智歯周囲炎の治療法・応急処置!親知らずの痛みを解消する方法

智歯周囲炎

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親知らずは「何かとトラブルの起こりやすい歯」です。斜めに生えてきたり、一部が歯茎に埋まったままだったりすることも珍しくありません。生えてきてすぐに抜歯するケースがあるのも、放っておくとトラブルの原因になるような生え方をすることが多いからです。

さて、もし虫歯になっているわけでもないのに親知らずが痛むなら、それは周囲の歯茎が炎症を起こしているのかもしれません。そういった炎症のことを「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼んでいます。

この記事では、智歯周囲炎の原因・治療法・応急処置などを全般的に解説したいと思います。

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1.智歯周囲炎の症状について

まず、「智歯」というのは親知らずの別名です。正式には「第三大臼歯」「18歳臼歯」と呼びますが、ここでは馴染みのある「親知らず」という名前で統一したいと思います。

さて、親知らずは非常にトラブルを抱えやすい歯です。もちろん、「キレイにまっすぐ生えて、虫歯にもならない」という場合もありますが、一方で「斜めに生えてきた」という人もたくさんいます。

さて、「斜めに生えた」「一部が歯茎に埋まったまま」といった生え方をした親知らずは、周囲の歯茎に悪影響を及ぼすことがあります。うまく生えてこなかった親知らずの影響で、歯茎に炎症が起きた場合、その症状を「智歯周囲炎」と呼びます。

1-1 智歯周囲炎の一般的な症状をチェック

智歯周囲炎は親知らず周辺の炎症なので、当然ながら、親知らず付近に痛み・腫れが現れます。歯茎内部の炎症ですから、歯茎を押すと痛みが強くなります。鋭い痛みというよりは、「脈拍に合わせて重い痛みを感じる」と訴える人が多いです。「鈍痛」と呼ばれる痛み方になります。

たいていは痛み・腫れだけですが、中には悪化するケースもあります。悪化すると「頬(ほほ)まで腫れて、口が開きにくくなる」などの症状に進展します。顎(あご)から首にかけて存在する「リンパ節」が腫れて、首筋に「しこり」が生じることもあります。

さらに放置すると、全身症状をきたす恐れも出てきます。この場合、炎症の影響で37~38℃の高熱、全身倦怠感など、風邪に似た症状が現れます。首筋が目に見えるほど大きく腫れ、口の中に膿(うみ)が出てくるなど、激しい症状を伴います。

1-2 智歯周囲炎の原因は、親知らず周辺の汚れ

智歯周囲炎になる原因は、親知らずの周囲に溜まった歯垢です。磨き残しの歯垢の中で菌が繁殖し、歯茎に炎症を引き起こす…というメカニズムになります。

親知らずが斜めに生えていたり、一部が埋まっていたりすると、周囲に歯ブラシが届きにくくなります。そのため、慢性的な磨き残しがあり、どんどん歯垢が溜まっていきます。歯垢の中で細菌が増殖を続け、ある日、歯茎に炎症が起きるわけです。

智歯周囲炎は口臭を伴うことが多いですが、これは親知らずの周りで「菌の温床」となっている歯垢が要因です。基本的には、「親知らず付近が歯垢で不衛生になること」が原因だと考えてください。

1-3 智歯周囲炎になったときの応急処置

さて、虫歯が見当たらないのに親知らずが痛む場合は、智歯周囲炎を疑う必要があります。もちろん、ベストの選択は「なるべく早めに歯医者さんを受診すること」ですが、「すぐに通院することができない…」という状況も考えられます。そこで、応急処置の方法を説明することにしましょう。

ただし、顔が非対称に見えるほど腫れて、全身症状がある場合はすぐに医療機関を受診してください。

患部周辺を清潔にする

智歯周囲炎の原因は、親知らずの周りに付着した歯垢です。痛み・腫れ程度の症状であれば、痛むのを我慢してでも、親知らず周辺を清掃しましょう。歯ブラシだけでなく、フロス・糸ようじなどを使って、「歯と歯の間」「親知らずと歯茎の隙間」などをキレイにします。歯垢を落とせば、菌を減らすことができますから、症状が弱まる可能性は十分にあります。

うがい薬などの消毒作用がある薬でゆすぐ

うがい薬は消毒薬ですから、殺菌作用があります。うがい薬で口をゆすぎ、患部を衛生的に保ってください。炎症を起こしている菌を減らせば、そのぶんだけ炎症は鎮まりやすくなります。

このとき、アルコールを大量に含んだ洗口剤などは避けてください。刺激が強すぎて、痛みが悪化する恐れがあります。

市販の痛み止めを服用する

痛みを抑えるのであれば、市販の鎮痛剤が有効です。頭痛薬として販売されている薬でも、ほかの部位の痛みを抑えることが可能です。医療用に使われる鎮痛成分と同じものを選ぶなら、有効成分として「ロキソプロフェン」を含んだ市販薬が良いでしょう。

1-4 応急処置で痛みが治まっても、放置してはダメ!

応急処置の結果、痛み・腫れが完全に引いたとしても、そのまま放置するのはNGです。時間ができたら、必ず歯医者さんを受診してください。

智歯周囲炎の根本原因は「親知らずの生え方に問題があり、周辺に汚れが溜まること」です。親知らずの生え方が変わらない以上、また汚れは溜まります。それでは、本当の意味で解決したとはいえません。高い確率で、そのうち痛みが再発するからです。

このように「いったんは治まったけれど、いつでも再発する状態」のことを「慢性智歯周囲炎」といいます。症状が出ている状態の「急性智歯周囲炎」が治まったとしても、智歯周囲炎が解消したわけではありません。きちんと歯医者さんに相談して根本原因を取りのぞいてもらってください。

1-5 智歯周囲炎を予防するには「ワンタフトブラシ」が有効!

親知らずの生え方にそこまで大きな問題がなくても、智歯周囲炎になる恐れはあります。ブラッシングが不十分な場合です。親知らずは奥まった位置にありますから、そもそも歯ブラシが届きにくく、磨き残しが生じやすい場所です。

そういったケースでの智歯周囲炎を予防するには、ワンタフトブラシが役立ちます。ワンタフトブラシというのは「歯ブラシよりずっと小さくて、ピンポイントに一点を磨ける道具」です。ワンタフトブラシで親知らず周辺を磨く習慣をつければ、智歯周囲炎のリスクを下げることができます。

2.智歯周囲炎の治療法

智歯周囲炎を歯医者さんで治療する場合、どのような治療をおこなうのでしょうか? 基本的には、原因となっている「親知らずの生え方」を外科的に解決することになります。

ただし、炎症が強いときに外科的治療をするのは難しいので、いったんは「鎮痛消炎剤」「うがい薬」を処方するなどして、炎症が治まるのを待つことになります。

強い炎症が治まってきたら、根本原因を解決するための外科的治療に入ります。外科的治療の方向性は、「親知らずの生え方」によって変わってきます。

2-1 親知らずが横向きに生えている場合~水平埋伏智歯抜歯術

親知らずが手前の歯を圧迫するような形で横向きに生えている場合は、基本的に抜歯となります。ちなみに、横向きに埋まって生えている親知らずのことを「水平埋伏智歯」と呼んでいます。

歯は生えている方向にしか抜くことができないので、そのままでは手前の歯が邪魔になって抜けません。そこで、歯茎を切開し、親知らずの頭の部分を切除してから根っこ部分を抜歯します。根っこを抜いた部分に膿(うみ)などがあれば取りのぞき、最後に切開した歯茎を縫合して、終わりです。

2-2 親知らずの一部が歯茎に埋まっている場合~歯肉弁切除術

一部が歯茎に埋まっているけれど、親知らず自体はまっすぐ生えている…という場合、抜歯の必要はありません。歯茎を切開して、親知らずを表面に出せば解決します。歯茎のほうを切り、「親知らずが普通に生えている状態」をつくりだすわけです。

歯茎が邪魔でブラッシングできなかった部分も磨けるようになりますから、汚れが溜まる心配はありません。親知らずの周囲に菌が溜まることもなくなり、智歯周囲炎は解決に向かうでしょう。

2-3 親知らずが斜めに生えて、噛み合わせに悪影響がある場合~通常抜歯

親知らずが噛み合わせに悪影響を与えている場合は、抜歯になります。よほど複雑な生え方をしている場合を除いて、通常の抜歯で対応可能です。親知らずを抜歯すれば、智歯周囲炎も解決します。

3.まとめ

智歯周囲炎は、放置すると慢性化してしまいます。いったんは症状が治まっても、「体力が落ちたときに再発する」など長くついて回ることもあります。応急処置で解決したように見えても、必ず歯医者さんを受診するようにしましょう。

また、磨き残しがあちこちにあれば、親知らず以外の部分も、炎症を起こす恐れがあります。日々のブラッシングを丁寧におこない、清潔な口腔環境を心がけてください。

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