現在、横浜市青葉区では、歯科を起点とした誤嚥性肺炎予防の実現に向け、地域モデルとしての具体的な取り組みの検討が進んでおります。(「誤嚥性肺炎 青葉ゼロ運動」)
今回は、これまでの検討の経緯や、青葉区における誤嚥性肺炎予防の具体的な取り組みの方向性、そして今後の展望について、横浜市青葉区歯科医師会の北野先生にお話を伺いました。
●今回お話を伺った先生
横浜市青葉区歯科医師会 青葉区在宅歯科医療地域連携室 室長 北野 道廣 先生
| 日本大学歯学部を卒業後、歯科医師免許を取得。大学病院、歯科医院での臨床経験を経て、1980年にあざみ野に北野歯科医院を開設した。現在は外来診療に加え、年間60件を超える訪問歯科診療にも対応している。
歯科健診やオーラルフレイル予防に関する啓発活動をはじめ、地域のケア会議や多職種連携の場にも積極的に参画。医師、看護師、ケアマネジャーなど多様な専門職と連携しながら、継続性のある質の高い口腔機能管理と口腔ケアの実践に取り組んでいる。 |
●青葉区における四師会連携の取り組み
北野先生:
青葉区歯科医師会では、誤嚥性肺炎予防についてどのような取り組みができるか、日本大学歯学部の今井先生のご協力を得ながら、昨年(2025年)2月頃から本格的に検討を続けて参りました。この青葉区での取り組みの最大の特徴は、四師会による多職種連携をしっかりと意識しているという点にあります。
2025年7月5日には、青葉区における「四師会合同講演会」を開催しました。
歯科医師会の他に、青葉区医師会、青葉区薬剤師会、青葉区柔道整復師会の四師会が集まって、多職種連携で誤嚥性肺炎予防をテーマに連携し、地域の健康を守ろうという取り組みです。
いわば、青葉区における盛大なキックオフの位置づけとなりました。
それを機に、四師会による多職種連携で誤嚥性肺炎予防に取り組んでいこうという機運が、非常に高まってきています。
その後、検討は進み、幾つかの高齢者施設に今回のプロジェクトのお話をご説明し、ご賛同をいただいております。
これまでも、地域の介護施設と連携し、歯科訪問診療を行ってきておりますが、今回の誤嚥性肺炎予防
に関するプロジェクトにより、地域での取り組みは更に深まることとなります。
今回のプロジェクトは、青葉区在宅歯科医療地域連携室の理念ともまさしく合致するものであり、室長である私としましても、大変遣り甲斐を感じております。
●具体的な取り組みと課題
北野先生:
この春から、正しい口腔ケアのマニュアル作りを進めています。
口腔ケアについては、私ども歯科医師会として、きちんとマニュアル化し、文書として介護施設の現場で取り組まれている方々に共有、もしくはご指導させていただく必要があります。私どもが週に1回行くだけではなく、それ以外の日も口腔ケアをきちんと介護の現場でできるような、現場にも分かりやすく使いやすいマニュアル作りも含めて進められるよう、内容を詰めているところであります。
そして、この取り組みの先には、このマニュアルに基づく口腔ケアを実践することによって実際に誤嚥性肺炎にかかってしまう入所者をどのくらい減らせるのか、またその結果、どのくらいの入院を防げるのか、を明らかにすることもできるだろうと考えております。
今後、重要な取り組みとして注目されていくことでしょう。
●地域の皆様へのメッセージ
北野先生:
地域に暮らす市民の皆さまにお伝えしたいのは、やはり日頃の口腔ケアがとても大切だということです。その効果が、高齢者であればこの誤嚥性肺炎のような病気に対して非常に大きな効果があるということ、改めての口の健康の大切さをお伝えしたいと思っています。
誤嚥性肺炎予防と口の健康の重要性は、介護施設だけに限った話ではありません。高齢者の方々の日頃からのセルフケアとプロフェッショナルケアが大切です。
プロフェッショナルケアとして歯科受診をお勧めしたいところですが、通院に不便を感じている方もいらっしゃるかと思います。青葉区では(一部地域に限られますが)、新しい地域交通サービスとして「あおばGO!」の実証運行が行われています。歯科受診の際の移動手段として、ぜひご利用もご検討ください。
地域の歯科の先生方お一人お一人が、「地域のお口の健康を守る」という意識をこれまで以上に強く持ち、地域全体のお口の健康向上に取り組んでいくことが大切だと考えています。
誤嚥性肺炎にかかってしまう前に、その手前で起こる、口腔機能の低下(具体的には摂食嚥下障害など)に早期に気づき、適切な対応を行うことで、誤嚥性肺炎にかかる方を1人でも減らせるよう取り組む―――そのようなプロジェクト「誤嚥性肺炎 青葉ゼロ運動」を進めていきます。
北野先生が管轄されている青葉区において、同じく誤嚥性肺炎に対する口腔ケアの重要性を発信されている「ベルウェルネス歯科青葉台 院長・大屋 学先生」に、以前(2025年7月)インタビューさせていただいた記事をご紹介いたします。
日本人の死因ランキングでも上位に位置する「誤嚥性肺炎」は、近年の研究により、口腔環境と深い関係があることが明らかになってきています。下記記事では、その発症メカニズムや、誤嚥性肺炎予防における口腔ケアの重要性について、改めて詳しく語られています。
●編集部より
北野先生のインタビューでは、横浜市青葉区で進められている誤嚥性肺炎予防の取り組みを通じて、「口腔ケア」の重要性や、歯科を起点とした多職種連携による地域モデルづくりの意義についてお話しいただきました。
日々のセルフケアに加え、専門職によるプロフェッショナルケア、そして地域の仕組みによって、誤嚥性肺炎は「予防できる病気」へと変わっていきます。この青葉区での挑戦はますます注目されていくものと感じました。
本コラムを通じて、読者の皆さまにおかれましても、あらためて「お口の健康」への意識を高めていただければ幸いです。
●あおばGO!とは
たまプラーザ駅、あざみ野駅周辺は買い物施設や医療機関が充実していますが、坂道の移動や駐車場の混雑などによる移動課題があります。そこで少しでも移動が楽になるように、あおばGO!を運行しております。(本年度で4年目を迎えます!)
1.実証運行概要
(1) 期間 令和7年11月4日(火)~令和8年9月11日(金)
※年末年始(12月29日~1月3日)は運休になります。
※令和8年4月以降の運行については、市会での予算議決が必要です。
(2) 運行日時 月曜日~金曜日の9時~19時
(3) 運行主体 あおばGO!実証実験協議会
(4) 予約方法 乗車予定日・時間、乗降するスポットをLINEまたは電話で予約
(5)運賃 エリア内1人1回乗車ごとに、大人500円、小人200円
・敬老パスで250円、福祉パス/特別乗車券で無料
・複数名で同時に乗車する場合:2人目以降の運賃半額
・定期券:大人12,000円、小人6,000円(月単位)
・エリアを跨がる移動(一部で可能):大人800円、小人400円
(6)運行車両 エリアごとに車両1台:乗客定員4~6人
2.運行エリア
エリア内には、 乗降スポットが約200か所!
↓詳細はこちら
3.利用方法について
LINE公式アカウントにアクセスし、友だち追加してください。
※予約方法等の詳細な案内は実証運行開始までにトークにてお知らせします。
執筆者:
歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。