口角炎の治し方!真菌?細菌?原因別に対処法を紹介

口角炎の治し方!真菌?細菌?原因別に対処法を紹介

口角(唇の両端)が荒れて痛い…ということはありませんか? それは、単なる「ひび割れ」ではなく、口角炎かもしれません。口角炎になると「口を開けた拍子に唇の両端が切れる」などの問題が起こります。

口内炎に関する情報がたくさんあるわりに、口角炎の情報を記載しているwebサイトは少ないように感じます。そこで、こちらの記事では「口角炎の特徴」「基本的な治し方」を解説することにしました。

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この記事の目次

1.口角炎の悩み~原因と治し方~

口角炎というのは、「口角に生じた炎症の総称」であり、特定の病気を指す病名ではありません。要するに、「口角炎はこれが原因」と1つに特定することができないのです。とはいえ、数え切れないほどたくさんの原因がある…というわけでもありません。口角炎の原因は、4つに大別することができます。

当然ながら、原因が異なれば、治し方も変わってきます。この章では「原因別に見た口角炎の治し方」を確認することにしましょう。

1-1 カンジダ性口角炎の治し方

口角炎の代表的な原因として、「カンジダ菌への感染」があげられます。カンジダ菌は口腔内にもともと棲んでいる常在菌の1つで、真菌と呼ばれる仲間に属しています。真菌というのは、わかりやすく言うならカビです。「口腔内に棲んでいるカビ」と認識してください。

カンジダ菌による口角炎を治すときは、抗真菌薬を用います。抗真菌薬は真菌の生育を抑えて、真菌感染症の改善を促進する薬剤です。

カンジダ感染症に多用されるのは、「アゾール系」の抗真菌薬です。アゾール系は「シトクロムP450」と呼ばれる酵素の働きを阻害することで、真菌の生育を抑えます。シトクロムP450は「カビが有する植物性細胞膜の合成に必要な成分―エルゴステロール」を合成するために必須の酵素だからです。

そのほか、「真菌の細胞壁を構成する成分―β-Dグルカン」の合成を阻害する抗真菌薬も、カンジダ菌に対して有用です。こちらの作用機序を有する抗真菌薬は「キャンディン系」と呼ばれます。ただ、キャンディン系の薬は点滴用であり、カンジダ菌が内臓に感染した場合など(深在性真菌症)に用います。口角炎・口内炎など表在性の真菌症には用いられません。

重要なのは、「真菌に抗生物質は効かない」という事実です。抗生物質が奏効するのは真正細菌(一般に細菌と呼ばれる菌)であり、真菌ではありません。真菌と真正細菌は口腔内で縄張り争いをする関係にあるので、真正細菌が減ると真菌が増加します。カンジダ感染症に抗生物質を用いると、ライバルのいなくなった真菌がさらに増殖し、むしろ症状は悪化してしまいます。

1-2 細菌性口角炎の治し方

世間一般には「口角炎の原因はカンジダ菌」と認識している人も多いですが、一概にそうとも言い切れません。細菌感染による口角炎も存在するからです。口角炎の原因菌となる細菌には、ブドウ球菌・連鎖球菌などが挙げられます。

真正細菌の感染症なので、治療には抗生物質を用います。ブドウ球菌・連鎖球菌はいずれも「グラム陽性球菌」と呼ばれる仲間なので、グラム陽性球菌に効く「テトラサイクリン系抗生物質」「フシジン酸ナトリウム(商品名:フシジンレオ)」などが用いられます。

ちなみに、真正細菌にはグラム陽性球菌、グラム陽性桿菌、グラム陰性球菌、グラム陰性桿菌といった種別があります。抗生物質によって作用する細菌と、作用しない細菌があるので、抗生物質なら何でも良い…というわけではありません。

1-3 アトピー性口角炎の治し方

アトピー性口角炎は、「アトピー性皮膚炎の症状が口角に生じたもの」を意味します。一般にアトピー性皮膚炎は「原因のはっきりしない皮膚炎」と言われますが、ある程度の原因がわかってきています。アトピー性皮膚炎の原因として有力視されているのは、「表皮バリア破綻説」です。

表皮の角質層には、角質細胞と「角質細胞の隙間を埋める細胞間脂質」が存在します。細胞間脂質は「水分と脂質を重ね合わせた構造(ラメラ構造)」をつくり、表皮の水分量を維持しています。また、角質細胞の細胞質は「フィラグリン」という物質で満たされており、このフィラグリンはNMF(天然保湿因子)として角質層の水分量を維持しています。これらが、「角質層の水分を保持し、外部刺激をシャットアウトする表皮バリア」として機能しているのです。

しかし、細胞間脂質のラメラ構造が破綻したり、角質細胞のフィラグリンが不足したりすれば、表皮バリアの機能は低下します。結果、外部刺激に弱くなり、表皮の水分量が低下していくのです。バリア機能が失われると、外部刺激によって容易にアレルギー反応を起こすようになります。その結果が、カサカサして炎症を起こす「アトピー肌」というわけです。

とはいえ、原因がわかっても、今のところ「原因を取り除く、根本的な治し方」は証明されていません。炎症を抑えて、かゆみ・痛みなどへの対症療法をおこない、収まるのを待つしかないのです。

さて、アトピー性口角炎の治療法は、アトピー性皮膚炎と同じ方法になります。「ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)」または「タクロリムス軟膏(商品名:プロトピック)」などを用いるのが基本です。

1-4 接触性口角炎の治し方

接触性口角炎は「接触性皮膚炎の症状が口角に起きたもの」です。こちらも「感染を伴わない炎症」ですが、アトピーと異なり、「表皮バリア機能の低下」が要因ではありません。接触性口角炎は、さらに2種類に細分化できます。それぞれ「一次刺激性接触性口角炎」と「アレルギー性接触性口角炎」と呼ばれています。

一次刺激性接触性口角炎

洗顔料・化粧品などに含まれる化学物質が原因の口角炎です。化学物質の毒性による炎症ですから、「炎症の程度」と「原因物質の毒性」は比例します。

アレルギー性接触性口角炎

何らかの物質がアレルゲンになり、アレルギー性の口角炎を起こしている状態です。「何がアレルゲンになるか」は人それぞれで、「炎症の程度」と「原因物質の毒性」に相関関係はありません。実際、食品・金属など、ほかの人には害がない物質でも、アレルギーを起こす人がいます。

いずれの場合も、根本から対策を図るには「原因物質との接触を避けること」が第一です。ただ、当座の炎症を抑える対症療法も必要で、主は「ステロイド剤」が選択されます。かゆみ・痛みが強い場合は、「抗ヒスタミン薬」を内服することもあります。

2.自宅でできる!軽い口角炎の治し方

ここまで、医療機関における治療法を解説してきましたが、軽度の口角炎であれば、自宅で経過観察をしながら自然に収まるのを待っても構いません。その場合でも促進する「治し方」は存在しています。

刺激の少ない石鹸・洗顔料で口角を清潔に保ち、「白色ワセリン」などを塗布して保湿する…という方法です。基本的に、軽度の口角炎なら「患部を清潔にして保湿」という処置で軽快していきます。

ただし、2週間が経過しても改善が見られないなら、単なる口角炎ではないかもしれません。念のため、医療機関を受診したほうが賢明でしょう。

3.まとめ

基本的に、ちょっとした口角炎なら、自宅で経過観察しているうちに収まります。ただ、長期間にわたって治らない場合は、医療機関を受診したほうが良いと思います。

逆に「これだけはNG」となるのが、「自己判断による抗生物質の塗布」です。市販薬の中にも、抗生物質入りの軟膏はたくさんあります。しかし、本文中で解説したように「真菌感染症に抗生物質を塗ると悪化する」という性質があることを忘れてはいけません。

医療機関を受診しなければ、真菌感染と細菌感染の判別は不可能です。自宅での治療は「患部を清潔にして保湿する」という段階にとどめてください。

 

先生からのコメント

一般的に軽いものなら、患部の殺菌。簡単な方法としては石鹸を使って普通に洗顔し、唇と患部(口角)をしっかり洗う、患部の水分除去。患部に対してティッシュなどで唇と口角の水分をきっちり取ります。これによりこの後に塗る薬の効果を高めますが、薬を選ばないといけないので、専門の医療機関に診てもらった方が良いです。他にはワセリンを患部と唇全体に塗ることにより保湿し、患部への菌の再侵入を防ぐことです。

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電話:03-3601-7051
執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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