歯が“しみる”のは、歯のエナメル質が削れてしまい、象牙質が露出することで発生します。これが、知覚過敏の症状です。
知覚過敏になってしまう原因は、歯磨きの仕方や食生活などが背景にあります。この記事では、その原因をしっかりと説明しながら、知覚過敏の解決策を伝授していきます。ぜひ最後まで読んでみてください。
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この記事の目次
1.知覚過敏になる原因と“しみる”メカニズム
なぜ、知らないうちに歯がしみる『知覚過敏』の原因が生まれてしまうのか? それは、私たちの日常生活を振り返るとわかってきます。
まずは、知覚過敏の主な原因を挙げていき、次に、歯がしみるメカニズムを紹介していきます。
1-1 知覚過敏になる原因
知覚過敏になるのは主に以下のようなことが原因です。
- 毎日の歯磨き
- 酸が含まれる食品の摂取の仕方
- 歯ぎしり
- 噛み合わせの悪さ
- 虫歯
- 歯周病
- ホワイトニング
- 歯医者さんでの歯石除去
- 加齢
これらは、歯の表面のエナメル質が削られ、象牙質が露わになる要因を作り出しています。その原因の具体的な中身については「2章」で説明していきます。まずは、歯がしみるメカニズムについて最初に触れることにしましょう。
1-2 歯がしみるメカニズム
歯の内部は、身体の中でとくに硬いエナメル質の表面に守られていますが、このエナメル質がさまざまな原因によって削られていくことで、神経のある象牙質がむき出しになり、歯の神経である「歯髄(しずい)」につながる「象牙細管(ぞうげさいかん)」の穴まで露出します。
この穴から、冷たいものや熱いものの刺激が入り込み、歯がしみるという感覚が起きてしまうのです。冷たい風に当たるだけでも、しみてしまう場合があります。また、知覚過敏は別名「象牙質知覚過敏」ともいわれています。
歯の断面図
2.知覚過敏が生じる9つの原因
2-1 毎日の歯磨きの仕方
毎日行っている歯磨きは、やり方を誤ると、エナメル質を傷つける原因を作り出してしまいます。要因は、硬い歯ブラシを使って「ゴシゴシ」と力強く磨いてしまうことです。一度で削られることはもちろんありませんが、毎日同じように力を込めて磨き過ぎると、エナメル質は次第に薄くなってしまうのです。
上手な歯磨きの仕方は、歯垢の溜まりやすい場所に注意しながら、やわらかめの歯ブラシを使い、軽い力でブラッシングを行ってあげることです。また、歯磨き粉に関しても、エナメル質の保護に有用であり、知覚過敏用の歯磨き粉を使用するといった考え方も必要です。
2-2 酸性の食品が歯を溶かす!?
私たちが日頃から口にしているものの中には、酸性の食べ物がたくさんあります。代表的なものとして、コーラやサイダーなどの炭酸飲料、ビールやワインといったアルコール類も同じです。また、柑橘系の果物や梅干し、酢の物もそうです。
酸性の食べ物は長時間口に含み続けたり、過度な摂取を行うことで、歯が溶ける「酸蝕歯(さんしょくし)」という病気のリスクが生じる恐れがあります。歯が溶けるというのは、つまり、エナメル質が溶かされてしまうということです。よって、酸蝕歯も知覚過敏を招く一因であるわけなのです。
2-3 歯ぎしりによって歯が削れる
歯ぎしりが癖になっている人は、毎日それを続けてしまうと、次第に歯が削れて知覚過敏を引き起こしてしまいます。
歯ぎしりは、疲労やストレスの蓄積が原因であるといわれています。対策として、「マウスピース」を使った治療法があります。
2-4 噛み合わせが悪いと歯が削れる
歯の噛み合わせが悪いことで、一部の歯だけに力がかかり過ぎてしまい、歯が削れてしまって知覚過敏になる可能性があります。この場合の治療法として、歯医者さんで歯列矯正を施すやり方もあります。
2-5 虫歯の悪化による継続的な痛み
虫歯によって歯に穴が開いてしまうと、象牙質が露出し知覚過敏を招きます。虫歯が原因で知覚過敏になった場合、しみる、というより痛みが先行して継続的な痛みをもたらします。このような場合、すぐに歯医者さんで診断してもらい、早期の治療を心掛けましょう。
2-6 歯周病による歯茎の後退
歯周病が進行して歯茎が後退すると、象牙質が露出してしまって知覚過敏が起きやすくなります。歯周病は知らないうちに悪化してしまうため、歯周病による歯茎の後退は、歯医者さんでの治療が必須になるケースがありますので、一度、歯医者さんで診断してもらい、適した対処をしてもらいましょう。
2-7 ホワイトニングの薬剤
ホワイトニングの際に使用する薬剤が原因で、知覚過敏を引き起こす場合もあります。ホワイトニングの薬剤は、歯の細かいひびから象牙質へと伝わり、その後、象牙細管の穴に入り込み、しみる症状を招きます。ホワイトニングの治療期間が終われば、症状は改善されていきます。
2-8 歯医者さんでの歯石除去
お口の中に溜まった歯石を歯医者さんで除去してもらったあとに、歯がしみる症状が生まれる場合があります。歯と歯茎の境目に溜まった歯石が除去されたあと、歯石が取り除かれた象牙質の部分が露わになるため、知覚過敏を生んでしまうのです。
2-9 加齢による歯茎の後退
歯茎の後退は、年齢を重ねることによって引き起こされ、知覚過敏を招いてしまう可能性があります。
3.知覚過敏の対策
3-1 歯がしみるのを防ぐ歯磨き粉を使う
歯がしみるのを防ぐ歯磨き粉をこの章で紹介します。
『硝酸カリウム』と呼ばれる成分が配合されている歯磨き粉が効果的です。硝酸カリウムは、歯の神経である歯髄の周囲にイオンバリアを張り巡らせてくれるのです。これにより、歯がしみる症状を防ぐことが可能になるというメカニズムです。
おすすめ「歯磨き粉」
知覚過敏に効くといわれている硝酸カリウムが含まれる歯磨き粉の中でも、さらに虫歯や歯周病の予防ができたり、歯を白くしたり、口臭を防いだりすることまで期待できる歯磨き粉もあります。
3-2 唾液の分泌量を増やす
象牙細管が開いてしまって歯がしみている場合、唾液の分泌量を増やすことで「再石灰化」のサイクルを起こし、しみる症状を防ぐことができます。
再石灰化とは、虫歯や酸の影響で溶けてしまった歯を、唾液によって作られたリンやカルシウムの結晶が開いた穴を封鎖する仕組みです。この再石灰化の力を利用するためには、ガムなどを噛んだり、食事の際にもよく噛んで食べることを習慣づけてみてください。
3-3 歯医者さんで治療してもらう
知覚過敏が気になったら、一度、歯医者さんに相談してみるのも得策です。歯医者さんでは、専用の接着剤を用いて、象牙細管の穴を封鎖するやり方があります。
もしも、痛みを伴うようなひどい症状の場合は、「消炎鎮痛剤」を服用して、痛みを鎮める方法もあります。その他、保険外治療で行われる「レーザー治療」や、どうしても改善できない場合は、神経を抜いて痛みを感じないようにする方法もあります。
4.まとめ
知覚過敏で歯がしみる理由には、毎日の間違った歯磨きの仕方や歯ぎしり、虫歯や歯周病など、9つのさまざまな原因が隠されていました。その原因を知ることにより、きちんとした対策を施すことができるのです。
知覚過敏の対策として、この記事で紹介した歯磨き粉の使用や、正しいブラッシングの仕方を身につけることが重要です。心配な方は歯医者さんに相談し、自分に合った方法で治療していくことが大切なのです。
1975年 東京歯科大学 卒業
1975年~1977年 新宿ビル歯科 勤務
1978年 早川歯科医院 開業
現在に至る
執筆者:
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