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保険適用内外の差し歯の値段と種類によって違う特徴について

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保険適用内から適用外まですべて含めると、1本あたりの差し歯の値段は、およそ3000円から20万円までという値段の幅があります。保険適用内の差し歯では、3000円から8000円程度に収まるお値段ですが、保険適用外では、およそ4万円から20万円といった大きな違いがあります。それは、主に素材の違いとなります。

費用をできるだけ安く抑えたいという人もいますし、審美上、望ましくなければ、保険適用外の治療でも構わないという方もいるでしょう。特に、人前で目立つ前歯の差し歯に関しては、各素材の特徴をあらかじめ知っておくべきです。

1.保険が適用される差し歯の値段と特徴

保険が適用される差し歯の最大のメリットは、なんといっても費用が圧倒的に安いということです。そして、奥歯で適用される素材は銀歯のみですが、前歯(1番目から5番目)までは、ある程度見た目の良い、白のレジン素材も使用できます。

1-1 硬質レジンジャケット冠 

およそ3000円から5000円

差し歯全体が白いレジン(歯科用樹脂)素材で作られるのが、硬質レジンジャケット冠です。保険では、前歯の1番目から5番目に適用可能です。

デメリット

全体がレジンなので、噛み合わせが強い部分には向いていません。また、時間が経ってくると、レジンが黄色く変色してしまいます。

1-2 硬質レジン前装冠 

およそ5000円から8000円

金属(金銀パラジウム合金など)を中心素材として、外側にレジンを被せた差し歯が硬質レジン前装冠です。噛み合わせの強い箇所でも使用できます。保険適用内の前歯の差し歯は、ほとんどがこのタイプ。適用できる箇所は、前歯の1番目から3番目になります。

デメリット

硬質レジンジャケット冠同様、レジンが黄色く変色してきます。金属部分が溶け出して歯茎を着色し、歯と歯茎の境目が黒く見えてくる場合もあります。また、金属アレルギーの方には不向きです。

1-3  銀歯

およそ3000円から5000円 

6番目以降の奥歯の差し歯に使われるのが銀歯となります。銀歯と言っても素材は銀ではなく、主に金銀パラジウム合金などが使われています。強い噛み合わせにも耐える素材です。

デメリット

6番目以降の奥歯なので目立ちませんが、銀色なので審美的には良いものとは言えません。強い噛み合わせに耐えますが、硬すぎるので反対側の歯を痛めてしまう可能性もあります。

2.保険が適用されない差し歯の値段と特徴

実は、保険が適用できる素材として、主に使われている金銀パラジウム合金は、欧米ではほとんど使われていない素材です。もちろん、欧米と比較すると、日本の保険治療は圧倒的に安いというメリットがありますが、保険適用外の素材まで選択肢を広げると、より審美性の高く優れた素材が選べます。

ただし、保険外の高額な素材だからといって、見た目や耐久性をすべて保証するものではなく、歯科医や歯科技工士の技量に大きく依存します。

2-1 ハイブリッドセラミック

およそ4万円から12万円 

レジンにセラミックの粒子を練り合わせた素材が、ハイブリッドセラミックで、主に前歯に使用されます。

メリット

保険外の差し歯では、比較的お値段が安い素材の一つ。金属のコアがありませんが、素材自体の強度が強いので、噛み合わせで力のかかる箇所でも使えます。もちろん金属アレルギーの心配はありません。

デメリット

レジンを含んでいるため、やはり経年変化で、徐々に変色してきます。

2-2 オールセラミック

およそ8万円から15万円 

レジンを使わず、すべてセラミックで作られた差し歯が、オールセラミックです。主に、前歯の差し歯に使用されます。

メリット

セラミックは汚れが着色しにくく、経年変化による変色もないので、審美性が高いのが特徴です。金属アレルギーの心配がありません。

デメリット

レジンを含まないので審美性が高い一方、セラミック(陶器)なので、割れやすいという難点があります。

2-3 メタルボンド

およそ8万円から15万円 

内部は金属で、表面をセラミックで覆ったものがメタルボンドで、保険外の差し歯として、前歯にも奥歯にも使用できる、もっとも一般的な素材と言えます。

メリット

オールセラミックと同様に素材に汚れが付きにくく、経年変色がないので、審美性が高く、ベースが金属なので、噛み合わせが強い箇所にも使えます。

デメリット

金属を使用しているので、歯茎が下がると、歯と歯茎の境目が黒く見える場合もあります。金属アレルギーの方の使用にも不向きです。

2-4 ジルコニアクラウン

10万円から20万円 

前歯にも奥歯にも使える差し歯として、比較的高額な素材がジルコニアクラウンです。内部に生体親和性の高いジルコニアを使い、それをセラミックで覆った素材になります。

メリット

強度の高いジルコニア素材なので、強い噛み合わせにも耐えることができます。人工骨にも使われる素材で、金属アレルギーの方はもちろん、体への親和性が高い素材といえます。

また、ジルコニアはセラミックなので、溶け出すこともなく、歯と歯茎の境目の変色もなく、表面はセラミックなので、着色や経年変色も避けられます。

デメリット

ジルコニア素材をそのまま使うこともできますが、セラミックと比較すると透明感が少ないので、前歯にはセラミックを焼き付ける形になります。また、材料が固いため、制作に時間がかかり、費用が高額になります。

2-5 金歯(ゴールドクラウン)

およそ4万円から12万円 

金合金を素材とした差し歯が金歯です。純金ではなく、適度な強度を高めるため、プラチナや他の金属を合わせた合金で作られています。主に、奥歯の差し歯に使われます。

メリット

十分な強度があり、強い噛み合わせに耐えることができます。それでいて、歯に近い柔らかさがある素材なので、合わさる歯を痛めにくく、噛み合わせが馴染みます。素材としての実績があり、長持ちする差し歯と言えます。

デメリット

色が金なので、審美的にはあまり良いものとは言えません。溶け出さず、安定した金合金ですが、ごくまれに金属アレルギーを引き起こす場合もあります。

3.保険で前歯を差し歯にすると起き得る7つのこと

保険適用内で、安く治療できるならば、それに越したことはありません。しかし、特に前歯は、審美的な部分のデメリットを十分に考慮して、保険内にするか保険外にするかを入念に決めたいところです。前歯の保険内の差し歯で考えられるデメリットを、改めてご紹介しましょう。

3-1.色が合わない場合がある

保険適用の前歯でも、装着直後は自然な歯と変わらない色合いですが、人によっては、既存の歯と色が合わないケースもあります。

3-2 レジンが変色する

歯科用レジンは、食べ物などの着色汚れが付きやすい素材です。装着当初は、きれいに見えても、着色によって色合いが変わってしまう可能性が高く、また、時間が経つごとに、レジン素材自体も黄変してきます。

3-3 歯茎や歯の根が黒くなってくる

保険内の前歯の差し歯で、主に使われるのが硬質レジン前装冠です。ベースに使われる金銀パラジウム合金は、唾液などでイオン化して溶け出し、歯茎を黒く変色していきます。差し歯自体の変色も気になるところですが、歯茎が黒変するのは、見た目的には避けたいところです。

3-4 歯の厚みが大きくなる

レジン部分は、強度を持たせるために、ある程度の厚みが必要です。このため、全体的に差し歯が大きくなり、他の歯と馴染まない可能性があります。

3-5 新たな虫歯を引き起こしやすい

金属部分が溶け出して劣化すると、歯茎を黒く変色させるだけでなく、隙間が生じて、虫歯になりやすいと言われています。

3-6 根が折れる可能性がある

金属の土台は、強い噛み合わせに耐える強度がありますが、逆に硬すぎるため、強い力がかかると歯の根自体を痛めて、場合によっては折れてしまう可能性もあります。

3-7 レジンが剥がれやすい

レジンは経年変化によって、収縮してくる素材です。ベースの金属の劣化とレジンの収縮によって、レジンが剥がれてしまうことがあります。

4.奥歯を差し歯にするときに生じる3つの問題

保険内の治療では、審美的な問題の多い前歯の差し歯ですが、奥歯の場合は、保険適用範囲の治療でも、大きな問題は少ないと言えます。ただし、金銀パラジウム合金が主体なので、前歯同様に以下の3つの問題が生じることを覚えておきましょう。

①周囲の歯茎が黒くなる

②金属の劣化によって隙間が生じ新たな虫歯になりやすい

③硬い素材なので、噛み合わさる歯を損傷する可能性がある

もちろん、金属アレルギーのある方は、保険適用外の金歯やジルコニアといった素材を選択することが必要となります。

5.まとめ

審美性を保てること、長持ちすること、金属アレルギーといった身体的な影響が少ないことが、差し歯を選ぶポイントになります。もちろん、とにかく安く治療したいという希望もあるでしょうが、新たな虫歯を引き起こしたり、歯の根を折ってしまうなど、元々の歯を失う可能性もあります。

保険内治療のデメリットを十分考慮した上で、決断すべきです。もちろん、歯科医とも十分に相談して、どのような治療を進めるのがベストなのか判断したいところです。

QAサイトで歯医者さんに差し歯の値段について質問している方がいますので、そちらも参考にしてください。

『差し歯の値段』に関して、歯医者さんの回答を見る

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