歯の黄ばみや着色が気になり、「もっと白くしたい」と感じる方もいるでしょう。
ただし、歯が黄ばんで見える原因は一つではありません。
コーヒーやお茶、たばこなどによる歯の表面の着色、加齢による歯の色調の変化、薬剤による変色、神経を失った歯の変色などがあります。原因によって適した対処方法は異なります。
歯を白くしたいからといって、強い力で何度も歯を磨くことは避けましょう。過度なブラッシングや研磨性の高い製品の使い過ぎは、歯や歯ぐきへの負担となり、知覚過敏などにつながる可能性があります。
自宅で使用する歯磨剤などは、主に表面の着色を除去して歯本来の色へ近づける方法です。一方、歯科医院で行うホワイトニングでは、漂白材を使って歯そのものの色調を明るくします。
この記事では、自宅でできるケアから歯科医院で行うクリーニングやホワイトニングまで、それぞれの違いと注意点を解説します。
この記事の目次
1.自宅で歯の着色をケアする方法
1-1 ホワイトニングをうたう歯磨剤を使用する
市販されている歯磨剤の中には、「歯を白くする」「ステインを除去する」などの効能を表示している製品があります。
これらは主に、歯の表面に付着した着色汚れを落とし、本来の歯の色に近づけるために使用します。
ただし、歯科医院で過酸化水素や過酸化尿素などの漂白材を使用して行うホワイトニングとは異なります。
歯そのものの内部にある色調を、市販の歯磨剤だけで大きく変化させることは期待できません。
◆歯磨き粉と一緒にフッ素も使おう
歯を白くすることだけでなく、むし歯の予防も考える場合は、年齢に合った濃度のフッ化物を含む歯磨剤を使用しましょう。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、6歳以上の成人・高齢者は1,400~1,500ppmFの歯磨剤を歯ブラシ全体程度使用し、就寝前を含め1日2回歯を磨く方法が示されています。
歯磨き後は軽く吐き出し、うがいをする場合は少量の水で1回程度にします。
着色を落としたいからといって、研磨性のある歯磨剤で長時間強くこすらないようにしましょう。
冷たい物がしみる、歯ぐきが下がっている、歯の根元が削れているなどの場合は、歯科医院で磨き方や歯磨剤について相談してください。
◆自宅で歯磨剤を使用するメリット・注意点
メリット
・毎日の歯磨きに取り入れやすい
・表面の着色汚れを除去できる場合がある
・フッ化物配合製品であれば、むし歯予防にもつながる
注意点
・歯そのものの色調を漂白する方法ではない
・着色の原因によっては変化を感じにくい
・強く磨き過ぎると歯や歯ぐきへ負担がかかる場合がある
1-2 歯の消しゴムなどの市販用品を使用するときは注意する
歯の表面の着色を落とすために、「歯の消しゴム」などの名称で市販されている製品があります。
表面のステインが部分的に付着している場合は、使用によって目立ちにくくなることがあります。
ただし、強い力で繰り返しこすれば、より白くなるわけではありません。
歯や歯ぐきを傷つけないためにも、次の点を守りましょう。
・口腔内への使用を目的とした製品を選ぶ
・使用方法と使用頻度を守る
・強い力でこすらない
・歯ぐきや粘膜へこすりつけない
・痛みや知覚過敏が出たら使用を中止する
着色が落ちない場合は、無理にこすり続けず、歯科医院でクリーニングを受ける方法があります。
特に、歯の内部から変色している場合は、表面を研磨しても白くなりません。
1-3 ホワイトニングペンなどの市販品について
「ホワイトニングペン」などの名称で販売されている製品もあります。
ただし、ホワイトニングペンには統一された成分や規格があるわけではなく、使用目的も製品によって異なります。
歯の表面の着色を落としやすくする製品、歯の表面を一時的に明るく見せる製品などがあり、歯科医院で使用する歯科用漂白材とは同じものではありません。
使用する場合は、必ずメーカーが示す使用方法、対象年齢、使用時間、使用回数を確認しましょう。
インターネットなどで購入した成分や濃度が確認できない製品を、自己判断で歯や歯ぐきへ使用することは避けてください。
また、むし歯、歯の亀裂、知覚過敏、歯周病などがある場合は、市販品の使用前に歯科医院へ相談した方がよいでしょう。
2.歯そのものを白くしたい場合は歯科医院へ
自宅での歯磨きでは、主に歯の表面の汚れや着色を除去します。
それでも黄ばみが気になる場合は、歯科医院で原因を調べたうえで、クリーニングやホワイトニングなどを検討します。
2-1 歯科医院のクリーニングで着色を落とす
コーヒー、紅茶、緑茶、赤ワイン、たばこなどによる着色は、歯の表面に付着している場合があります。
このような外来性色素による変色であれば、歯科医師や歯科衛生士によるPMTCというクリーニングによって、歯本来の色に近づけられる場合があります。
PMTCでは、歯垢、歯石、着色などの状態に応じて、専用の器具や研磨材などを使用します。
ただし、クリーニングは歯そのものを漂白する治療ではありません。
着色を除去した後も歯の黄みが気になる場合は、ホワイトニングが適しているかを確認します。
また、歯石除去などの保険適用については、歯周病などの病気の治療として行うのか、審美目的なのかによって異なります。
2-2 ホワイトニングで歯そのものの色を明るくする
歯科でいう狭い意味でのホワイトニングは、過酸化水素や過酸化尿素などの漂白材を使用し、歯を削らずに色調を明るくする処置です。
代表的な方法として、ホームホワイトニングとオフィスホワイトニングがあります。
◆ホームホワイトニングとは
歯科医院で口腔内を診察し、専用のマウストレーを作製して、自宅で漂白材を使用する方法です。
歯科医師から使用方法の説明を受け、決められた量の薬剤をトレーへ入れて装着します。
薬剤の種類によって、1日の装着時間や治療期間は異なります。
国内で承認されているホームホワイトニング材の一つでは、過酸化尿素を使用し、成人の健全な前歯を対象として、1日最大1.5時間、最長2週間という使用方法が定められています。
そのため、インターネット上の情報だけを参考にして、使用時間を延ばしたり薬剤の量を増やしたりしてはいけません。
ホームホワイトニングでは、次のような症状が現れる場合があります。
・歯がしみる
・歯ぐきが痛む
・口腔内に違和感がある
異常を感じた場合は使用を中止し、担当の歯科医師へ相談します。
◆オフィスホワイトニングとは
歯科医院で歯科用漂白材を歯面へ塗布して行うホワイトニングです。
使用する製品によっては、漂白作用を補助するため光を照射します。
国内承認製品には、高濃度の過酸化水素を含む漂白材を歯面へ塗布し、歯肉を保護したうえで処置するものがあります。
ホームホワイトニングより1回の処置で色の変化を感じやすい場合がありますが、必要な処置回数や得られる白さには個人差があります。
また、薬剤が歯ぐきへ付着すると刺激になる可能性があるため、歯科医療従事者による管理が必要です。
◆ホーム・オフィスホワイトニングの違い
ホームホワイトニング
メリット
・歯科医師の管理のもと、自宅で行える
・自分の生活に合わせて使用できる
・徐々に色調の変化を確認できる
注意点
・毎日決められた方法で使用する必要がある
・知覚過敏が生じる場合がある
・白さを感じるまでの期間には個人差がある
オフィスホワイトニング
メリット
・歯科医院で処置を受けられる
・比較的短期間で色調変化を感じる場合がある
・薬剤の管理を歯科医療従事者が行う
注意点
・知覚過敏や歯肉への刺激が生じる場合がある
・希望する白さによって複数回の処置が必要になる場合がある
・白さは永久に維持されるものではない
日本歯科医師会では、ホームホワイトニング、オフィスホワイトニングのいずれでも、処置後に後戻りが生じる可能性があるとしています。
なお、詰め物、被せ物、インプラントなどの人工物は、通常のホワイトニングでは白くなりません。
前歯に修復物がある場合は、ホワイトニング後に天然歯と色が合わなくなる可能性があります。事前に治療計画を相談しましょう。
ホワイトニングの効果に関しては「すぐに白くしたい人へ!歯科医院で行うホワイトニングとは」を参照下さい。
2-3 ラミネートベニアで色や形を整える
ラミネートベニアは、ホワイトニングとは異なる治療です。
一般的には前歯の表面を必要な範囲で形成し、薄いセラミックなどの修復物を接着して、歯の色や形を整えます。
漂白では改善が難しい強い変色や、歯の形も同時に整える必要がある場合などに検討されることがあります。日本歯科医師会も、漂白とは別の方法としてラミネートベニアを紹介しています。
メリット
・歯の色だけでなく形態も調整できる
・漂白で改善しにくい変色に対応できる場合がある
注意点
・健康な歯質を削る場合がある
・一度形成した歯は元の状態に戻せない
・欠けたり外れたりする可能性がある
・噛み合わせや歯ぎしりによって適さない場合がある
・自由診療となる場合が多い
「白くしたい」という理由だけで最初から歯を削る方法を選ぶのではなく、着色除去やホワイトニングなど、歯への侵襲が少ない方法から検討することが大切です。
3.歯を白くしたあとの注意点と白さを保つポイント
ホワイトニング後の注意事項は、使用した漂白材によって異なります。
国内承認されているオフィスホワイトニング材の中には、処置後24時間はコーヒー、カレー、赤ワインなどの着色性の飲食物や喫煙を避けるよう指示している製品があります。
一方、日本歯科医師会では、漂白直後は歯面に色素が沈着しやすい状態となるため、色の濃い飲食物や喫煙を控えるよう説明しています。
「必ず48時間避ける」など一律に決めるのではなく、使用した薬剤について歯科医師から受けた指示を優先してください。
ホワイトニング後は、次のようなケアを続けましょう。
・フッ化物配合歯磨剤を使って適切に歯を磨く
・デンタルフロスや歯間ブラシを使用する
・着色が気になっても強く磨かない
・喫煙を避ける
・着色が増えた場合は歯科医院でクリーニングを受ける
・必要に応じてホワイトニング後の経過を確認する
ホワイトニングによる白さは永久に続くものではありません。
食生活、喫煙、加齢などによって、徐々に色調が変化することがあります。
また、年齢とともに歯の色が変わる理由には、象牙質の色調変化やエナメル質の変化など、複数の要因があります。
一方、1本の歯だけが急に灰色や褐色へ変化した場合は、単なる加齢や着色とは限りません。
過去の外傷や歯髄の壊死、むし歯、修復物などが関係する場合があるため、歯科医院で診察を受けましょう。
4.まとめ
歯を白く見せる方法には、大きく分けて「表面の着色を落とす方法」と「歯そのものを漂白する方法」があります。
自宅で使用する歯磨剤や一部の市販用品は、主に表面についた着色を落とし、本来の歯の色へ近づけるためのものです。
強く磨いたり、研磨性のある製品を何度も使用したりすれば、さらに白くなるわけではありません。歯や歯ぐきを傷つけないよう、製品の使用方法を守りましょう。
表面の着色が強い場合は、歯科医院で専門的なクリーニングを受ける方法があります。
歯そのものの黄ばみを明るくしたい場合は、歯科医院でホームホワイトニングやオフィスホワイトニングを検討します。
ホワイトニングでは、知覚過敏や歯肉への刺激が生じる場合があります。また、むし歯、歯の亀裂、歯周病などがある場合は、先に治療が必要になることがあります。
ラミネートベニアは歯そのものを漂白する方法ではなく、歯の表面へ修復物を接着して色や形を整える治療です。歯を削る場合があるため、ホワイトニングとは分けて考える必要があります。
歯の色が気になる場合は、まず「表面の着色なのか」「歯そのものの変色なのか」を確認することが大切です。
特に、1本だけ急に色が変わった、歯が痛む、冷たい物が強くしみる、むし歯や歯ぐきの症状があるといった場合は、自宅で白くしようとせず、歯科医院へ相談しましょう。
【参考サイト】
・公益社団法人 日本歯科医師会「ホワイトニング」
https://www.jda.or.jp/park/trouble/white.html
・公益社団法人 日本歯科医師会「ホワイトニング 歯の漂白法の種類」
https://www.jda.or.jp/park/trouble/white_02.html
・公益社団法人 日本歯科医師会「ホワイトニング 漂白処置直後の注意点」
https://www.jda.or.jp/park/trouble/white_03.html
・厚生労働省 e-ヘルスネット「フッ化物配合歯磨剤」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-007.html
・公益社団法人 日本歯科医師会「知覚過敏」
https://www.jda.or.jp/asahiruban/vol52/contents/oshiete.html
・独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「アンジェラス ホーム 16%」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiDetail/ResultDataSetPDF/112775_30400BZX00204000_1_01_02
・独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ホワイトエッセンスホワイトニング プロ」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiDetail/ResultDataSetPDF/832000_23000BZX00368000_A_01_03
QAサイトも参考にしてください。
自分でおこなって失敗してしまった場合のリスクだけでなく、費用・結果・メンテナンスの面でも歯医者さんでのホワイトニングを推奨しています。
血液型:B型
誕生日:1978-09-07
出身地:千葉県
趣味・特技:映画鑑賞、読書、勉強(歯科医療関係)
座右の銘:一意専心
好きな食べ物:唐揚げ(唐揚げニスト)、ハンバーガー、ステーキ
2003年 明海大学歯学部 卒業
2005年 すまいる歯科 分院長就任
2008年 あすか歯科クリニック 分院長就任
2012年 東葉デンタルオフィス 開院
現在に至る

執筆者:
歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。
