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口角炎を引き起こす4つの原因とは?一般的な治療法を解説!

口角炎_原因

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「唇の両端に亀裂が入る」「口角が荒れて、痛みがある」といった症状に悩んでいるなら、恐らく口角炎になっています。軽い口角炎なら自然治癒を期待できますが、長引くようであれば、医療機関を受診したほうが良いでしょう。

さて、口角炎は4つの原因に分類することができます。原因ごとに、医療機関での治療方針も異なってきますから、「それぞれの違い」をしっかり把握することが大切です。

◆カンジダ性口角炎
◆細菌性口角炎
◆接触性口角炎
◆アトピー性口角炎

こちらの記事では、4つの原因ごとに「医療機関を受診した場合における一般的治療法」を解説したいと思います。

1.カンジダ性口角炎

口角炎の中でもっとも一般的なのが、カンジダ性口角炎です。ふだんから口腔内に棲んでいる常在菌―カンジダ菌が口角に感染し、炎症を起こしたものです。カンジダ菌は「真菌」と呼ばれる種類の菌になります。簡単に表現するなら、カビ・酵母などの仲間です。

1-1 カンジダ性口角炎の原因~真菌とは…?

真菌は「真正細菌(一般に細菌と呼ばれる菌)」とは別の種類に属します。真正細菌が細胞核を有しない「原核生物」なのに対し、真菌は細胞核を有する「真核生物」です。動物・植物なども真核生物に属するので、「原核生物か真核生物か」という分類で考えるなら、真菌は動植物の仲間…と表現することもできます。世間ではひとくくりに「菌」と呼ばれることも多い真菌と真正細菌には、思っているより大きな違いがあるのです。

1-2 カンジダ性口角炎の治療法

真菌感染症なので、抗真菌薬による治療をおこないます。カンジダ感染症の患者さんに処方される抗真菌薬としては「アゾール系抗真菌薬」があげられます。真菌の細胞膜をつくるのに必要な成分―「エルゴステロール」の合成を阻害する薬です。より厳密に表現するなら、エルゴステロールの合成に不可欠な酵素―「シトクロムP450」の働きを妨げます。結果的に真菌が生育できなくなり、真菌感染症が軽快に向かうわけです。

イゾール系と同じく「エルゴステロールの合成を阻害する作用機序の薬」として、「アリルアミン系抗真菌薬」というのも存在します。作用機序は同じですが、薬の構造が異なるので別系統として扱われています。

作用機序が異なる抗真菌薬にも、カンジダ感染症の治療に用いられる種類があります。真菌の細胞壁における構成要素―β-Dグルカン合成を妨げる「キャンディン系抗真菌薬」です。ただ、キャンディン系抗真菌薬は点滴剤であり、カンジダ菌が内臓に侵入する…などの深在性真菌症に用いられる薬です。口角炎などの表在性真菌症には用いられません。

抗真菌薬にもいくつかの種類があり、それぞれ「どの真菌に効くか」が異なっています。カンジダ菌による感染症であれば、カンジダ菌に奏効する抗真菌薬を処方する必要があるのです。

◆カンジダ性口角炎に用いられる抗真菌薬の例

一般名 商品名 系統
ケトコナゾール ニゾラール アゾール系
イソコナゾール アデスタン アゾール系
クロトリマゾール エンペシド アゾール系
塩酸テルビナフィン ラミシール アリルアミン系

2.細菌性口角炎

時折、「感染性の口角炎はカンジダ菌によるもの」と説明しているwebサイトを見かけますが、これは不正確です。たしかに、感染による口角炎の多くはカンジダ感染症ですが、中には真正細菌による口角炎も存在します。

2-1 細菌性口角炎の原因~真正細菌とは…?

細菌性口角炎の原因菌はいわゆる細菌(真正細菌)です。口角炎を引き起こす細菌としては、レンサ球菌・ブドウ球菌などがあげられます。ちなみに、(一般に言うところの)細菌を「真正細菌」と表現するのは、細菌には2種類が存在するからです。真正細菌(ユークバクテリア)と古細菌(アーキバクテリア)の2種類です。

ただ、古細菌については、あまり気にしなくて構いません。古細菌は「90℃を超える温泉源泉」「岩塩」など、およそ生物が棲むには適しない環境で生息する「埒外(らちがい)の生物」です。医学領域で話題に上ることは、ほとんどありません。2015年に病原体となり得る古細菌の存在が提唱されたものの、それまでは「病原体ではない」と考えられてきたくらいです。当然ながら、口角炎の原因となるレンサ球菌・ブドウ球菌はいずれも真正細菌になります。

2-2 細菌性口角炎の治療法

細菌感染症なので、抗生物質(抗菌剤)による治療をおこないます。細菌性口角炎に対しては、「テトラサイクリン系抗生物質」が多用されます。細菌がタンパク質を合成するための器官―「リボソーム」に働きかけて、タンパク質合成を阻害する抗生物質です。殺菌するのではなく「細菌の増殖を阻害する」という作用機序なので、「静菌性抗菌薬」と呼ばれています。

また、ブドウ球菌に対する抗菌薬としては「フシジン酸ナトリウム」なども知られています。やはり、タンパク質の合成を阻害することで、細菌の増殖を抑える薬です。ブドウ球菌属に幅広く奏効しますが、特に黄色ブドウ球菌に対して、高い抗菌力を発揮します。

細菌には「グラム陽性菌か、グラム陰性菌か」あるいは「球菌か、桿菌か」などの種別が存在します。抗生物質の種類ごとに「どのような細菌に奏効するか」は異なりますから、原因菌に合わせた抗生物質を用いなければなりません。ちなみに、レンサ球菌・ブドウ球菌はいずれも「グラム陽性球菌」に属します。

3.接触性口角炎

接触性口角炎は「接触性皮膚炎の症状が口角に現れたもの」です。ここまでの2種類とは異なり、感染を伴いません。接触性口角炎は、原因の違いにより「一次刺激性」と「アレルギー性」に細分化することができます。

3-1 一次刺激性接触性口角炎の原因

「一次刺激性接触性口角炎」は、化粧品・洗顔料などに配合されている化学物質に反応して炎症が起こったものです。化学物質の毒性に反応しているので、炎症の程度は「化学物質の毒性」に比例します。毒性のある物質が原因なので、「皮膚の弱さ」「そのときの体調」による差異はありますが、多くの人が同じ物質に対して刺激を感じます。

3-2 アレルギー性接触性口角炎の原因

「アレルギー性接触性皮膚炎」は、化粧品・洗顔料・日用品などに含まれたアレルゲンに反応して炎症が起こったものです。アレルギーは人それぞれなので、毒性のない物質に対して炎症反応が出ることもあります。本人の体質によるところが大きく、炎症の程度は「原因物質の毒性」と無関係です。実際、食品・金属など、多くの人にとって無害な物質が原因になることもあります。

3-3 接触性口角炎の治療法

根本解決の方法は、「原因物質を特定し、接触しないこと」です。もちろん、炎症を抑える対症療法も必要で、多くは「ステロイド系抗炎症薬」が処方されます。あまりに痛み・かゆみが強い場合は、アレルギーを抑える内服用の「抗ヒスタミン薬」を併用することもあります。

4.アトピー性口角炎

アトピー性口角炎は、「アトピー性皮膚炎の症状が口角に生じたもの」を指します。もともとアトピー性皮膚炎の素因を持っている場合に発症する口角炎です。患者さん本人は「口角炎を起こした」というより、「口のまわりに皮膚炎が生じた」と認識しているケースのほうが多いかもしれません。

4-1 アトピー性口角炎の原因

「アトピー=原因不明」と考えている人もいますが、最近はアトピー発症の原因がわかってきています。特に有力視されている原因は「表皮バリア破綻説」です。

人間の皮膚には、「外部からの刺激をシャットアウトする機能(=表皮バリア機能)」が備わっています。表皮のもっとも外側にある角質層では、「細胞間脂質」が肌内部をしっかりと守っています。細胞間脂質は「セラミド」「脂肪酸」「コレステロール」などの総称で、角質細胞の隙間を埋める存在です。

細胞間脂質は「脂質と水分がミルフィーユのように幾重にも束ねられた構造(=ラメラ構造)」を形成して、角質細胞の隙間を埋めています。ラメラ構造は外部刺激をシャットアウトすると同時に、角質層の水分が失われるのを防ぐ構造です。

しかし、角質細胞の内部を満たすと同時に、天然保湿因子(NMF)にもなる物質―フィラグリンが不足すると、角質層の水分量は低下する傾向があります。結果、表皮の水分が失われ、ラメラ構造が破綻するわけです。

いったんラメラ構造が失われれば、表皮バリアは機能不全に陥ります。水分が足りない以上、ラメラ構造を再構築するのも難しく、なかなかバリア機能を再建することもできません。また、角質層のバリア機能が失われると、アレルゲンとなる物質が入りこみやすくなります。本来、アレルゲンをシャットアウトするのは「角質層の表皮バリアが果たすべき役割」だからです。

結果、「バリア機能が失われて乾燥した肌」がたびたびアレルギー反応を起こし、慢性的に炎症を生じるようになります。これが、いわゆる「アトピー性皮膚炎(口角で発生すれば、アトピー性口角炎)」です。

4-2 アトピー性口角炎の治療法

アトピー性口角炎の治療は、アトピー性皮膚炎と同じようにおこなわれます。現状、原因を取り除く治療法は確立されていないので、「対症療法で消炎を図り、落ち着くのを待つ」という方針です。

具体的には、「ステロイド系抗炎症薬」または「タクロリムス軟膏(商品名:プロトピック)」で炎症を鎮めます。軽度の場合には保湿するだけで軽快することもあるので、「白色ワセリン」「ヘパリン類似物質(商品名:ヒルドイド)」などが処方される場合もあるでしょう。

5.まとめ

口角炎の原因は、大きく分けて4種類が存在します。それぞれに対処法が異なるので、「口角炎がずいぶん長引いているな…」と気づいたら、医療機関で診断を仰ぎましょう。特に「カンジダ性口角炎」と「細菌性口角炎」は医療機関で検査を受けないと判別できません。目安として、「2週間が経過しても改善しないなら医療機関へ」という認識を持っておきましょう。

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