用し、歯や歯肉に負担をかけすぎない程度に少しずつ調節し改善させていきます。

矯正治療によって歯ぎしりをしなくなるというわけではありませんが、歯並びが改善されることで噛み合わせが良くなり、歯ぎしりが抑制される働きがあります。

2.歯ぎしり治療の費用相場

1章でも紹介したように、歯ぎしりの治療は3種類あり保険がきく治療から自由診療まであるため、かかる費用がどのくらいか気になりますよね。 この章では、治療法によってかかってくる費用の目安を記載しています。

マウスピース  約5,000-7,000円(保険適用内)
かみ合わせ治療  一般診療費
歯ぎしり矯正  成人:約60-100万円 小児:約30-60万円(保険適用外)

 

こちらは、目安の費用になるため歯医者さんに相談してみましょう。 ※自由診療の場合は、検査費(¥10,000-)がかかります。 自分自身が歯ぎしりをしているのか、またどれくらいの度合いかを検査・診断します。検査費の相場は10,000円ですが、歯医者さんによっては、治療を行う場合は無料になるところもあります。

3.自宅で行う治療法

はやく歯ぎしりを良くしたい!と考えている方には、自宅で行える治療法もあります。自分で作るマウスピースや、歯ぎしりを抑えるマッサージ法などを紹介します。

3-1 市販で買えるマウスピース

マウスピースは市販でも販売されており、自分自身の歯型に合わせてマウスピースを作製します。主に2つのタイプがあります。

自分でマウスピースをつくる

市販で購入したマウスピース作成の材料をお湯であたため柔らかくします。柔らかくなった材料を取り出し水で少し冷やし、口の中にいれ歯型をとり固めて完成です。 ※サイズが合わない場合は、はさみで切るなどして調節しましょう。

奥歯を固定させるマウスピース

奥歯を固定させる装置です。使用方法は容易ですが、歯ぎしりが強い方だと、寝ている間にはずれてしまうこともあるので注意してください。 ただし、作製が難しかったり、自分の歯列に合わなかったりということもあるので、気をつけましょう。

3-2 お口のマッサージ

筋肉がかたまっていると、歯ぎしりの原因になるといわれています。マッサージで筋肉をほぐしてあげましょう。また歯ぎしりに良いといわれるツボもあります。試してみてください。

4.歯ぎしりを放っておいては危ない!

歯ぎしりの放置は、非常に危険です。「たかが歯ぎしり」と思う方も多いと思いますが、歯ぎしりによって、歯を失うこともありえます。この章では、歯ぎしりによって生じる口内トラブルについて説明します。

4-1 歯に対する影響

歯の磨り減り


歯ぎしりにより、歯の表面が磨り減り、歯の凹凸がなくなり、前方からみると歯が短くなり、直線をえがくようになってしまいます。


また、歯の表面のエナメル質が削れ、象牙質(ぞうげしつ)が現れてしまいます。歯を守るエナメル質が削れることにより、虫歯や歯周病、知覚過敏にかかりやすくなります。また、象牙質は、エナメル質より柔らかいので、虫歯の進行が早くなります。

 歯のヒビ割れ


歯ぎしりにより、歯の表面にヒビが入ったり、割れてしまうことがあります。ヒビ・割れが大きいと、神経に刺激が行き、歯がしみたり、大きな痛みを感じたりすることがあります。

 歯茎がえぐれる


歯ぎしりにより、歯の根元に負荷が集中し、歯茎がくぼんだり、えぐれたりする症状が見られます。知覚過敏にかかりやすく、ひどい場合には、歯が折れる、抜けるといったことが起こります。

4-2 生活圏に与える影響

肩こり

口の動きと顎の動きは連動していて、顎の筋肉は肩や首の筋肉にもつながっています。 歯ぎしりによって顎にかかる負担が、首・肩にまで影響することで肩こりの原因になるといわれています。歯ぎしりを改善することで、肩こりを緩和させることが可能です。

頭痛

就寝時の歯ぎしりは、自覚がないため力加減のコントロールが出来ず、強い力で顎の筋肉を動かしています。それにより、疲労感から偏頭痛が起きやすいといわれています。歯ぎしりによって起こる頭痛は「緊張型頭痛」といわれています。  

5.まとめ

実は「日本人の80%以上が歯ぎしりを行っている」と言われています。気付かないところで、ストレスがたまり、歯ぎしりを引き起こしているのかもしれません。 歯ぎしりを治すことで、歯や生活圏におけるストレスも軽減されます。

歯ぎしりを治すことで、少しでもストレスを軽減させてあげましょう。いつまでも、健康的な生活を送るためには、口内環境の見直しが必要になります。まずは、歯医者さんへ行き自分自身のお口の状態をチェックしてみましょう。

プロフィール&経歴

目指したきっかけ:医療には関心あったが、やはり一番は両親の教育が大きかったのではないかと思う。
やりがい:大学のときは他の職種とは違う特殊性に惹かれていたのですが、実際歯科医になってからはお礼を言われる部分です。

松本歯科大学卒業後、同病院勤務。
琉球大学医学部付属病院歯科口腔外科にて
顎顔面領域悪性腫瘍治療に従事。
その後都内複数歯科医院勤務後、
麻布シティデンタルクリニックを開院。
現在に至る。

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。