知覚過敏で痛みが生じるメカニズム!3つの治療方針も解説

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虫歯が見当たらないのに「甘いもの」「冷たいもの」が触れると、痛みが走る…。そのような症状に悩んでいるなら、「知覚過敏」かもしれません。一時的な痛みではありますが、かなり強い痛みを感じるケースもあります。

こちらの記事では「知覚過敏で痛みを感じるメカニズム」に言及した上で、「痛みを抑えるための具体的な治療法」を紹介することにしました。知覚過敏の痛みに悩んでいるなら、ぜひ、参考にしてください。

1.知覚過敏で痛みが生じるメカニズム

「虫歯で穴が開いているわけでもないのに、なぜ痛みが出るの?」と不思議に思っている人も多いのではありませんか? 実際、知覚過敏で痛みが生じるメカニズムは、いまだに完全解明されていません。ただ、証明されていないだけで「十中八九、間違いない」と考えられている有力な説は存在しています。

せっかくなので、「広く受け入れられている有力な説」と「否定的に見られている説」を双方とも紹介することにしましょう。

1-1 動水力学説

動水力学説は、現在もっとも受け入れられている「有力な説」です。客観的に証明できているわけではありませんが、知覚過敏を含めた「象牙質が痛みを感じる理由」に十分な説明を付与できる学説です。実際、動水力学説に基づいた治療法で知覚過敏を改善できていることもあり、事実上の確定事項と扱われています。

知覚過敏は「表面に象牙質が露出した歯」で発生します。しかし、「歯の象牙質には神経が通っていない」と考えられています。神経線維が見当たらないのに加え、「ブラジキニン(神経細胞に痛みを感じさせる発痛物質)」を象牙質に直接触れさせても痛みが生じないからです。これらの事実を踏まえると、象牙質に神経細胞は皆無…と考えるしかありません。

では、なぜ象牙質に「甘いもの」「冷たいもの」「熱いもの」が触れると、痛みが生じるのでしょうか? 「神経がないのに痛みを感じる」というのは、何だか妙な話です。それを説明するのが、「動水力学説」という考え方になります。

象牙質には「象牙細管」と呼ばれる微小な管が存在しています。象牙細管は「象牙質表面から歯髄(神経)までつながる細いトンネル」のような管です。さて、象牙細管の中には「組織液」という液体が流れています。急激な温度変化が加わると組織液の体積が変わり、象牙細管の中で液体が移動します。このとき「液体が移動する刺激」が歯髄の神経に伝わり、痛みが生じる…というわけです。

動水力学説で説明がつくのは、温度刺激だけではありません。「甘いもの」は象牙細管に浸透圧をかけて組織液を移動させますし、「物理的接触」は象牙細管内の組織液を揺らします。いずれにしても、「組織液の移動」が神経に刺激をもたらすわけです。

1-2 象牙芽細胞受容体説

歯髄のもっとも外側にあり、象牙質を形成している細胞(象牙芽細胞:ぞうげがさいぼう)が感覚受容体になっている…という説です。「象牙芽細胞が刺激をキャッチして、それを歯髄に伝えることで痛みが生じる」という意味合いになります。

1-3 知覚受容複合体説

外部からの刺激で「象牙芽細胞の形状」が変化し、それが神経に伝わって痛みを感じる…という説です。象牙質は「感覚を受容する性質」を持たないものの、象牙芽細胞が「物理的に刺激を伝達する役割」を負っているということになります。

1-4 象牙細管内神経分布説

象牙質に痛覚神経が存在していて、直接、痛みを感じている…という説です。先述のとおり、「象牙質に神経線維が見当たらない」「象牙質に発痛物質を置いても痛みが生じない」といった理由から、現在はほぼ否定されています。さらに「象牙質に局所麻酔を打っても痛みがなくならない」という事実も手伝い、象牙質に神経が分布していると考える人はほとんどいません。

2.知覚過敏の痛みを抑える3つの方法をチェック!

さて、知覚過敏の痛みを解消するにあたっては、基本的に「動水力学説に基づいた治療方針」が採られます。要するに、何らかの手段で「象牙細管内にある組織液の動きが、神経に伝わるのを妨げる」ということです。具体的には「鈍麻」「凝固」「封鎖」が知覚過敏の痛みを抑える3本柱になります。

2-1 感覚を鈍麻させる

歯髄神経への神経伝達を妨げて、痛みを感じにくくする方法です。たとえば、「硝酸カリウム」には刺激が伝達するのを妨げる働きがあるので、知覚過敏による痛みを感じにくくなります。実際に、硝酸カリウムを含んだ歯磨き粉が存在していて、「知覚過敏向けの歯磨き粉」として市販されています。

2-2 象牙細管内の組織液を凝固させる

組織液の動きが歯髄に伝わって痛むわけですから、「組織液が動かないように固める」という解決策が存在します。「グルタルアルデヒド」と呼ばれる殺菌消毒成分には、象牙細管内の組織液・タンパク質を凝固させる働きがあります。組織液の移動を止めれば、刺激が神経に伝達されるのを止めることが可能です。

実際に「グルーマ・ディセンシタイザー」といって、グルタルアルデヒドの働きを利用した「知覚過敏の抑制剤」が存在しています。ただ、グルタルアルデヒドに一定の毒性があるため、歯肉保護などの前処置を要します。そのため、歯科医院で処置を受ける形式になります。

2-3 象牙細管を封鎖する

象牙細管の表面にフタをして、封鎖する方法もあります。象牙細管を封鎖すれば、外部から刺激が加わっても組織液は移動しません。温度・浸透圧が組織液に伝わらなくなるからです。「シュウ酸カルシウム」「フッ化ジアンミン銀」「フッ化ナトリウム」などには、象牙細管を封鎖・狭窄する性質があります。この方法も前処置・エア乾燥などを要するため、歯科医院で処置を受けることになります。

3.まとめ

知覚過敏の痛みは、「象牙細管内の液体が移動すること」に由来すると考えられています。現在、この「動水力学説」に基づいた対処法が生まれており、知覚過敏は緩和・制御が可能になっています。「冷たいものや甘いものがしみる…」と悩んでいるなら、ぜひ、お近くの歯医者さんに相談してみてください。

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