歯ぎしり対策を紹介!ブラキシズムによる身体への影響…顎関節症も誘発?

睡眠時に無意識にしてしまう歯ぎしりの多くは「グラインディング」と呼ばれるものです。歯ぎしりには、このグラインディング以外にも種類があり、3つに分類されています。

この記事では、歯ぎしり対策を中心に紹介していきます。自分で行う対策や、歯医者さんの力を借りて行う対策までお伝えしていきます。

この記事の目次

1.3つのブラキシズム

歯ぎしりは「ブラキシズム」と呼ばれ、下記のように3つの種類に分類されます。まずはその種類についてわかりやすく説明していきましょう。

1-1 グラインディング

睡眠中に無意識にしてしまう歯ぎしりのことで、「ギリギリ」といった音をたて、歯のすり減りを起こしやすいのが特徴です。

1-2 クレンチング

上下の歯を強く「食いしばる」状態を指します。①のように音をたてることはなく、他人に指摘されて気づくことがありません。

1-3 タッピング

「グラインディング」と「クレンチング」に比べると起きにくいタイプとなります。上下の歯をカチカチと速い動作で噛み合わせる特徴があります。

2.自分で行う歯ぎしり対策

1章で紹介した3種類の歯ぎしりが自分の意識の範囲外に起きているとすれば、そのまま放置し続けると、歯や歯茎、顎にも悪影響を及ぼします。さらに、お口周りだけでなく、次第に首や肩のこりを発症し、身体の異常まで招いてしまいます。

これらの不具合を解消するためには、自分の生活習慣を一度見直してみる必要があります。歯ぎしりを引き起こす原因ははっきりと特定されていませんが、考えられる原因を自らつくっていないか確認し、対策を進めることは大切ですので、ここで説明していきます。

2-1 ストレスの解消

現代社会では、日常生活でストレスを受けないで過ごすことは皆無に等しいといえます。しかし、このストレスが歯ぎしりを引き起こす大きな要因となっているようです。

毎日仕事が忙しく自分の時間が持てないと、ストレスを発散する機会を失ってしまいます。
ストレスが蓄積し、就寝中に知らぬ間に歯ぎしりをしていることを、家族や恋人に指摘されることがあるかもしれません。

休みの日は自分の好きなことをして過ごし、ストレスをなるべく減らしていくことを心がけましょう。歯ぎしりの原因がストレスであるとすれば、自分で対策をしていくことが大切です。

2-2 普段の癖や寝る姿勢に気をつける

普段、何気なく頬杖をついてしまう癖がある人は、頬杖をついたときの圧力で顎だけでなく、歯にも悪影響を及ぼし、歯ぎしりの症状を悪化させることにつながります。頬杖をつく癖を解消することも自分で行える対策の一つです。

また、寝る姿勢を見直すことで歯ぎしりを改善できる可能性があります。寝ているときにうつ伏せで寝る癖がある人は、なるべく仰向けに寝る努力をしてみましょう。うつ伏せで寝てしまっている人も、歯や顎に悪影響を招いてしまっているといえます。

3.歯医者さんで行う歯ぎしり対策

この章では、歯医者さんの力を借りて行う歯ぎしり対策を紹介していきます。歯ぎしりによって受けるさまざまな悪影響も、お口周りの専門家である歯科医院に一度相談してみて、対策を見つけ出してもらいましょう。

3-1 睡眠時の歯ぎしりに「ナイトガード」

歯医者さんでは、自分専用のマウスピースである「ナイトガード」をつくってもらえます。市販でも購入できますが、歯医者さんで自分の歯型に合わせて作製してもらう方が賢明といえます。

このナイトガードを睡眠中に装着することで、夜寝ている間の歯ぎしりで歯がすり減るのを防ぐことができます。歯は歯ぎしりを繰り返すことで知覚過敏になってしまう場合があります。「冷たいものがしみる」という症状が起きてしまうのは、「マイクロクラック」と呼ばれる歯のエナメル質に細かなひび割れが起きたことを意味しています。

3-2 噛み合わせの悪さを改善

噛み合わせが悪いことで、歯ぎしりにつながることがあります。過去に治療した詰め物や被せ物の高さが合わない場合は、調整したり、交換したりする必要があります。

歯並び自体が悪くて噛み合わせに影響している場合は、矯正治療を施さないと改善されません。

3-3 咀嚼筋をマッサージ

顔の深い場所、顎の周辺にある「咀嚼筋」をマッサージすることで、歯ぎしりによって起きた筋肉の緊張を和らげることができます。結果、首や肩のこりの改善につながります。

3-4 ボトックス注射

歯ぎしりによって緊張状態になった顎周辺の筋肉を薬剤によって和らげる方法があります。それが「ボトックス注射」です。筋肉を和らげる作用が見込まれる「ボツリヌストキシン」が症状を緩和させます。

4.歯ぎしりは顎関節症を誘発する

ここまで説明してきたように、歯ぎしりはさまざまな箇所に影響を及ぼしてしまうことがわかりました。この章では、歯ぎしりが「顎関節症」を誘発する可能性について言及していきます。睡眠時の歯ぎしりが重なることで、顎に大きな負担を強いることになります。

4-1 顎関節症とは何か?

そもそも顎関節症とは何かをここで説明していきます。顎関節症は「口が開けづらい」「口を開けると痛い」「口を開けると音が鳴る」といった症状が起きることです。そして、顎関節症は4つの形態に分類され、1型は「咀嚼筋」、2型は「顎関節」、3型は「関節円板」が異常をきたしているケースで、4型は「変形性顎関節症」のことです。

4-2 顎関節症3型は歯ぎしりの改善が必要?

下顎頭と下顎窩の間にあるクッションの役割を果たす「関節円板」と呼ばれる部分がズレ、「口を開けると音が鳴る」という症状が起きるのを3型と称されます。この症状の背景には歯ぎしりが関係していると考えられています。3-1で紹介した睡眠中の歯ぎしりを防止するための「ナイトガード」を用いる対策が行われます。

5.まとめ

歯ぎしりへの対策をどのように行った方が良いか、この記事では、自分で行う対策と歯医者さんで行う対策を説明してきました。また、歯ぎしりが顎関節症に結びつくケースも紹介してきましたが、お口周辺の異常だけでなく、身体に悪影響を与えないためにも、歯ぎしりへの対策をしっかり行っていくべきだと思います。

 

先生からのコメント

マウスピースも入門編としては有効だとは思いますが、食いしばり自体は昼間もあることから、ボツリヌストキシンが近年有効とされております。

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。