入れ歯は医療費控除の対象になる?申請方法や申請タイミングも簡単解説

    入れ歯は医療費控除の対象になる?申請方法や申請タイミングも簡単解説

    入れ歯作りを考えたとき、まず気になるのがお金の問題ではないでしょうか。入れ歯作りは費用が高価になるケースもあるので、医療費控除の対象になるかどうかも確認しておきたいポイントです。医療費控除の名前は知っていても、内容を詳しく知らない方も多いでしょう。この記事では、入れ歯作りと医療費控除について知っておきたい知識をまとめてご紹介します。医療費控除のしくみをきちんと理解し、正しく申請できるようにしましょう。

    この記事の目次

    入れ歯は医療費控除の対象になる?

    入れ歯は、医療費控除の対象です!

    入れ歯の製作費や治療費は、医療費控除の対象となります。歯の治療に関して医療費控除を申請できる主な項目は以下の通りです。

    ・虫歯や歯周病治療に必要な検査費用
    ・インプラント治療
    ・入れ歯や人工歯の治療費
    ・審美目的ではなく治療としての歯列矯正
    ・通院のための交通費
    ・デンタルローン

    ただし、ホワイトニングなど美容目的の治療は医療費控除の対象外ですので注意が必要です。自由診療で作った入れ歯の治療費や通院の交通費も控除の対象になります。入れ歯を作る際に受け取る領収書は、紛失しないように大切に保管しましょう。

    そもそも医療費控除って、どんな制度?

    医療費控除は、医療費の負担を軽減するための制度です。家族全員が1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合、医療費控除を受けることができます。上限200万円までの通院費を含む医療費を翌年に確定申告することで、支払った医療費の一部が税金還付として戻ってきます。医療費控除が直接反映される税金は所得税のみですが、医療費控除によって所得額が減ることで、住民税などの地方税も軽減されます。

    忘れずチェック!こちらの費用も控除対象

    控除の対象は、家計を共にする家族全員(配偶者や親族)です。単身赴任や下宿などで離れて暮らしていても、医療費を一つの家計として合算できます。また、仕送りをしている実家の両親が自由診療で入れ歯を作った場合、その費用を息子や娘が支払った場合でも、支払った本人(息子や娘)が医療費控除を受けることができます。さらに、小さな子どもが通院する際に付き添いが必要な場合、その付添人の交通費も控除の対象となります。

    医療費控除の計算方法

    医療費控除の計算式は以下の通りです。ただし、支払った医療費の額によっては控除を受けられない場合もあるので注意が必要です。また、低所得者の場合は所得額に応じた控除を受けることができます。以下の内容を確認してください。

    申告できる場合
    医療費控除額(上限200万円)=「1年間に支払った医療費」−「保険などで補填される金額」−「10万円(所得金額が200万円未満の場合は所得金額の5%)」

    低所得者への対応
    1年間に支払った医療費の総額が10万円以下の場合、医療費控除の申告はできません。ただし、所得金額が200万円未満の場合、医療費が所得金額の5%以上であれば医療費控除の申告対象となります。

    医療費控除額=還付金!?ではありません

    医療費控除額は「支払った医療費から10万円を引いた金額」と思っている方もいるかもしれません。しかし、医療費控除はその額がそのまま戻ってくるわけではありません。還付される金額は、医療費控除額に所得税の税率をかけたものになります。つまり、税金を多く支払っている人ほど所得税の税率が高くなるため、還付される金額も大きくなるということです。

    どうやって申請するの?入れ歯の医療費控除

    医療費控除に必要なもの

    医療費控除の申告に必要な書類は以下の通りです。領収書が無ければ控除を受けることができないので注意しましょう。

    ・医療費の領収書
    ・通院のための領収書
    ・給与の源泉徴収票(原本)
    ・印鑑
    ・還付金の振り込みに使う金融機関の口座番号

    なお、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車料金は控除対象になりませんのでご注意ください。

    医療費控除はいつ申告するの?

    医療費控除の申告は確定申告で行います。申告期間は、治療した翌年の2月16日から3月15日までです。年末調整を受けるサラリーマンも、必要な書類とその年の源泉徴収票があれば医療費控除を受けることができます。

    また、医療費控除は過去5年間さかのぼって申告することが可能です。5年以内に申告していない医療費がある場合は、申告を忘れないようにしましょう。5年前までの医療費控除の申告は、いつでも税務署の窓口で行うことができます。

    医療費控除の申告方法

    必要な書類を準備して税務署に行き、所定の用紙に記入して提出します。税務署に直接行かずに、郵送で申告することも可能です。また、インターネット(e-TAX)を利用して申告することもできます。

    デンタルローンで支払う場合

    入れ歯治療の費用が高額になる場合、デンタルローンを利用する患者さんもいます。デンタルローンとは、信販会社が治療費を立て替え、患者さんが信販会社に分割で返済する仕組みです。信販会社が立て替えた金額は、患者さんが支払った医療費として医療費控除の申告が可能です。ただし、デンタルローンの金利や手数料は医療費控除の対象外です。

    医療費控除については、控除対象や計算方法、必要書類などを詳しく知らない方も多いかもしれません。例えば、交通費が控除の対象である一方、自家用車のガソリン代は控除の対象外です。これらの知識があるかないかで、申告できる金額が変わってきます。

    自由診療の入れ歯は数十万円以上と高額になることが多いため、医療費控除を活用しましょう。入れ歯の医療費控除については、歯医者さんに相談することもできます。さらに詳しい情報が必要な場合は、お近くの税務署や所轄の官庁に問い合わせてみてください。

    参考情報:入れ歯の費用

    入れ歯は保険診療と自由診療によって金額が違う

    入れ歯治療には、保険が適用される保険診療と、保険が適用されない自由診療の2種類があります。保険診療で作る入れ歯と自由診療で作る入れ歯では、材質や仕上がりが異なります。保険診療の場合、公的保険で治療費が補われるため、患者さんは一般的に治療費の3割を負担します。一方、自由診療では治療費の全額を患者さんが負担する必要があります。

    利用しやすさで選ばれる、保険適用の入れ歯

    保険適用の入れ歯は、使用できる材質や工程に制限がありますが、安価で作ることができます。保険適用の総入れ歯の費用は、1万円~1万5000円程度です。部分入れ歯の場合は、5,000円〜1万3,000円程度で製作できます。ただし、部分入れ歯は製作する歯の数によって金額に差があるので注意が必要です。

    高額でも見た目と機能性に優れている、自由診療の入れ歯

    自由診療の入れ歯は、豊富な材質や多様な治療法から希望するものを選ぶことができます。細部まで患者さんの希望に合わせて作るため、保険適用の入れ歯に比べて高額になります。総入れ歯か部分入れ歯の違いはもちろん、選ぶ材質によっても費用が大きく異なります。以下に代表的な材質ごとの目安となる金額を紹介します。

    ■総入れ歯の場合
    ・ゴールド床:50万円~
    ・チタン床:30万円~
    ・コバルトクロム床:18万円~
    ・白金加金(合金+プラチナ):85万円~
    ・トルティッシュプレート:27万円~
    ・シリコン床:15万円~

    ■部分入れ歯の場合
    ・金属床:18万円~
    ・テレスコープ:50万円~
    ・ノンクラスプ:18万円~
    ・ホワイトクラスプ:2万円~
    ・ 磁石アタッチメント:5万円~

    このように、自由診療の入れ歯は材質や治療法によって費用が大きく異なります。ご自身の理想とする入れ歯をしっかり考え、保険適用で作るか、自由診療で作るかをじっくり検討しましょう。

    飯田尚良 先生監修
    経歴

    1968年 東京歯科大学 卒業
    1968年 飯田歯科医院 開院
    1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
    1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
    1983年~2009年 東京歯科大学 講師
    現在に至る

    執筆者:歯の教科書 編集部

    執筆者:歯の教科書 編集部

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