前回に引き続き、東京歯科大学 水道橋病院口腔外科 山本信治先生に歯科口腔外科の診療内容についてお伺いします。
今回は、インプラントや義歯などの欠損部補綴について、それぞれのメリットデメリットなどの解説していただきました。
前回の記事:歯科口腔外科ってどういう診療!?口内炎と口腔がんの見分け方も解説
この記事の目次
山本先生に【欠損部補綴】について聞いてみた!
Q.1 入れ歯、ブリッジ、インプラントのメリットデメリットを教えて!
欠損部補綴(けっそんぶほてつ、以下「補綴」)は、入れ歯、ブリッジ、インプラントと、大きく三つに分けられます。
入れ歯の大きな利点は、「取り外しができる」ことですね。取り外しができるので、自分で毎日洗浄することができるという点です。あとは、外科的な麻酔を伴うような処置が少なく、有病高齢者においても、全身疾患があっても比較的少ないリスクでできる点が入れ歯のメリットだと思います。
ブリッジのメリットとしては、「取り外しがないタイプ」という点です。逆に、取り外しができない分、ずっと装着していますので、装着感はいいと思います。
ただ、治療する歯を支える、両サイドの健康な歯も一緒に削らなければいけないので、やり直さないといけない場合、(装着する歯とその隣在歯の)3本ないしほかの健康な歯も治療が必要になるという欠点があります。
インプラントにかんしては、欠点は2つしかありません。
保険診療が適用ではなく自由診療になるということで、保険診療と比べると費用が高くなるという点。あとは、麻酔を伴うような、インプラントを埋入する手術によって、外科的な侵襲(ダメージ)が一時的に加わる点、この二点がデメリットです。
インプラントのメリットにかんしては、両方の隣在歯を特に触らない、必要な部分だけを基本的に治療すればいいので、一本だけあるいは必要なところだけがスポットで治療できて、噛み心地も自分の歯と同じような感覚が得られるという点です。
Q.2 インプラントの治療で麻酔をする際は、一部の麻酔?それとも全身麻酔?
「デンタルインプラント」といわれる基本のインプラントにかんしては、全身麻酔ではなく、局所麻酔で、日帰りで行うことがほとんどです。
ただ、同時に何本も多くのインプラントを植えるとか、上下顎同時に行うとか、本数が多くなって外科的な体への侵襲(ダメージ)が多くなって大きくなるようなときには、入院していただいて、全身麻酔で行う場合も少ないケースですがあります。
お体のダメージの大きさによって、入院か日帰りか、局所麻酔か全身麻酔かが変わってくると思います。
Q.3 インプラントは日帰り手術後、その日のうちから食事を始めてもいいの?
当日は、治療した方の歯では食事をしない方がいいと思います。基本の流れは、歯茎を開いて、インプラントを打って歯茎を閉じ、だいたい1~2週間後に糸を取りますので、その間は、あまりインプラントを植えた方、手術した方の歯であまり強いものは噛まない方がいいと思います。
あとは、腫れも痛みも多少は出ますので、翌日からうがいをよくしていただいたり、化膿止めや痛み止めをお飲みいただいたりと、感染予防に努めていただきたいと思います。
まとめ
今回は山本先生に、入れ歯・ブリッジ・インプラントの利点・欠点と、気になる「インプラントの手術後」について詳しくお伺いしました。治療を検討している方は、どの治療法が自分に合うのかぜひ参考にしてください。
次回は山本先生に、顎関節症の原因と予防方法についてお伺いします。
明海大学 歯学部 病態診断治療学講座 口腔額顔面外科学分野Ⅰ 主任教授
東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 客員教授
【略歴】
東京歯科大学卒業
東京歯科大学大学院歯科学研究科(口腔外科学専攻) 修了
東京歯科大学口腔外科学第一講座 病院助手
東京歯科大学口腔外科学講座 助手
学命により中国北京大学口腔医学院顎顔面口腔外科講座に研究留学
東京歯科大学口腔がんセンター 講師
東京歯科大学口腔外科学講座 講師
東京歯科大学口腔外科学講座 准教授
神奈川歯科大学大学院歯学研究科歯学教育学講座 准教授
神奈川歯科大学 客員教授 臨床教授
東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座 講師
明海大学 歯学部 病態診断治療学講座 主任教授
東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 客員教授
現在に至る
執筆者:
歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。