裏側矯正のメリット&デメリットまとめ!見た目でわからない矯正治療

「歯列矯正をしたいけれど、矯正器具が目立つのは困る…」というニーズを満たしてくれるのが、「裏側矯正」です。歯の裏側に矯正器具を取り付けるので、外から矯正器具が見えません。「裏側=舌のある側」なので、舌側矯正とも呼びます。

こちらの記事では、「矯正期間中の見た目もあきらめたくない」という方に好まれる裏側矯正のメリット・デメリットをまとめたいと思います。

この記事の目次

1.裏側矯正は、どのような矯正治療?

ワイヤー矯正では、「ブラケット」と「ワイヤー」を使って歯を動かします。歯に固定する四角形の金具がブラケットで、ブラケット同士をワイヤーでつなぎます。ワイヤーがブラケットを引っ張ることで歯に力が伝わり、歯列が矯正されるわけです。

ごく普通の歯科矯正では、歯の表側にブラケットを装着します。そのため、表側からブラケット・ワイヤーが見えているわけです。それに対し、裏側矯正は「歯の裏」にブラケットを装着します。当然、ワイヤーも裏側に通しますから、外見的にはふだんと何も変わりません。見た目からは、矯正しているという事実さえわからないでしょう。

2.裏側矯正にはたくさんのメリットが存在!

人に見られる職業の場合、表から見える歯科矯正ができないこともあります。それを考えれば、「ワイヤーが目立たない」というだけでも大きなメリットといえるでしょう。しかし、裏側矯正の優れた点はそれだけではありません。この章では、美容面以外の視点から、裏側矯正のメリットを解説したいと思います。

2-1 矯正中、虫歯になるリスクが低い!

ブラケットがついている部分は歯磨きができませんし、ブラケットの周囲に歯垢が溜まりやすくなります。矯正中のプラークコントロールが不十分だと「ブラケットを外したら虫歯になっていた…」という事態もあり得ます。「矯正中、虫歯に気をつけること」は、矯正治療の基本といえます。

しかし、裏側矯正の場合、虫歯リスクは低くなります。歯の裏側には、虫歯を予防する作用のある「唾液」がたくさんあるからです。唾液腺は舌側にあるので、裏側のほうが唾液は多くなっています。唾液は虫歯菌がつくる酸を薄めたり、歯垢を洗い流したりする役割を負っています。それどころか、エナメル質の再生(再石灰化)を促す力まであります。ブラケットが歯の裏側にあれば、ブラケットは頻繁に唾液によって洗われます。結果、表側より虫歯リスクが低くなるわけです。

2-2 舌癖の防止で、矯正の後戻りを防ぐ!

前歯が前に突出(いわゆる出っ歯)の方は、「無意識に舌で上前歯を押す癖」がついている場合があります。舌で押しこむと、少しずつ歯は動いてしまいますから、出っ歯は悪化します。このような「舌で特定部位を押す習慣」を「舌癖」と呼びます。

裏側矯正では、歯の裏側に矯正器具がついています。そのため、無意識に舌で触れたとしても、違和感があるので反射的に舌を引っこめるようになります。結果、舌癖が直り、前歯を押す習慣まで矯正されるわけです。前歯を押す舌癖がなくなれば、矯正完了後に、出っ歯を再発させるリスクは低くなります。裏側矯正は、「矯正の後戻り防止」にも役に立ちます。

2-3 矯正器具に起因する外傷リスクが低い!

歯の表側にブラケットを装着していると、口腔外傷のリスクが増大します。口の周辺をぶつけたり、押されたりしたとき、ブラケットが口腔内粘膜に食いこむからです。粘膜は弱いですから、出血するほどの外傷を負うでしょう。特にスポーツをしている人は、口を強くぶつけるリスクもあるので、注意が必要です。

しかし、裏側矯正なら、ブラケットが外傷の原因になるリスクは低くなります。口の周辺をぶつけたとしても、矯正器具は裏側なので口腔内粘膜に食いこむ心配がありません。激しいスポーツをしている場合などは、裏側矯正のほうが「口腔外傷に対するリスク」は低減します。

3.裏側矯正には多少のデメリットも

もちろん、裏側矯正にもデメリットは存在します。もし、デメリットが1つも存在しないなら、今ごろ表側矯正は存在しなくなっているはずです。表側矯正が生き残っているということは、「表側矯正のほうが優れている部分もある」という事実を示唆します。この章では、裏側矯正のデメリットについて確認することにしましょう。

3-1 矯正中、やや発音が難しくなる

言葉を発するとき、私たちは舌・唇などを動かしています。そして、一部の発音は「舌を歯の裏にあてる」という動作を伴っています。こういった音を発音するときは、歯の裏に装着した矯正器具が邪魔になってしまいます。具体的には、日本語の「さ行」「た行」「ら行」がやや発音しにくくなります。

3-2 口腔内の違和感が強い

裏側矯正の場合、頻繁に舌が矯正器具と接触します。そのため、舌の動きが制限され、違和感・不快感を覚えることが多くなります。

ただ、最近は小型・薄型のブラケットを用いる矯正器具が増えており、違和感は減ってきています。また、多くの人は2~3日で慣れてしまい、「不快なのは最初だけだった」という感想を持つようです。

3-3 表側矯正より費用が高くなる

同じレベルの歯科矯正をおこなう場合、表側矯正の1.5倍ほどの費用がかかります。歯の裏側は凹凸が多いので、歯の形状に合わせてブラケットを作製しなければなりません。歯科技工士がオーダーメイドでブラケットを作製するぶん、費用が上がります。

また、ワイヤー調整の技術的難しさも上がり、手間と時間がかかります。自由診療では歯科医師が労力・所要時間を踏まえて費用を決定できますから、表側矯正より高額になるのは致し方ないところでしょう。

4.まとめ

裏側矯正は、美容面以外にもさまざまなメリットを持っています。「矯正中の虫歯リスクが低い」など、機能面でのアドバンテージを有しているのもポイントです。最近は薄型・小型のブラケットが増え、裏側矯正のデメリットも緩和されてきています。「見た目でわからない歯科矯正」を望んでいるなら、裏側矯正を検討してみると良いでしょう。

 

先生からのコメント

確かに目立たないので良いかもしれないけど、価格が高いのと、症例によっては難しい場合もあります。治療しているところは少なくないので、よく検討したほうが良いです。

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執筆者:歯の教科書 編集部

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