急に襲ってくる虫歯の痛みにあなたはどう対処しますか? 虫歯が痛み出すということは、すでに虫歯が進行して歯医者さんで治療するしかないレベルまで悪化していることを意味しています。その状態とは、虫歯が歯のエナメル質を溶かして、『象牙質』か、あるいはその先の『歯髄』にまで達してしまった証拠だといえます。
ただ、我慢できない痛みをなんとか和らげたいと思っても、仕事中や夜中など、すぐに歯医者さんへ行けないときはどうしたらいいでしょうか? まずは、その対処法から伝授していきます。
この記事では、虫歯の痛みを抑えることができるお薬や、お薬がない場合の対処法も合わせて紹介していきます。ぜひ読んで参考にしてみてください。
【関連記事】歯が痛い!寝られないほどの痛みに応じた応急処置と、歯医者さんでの対処法
この記事の目次
1.突然の虫歯の痛みに効く!応急処置のお薬
『歯が突然痛み出して虫歯になっていることに気づいた…』『大した痛みではないからと放置していたら、激痛に見舞われた…』そんな苦しい虫歯の痛みをすぐに和らげてくれる応急処置のお薬を紹介します。
1-1 飲み薬(鎮痛剤)を飲んで痛みを抑える
我慢できない虫歯の痛みを早く抑えたいという場合、鎮痛剤を服用することで一時的に緩和させることができます。
ただ、痛みが引いても薬で止めているだけなので、患部が治癒することはありません。状態がひどくなる前に歯医者さんで診てもらいましょう。あくまでも、痛み止めは応急処置だということを忘れないようして下さい。
1-2 患部に直接、薬を塗る
痛み止めでも、歯痛が抑えられない場合は、患部に直接塗るタイプの歯専用の鎮痛剤を使ってみるのも良いと思います。
患部に直接塗るので、飲み薬よりも有効率は高く、さらに数分で効き目があらわれることが期待できます。歯の質を傷めない点も特徴です。価格は約800円で販売されています。
歯専用の鎮痛剤が無い場合は、日局木クレオソートを主成分とした多くの家庭で常備薬とされている胃腸薬がおすすめです。
痛みは引くと聞きますが、あくまでも応急処置です。根本の原因が治っているわけではないので、気をつけて下さい。状態が悪化する前に歯医者に行くことをおすすめします。
2.手元にお薬がない場合に行う“虫歯の痛み”対処法
虫歯が痛み出して仕方がないとき、手元にお薬がなければどうしたらいいでしょうか? 慌てて薬局に駆け込むのもいいですが、まずは試して欲しい対処法があります。
2-1 痛い部分を氷で冷やす
虫歯の痛みを伴う部分を冷やしてあげることで、痛みを緩和させることができます。氷を口に含むことで神経を麻痺させ、一時的に痛みを取り除きます。
2-2 “手の甲”と“手の平”にある「ツボ」を押す!
◆手の甲の『合谷』と呼ばれる「ツボ」を刺激!
虫歯の痛みを和らげてくれる「ツボ」が実は存在します。そのツボは、手の甲の『合谷(ごうこく)』と呼ばれるツボです。このツボをやや強めに押して刺激を与えていきます。押し続けることで痛みを感じますが、その痛みが消えるまで揉んであげることで有用です。
◆手の平の『歯痛点』と呼ばれる「ツボ」を刺激!
手の平にある『歯痛点(しつうてん)』と呼ばれる「ツボ」を刺激することで、虫歯の痛みを緩和させることができます。『合谷』と同様にやや強めに押すのが有用といわれています。
3.虫歯の痛みがあるときにしてはいけないこと3つ
虫歯が痛み出したとき、これだけはしてはいけないというパターンが存在します。虫歯の痛みがさらに増すことになりますので、これから紹介する3つのパターンをぜひ覚えておきましょう。
3-1 痛みを伴う虫歯を触ってはいけない!!
痛いからといって、虫歯の部分を舌で触ってみたり、手でいじったりしては余計に痛みを増すだけなのでやめましょう。鎮痛剤を服用するなどして応急処置を行ったあとは、ゆっくりと安静にしていなければなりません。そして、歯医者さんに行く時間をできるだけ早く作ることをおすすめします。
3-2 “お酒を飲んで痛みを紛らわす!”はNG!!
虫歯がズキズキ痛いけど、『お酒を飲んで痛みを忘れよう!』という行為はやめましょう。アルコールの影響で中枢神経が麻痺するため、一時的に痛みを忘れることはできますが、血液の流れが良くなることで、お酒を飲み終わったあとで余計に痛みが増すことになります。
お酒は日頃のイヤなことを忘れさせてくれる“万能薬”にもなります。しかし、虫歯の痛みを消してくれる“お薬”にはなり得ないのです。また、鎮痛剤を飲んでいた場合、すぐに飲酒をする行為は有害な副作用が出る危険性があるので注意しなければいけません。
虫歯が痛いときは、すぐに歯医者さんに予約を取り、すぐに治療してもらえないときは家に帰って安静にしておくことが第一です。それが“スマートな大人”のやり方です。
3-3 虫歯が痛いときの『熱湯風呂』はNG!!
お風呂は一日の疲れを癒してくれますが、虫歯が痛むときに熱いお風呂につかるのは避けてください。血圧が上昇し、歯の血液の流れが良くなることで神経が圧迫されます。これにより痛みがさらに増すことになるのです。
お風呂に入る場合はお湯をぬるめにしておくか、夏場であれば、ぬるめのシャワーで軽く済ます程度にしておいてください。
4.痛みを伴う虫歯は、早めに歯医者さんで治療を!
虫歯が痛み出しているということは、すでに虫歯が進行して『象牙質』まで及んだ状態か、その先の『歯髄』にまで及んだ状態であるといえます。この2パターンですと、「セルフケア」だけでの治療では完治が望めないため、歯医者さんで確実に治療してもらわなければなりません。
◆痛みを伴う状態の虫歯の特徴と基本治療
※虫歯の進行度を『C0~C4』と表します。これは虫歯を意味する『カリエス』の頭文字『C』を用いた歯医者さんの専門用語です
痛みを伴う虫歯を放置してしまった場合、虫歯はどんどん悪化して、歯の根っこまで侵されてしまいます。そうなると『抜歯』以外の治療法しか見つからなくなってきます。
突然の痛みはお薬などで対処できますが、その後はすぐに歯医者さんに診てもらい、大切な自分の歯を守るように努めましょう。
虫歯治療について詳しくは『進行度や状況に応じた虫歯治療と痛みを抑えた治し方』を参考にしてください
5.歯医者さんで治療してもらったあとも痛みが出る場合がある!
虫歯の治療後は神経が過敏になっているため、痛みが出てくることがあります。感覚でいうと“しみる”ような痛みを伴う場合があります。これは、ギリギリまで神経を残す治療を行ったり、神経を取り除いたあとに出る痛みなので、鎮痛剤を服用して様子を見ることになります。もし神経を残していて痛みがずっと続いている場合は、神経を取らなければいけない可能性があります。
6.まとめ
虫歯の痛みはいつ起きるかわかりません。痛みをすぐに鎮めたい場合、お薬を用いたりすることで一時的に緩和できるとお伝えしてきました。ただ、根本的な解消は、やはり歯医者さんでの治療以外にあり得ません。再び起きる痛みに苦しむよりも、早期治療で健康な毎日を過ごしましょう。
QAサイトで虫歯の痛みについて質問している方がいますので、そちらも参考にしてください。
経歴1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る執筆者:
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