保険適用内外の差し歯の費用と種類ごとの特徴について

保険適用内外の差し歯の費用と種類ごとの特徴について

差し歯の費用は、使用する素材や、保険適用か自由診療かによって大きく変わります。保険診療では診療報酬に基づいて費用が決まりますが、自己負担割合、治療内容、歯の部位、医療機関の施設基準などによって支払う金額が変わることがあります。自由診療の場合は、歯科医院ごとに料金設定が異なります。
この記事では、保険適用内と適用外に分けて、差し歯の費用の考え方や素材ごとの特徴、メリット・デメリットなどをまとめています。差し歯を入れる予定があり、どの素材にするか迷っている人、保険適用内・外いずれにしようか決めかねている人は、検討材料として役立ててください。

※本記事に掲載している自由診療の料金は、2026年時点でEPARK歯科に掲載されている歯科医院の料金情報を参考にしたものです。料金は地域や施術内容、使用する機材、歯科医院の方針等によって異なります。実際の料金については受診予定の歯科医院へご確認ください。
※ここでは2026年現在の3割負担の場合の保険診療の費用を記載しています。初診料やレントゲンは含んでいません。区分や制度の改定でも変動しますので、あくまで目安としてください。

この記事の目次

1.保険が適用される差し歯の費用と特徴

一般に差し歯と呼ばれる治療は、歯根が残っている歯に土台(コア)を立て、その上に被せ物を装着する治療です。
保険診療では、治療内容や使用できる素材などが細かく定められています。 費用は診療報酬点数によって決まっているため、同じ治療内容であれば大きく変わらないのが基本です。
しかし、自己負担の割合や、その歯科医院が厚生労働省の定める施設基準に適合し、所定の届け出をしているかどうかといったことで、診療報酬点数や支払う金額が変わることがあります。

【コア】

種類と値段の目安メリットデメリット
CR(レジン)コア
約500円~1,000円
・金属を使用しない
・被せ物が白い場合でも土台の色が透けない
・直接法という1日でコアをたてられる場合がある
・保険適用内でできる場合がある
・プラスチックのため衝撃に弱い場合がある
・経年劣化により収縮して適合が悪くなる場合がある
・症例によっては選択肢に入らない場合もある
メタルコア
約1,500円~3,000円
・保険適用内でたてられる
・強度がある
・金属の表面を白くする加工もできる場合がある
・金属アレルギーの場合選択されない
・噛み合わせや癖によっては噛む力を分散できず歯根の破折につながる場合がある
・金属が影響して歯ぐきが黒く見える可能性がある

【被せ物】

種類と値段の目安メリットデメリット
硬質レジンジャケット冠
約3,000円~5,000円
・金属を使用しない
・治療回数が少なく済むことがある
・保険適用の中では白い見た目にできる場合がある
・嚙み合わせが強い部分には不向きな場合がある
・経年による変色が起こることがある
・強度を確保するため、歯を削る量が多くなることがある
硬質レジン前装冠
約5,000円~8,000円
・金属のフレームを使うため強度を確保しやすい
・保険適用の中では白い見た目にできる場合がある
・金属が影響して歯ぐきが黒く見えることがある
・金属アレルギーの人には不向きな場合がある
・レジン部分に経年による変色が起こることがある
銀歯
約3,000円~6,000円
・嚙み合わせが強い部分に使える場合がある
・保険診療で費用を抑えやすい
・口を開けたときに目立つことがある
・経年劣化することがある
・適合状態や清掃状態によっては被せた部分の境目からむし歯になることがある
・噛み合う歯に負担がかかることがある
CAD/CAM冠
約6,000円~10,000円
・嚙み合わせが強い部分にも使える場合がある
・金属を使用しない設計にできる場合がある
・保険内で白い被せ物ができる場合がある
・レジンを含むため、経年による変色や摩耗が起こることがある

※ここでは2026年(令和8年)の3割負担の場合の保険診療の費用を記載しています。初診料やレントゲンは含んでいません。治療内容や区分、制度の改定でも変動しますので、あくまで目安としてください。

1-1 硬質レジンジャケット冠

硬質レジンジャケット冠とは、金属の裏打ちがなく、冠(かぶせもの)全体が歯科用の硬質レジンでできている保険適用の白い歯のことです。金属を使わないためアレルギーの心配がなく、費用も比較的安価ですが、噛み合わせによっては割れやすい可能性があります。

1-2 硬質レジン前装冠

金属(主に金銀パラジウム合金)の外側にレジンを被せた差し歯です。
前歯に使用した場合は保険適用となります。

咬み合わせが強い部分にも使える点や、経済的な負担が少ないというメリットがあります。
また、表面はレジンのため、透明感はないもののある程度白い歯にすることができます。

一方で、金属部分が溶けてくると歯と歯茎の境目が黒く見える、金属アレルギーの人には不向き、裏側から見ると金属部分が見えるなどのデメリットがあります。

1-3 銀歯

銀歯と言っても素材は銀そのものではなく、歯科用金属が使われます。 口を開けたときに目立つことがあるため、奥歯に使われることが多い素材です。
保険診療で費用を抑えやすい点や、嚙み合わせが強い部分にも使用できる場合がある点がメリットです。
しかし、金属の硬さにより咬み合う歯に負担がかかることがある、経年劣化することがある、被せものと歯の境目からむし歯になることがあるなどのデメリットもあります。

1-4 CAD/CAM冠

レジンにセラミックの粒子を練り合わせた素材が、ハイブリッドセラミックです。
金属アレルギーが心配な人に検討される場合があり、保険内で条件を満たしていれば保険内でできる場合もあります。
ただし、レジンが含まれているため、経年による変色や摩耗が起こることがあります。条件を満たしていれば保険内でできる場合もあります。

2.保険が適用されない差し歯の費用と特徴

保険適用外の素材まで選択肢を広げると、見た目や機能性、耐久性などを考慮して素材を選べる場合があります。 費用は歯科医院ごとに異なります。 自由診療となるため、事前によく確認しておきましょう。

【コア】

種類と値段の目安メリットデメリット
ファイバーコア
約10,000円~30,000円
(※)
・金属を使用しない
・被せ物が白い場合でも土台の色が透けない
・直接法という1日でコアをたてられる場合がある
・程良いしなりがあるため噛む力を分散させやすい
・自由診療の場合費用がかかる

(※)条件を満たせば保険適用になる場合もある

【被せ物】

種類と値段の目安メリットデメリット
CAD/CAM冠
約40,000円~70,000円
(※1)
・自由診療の白い素材の中では費用を抑えられる場合がある
・嚙み合わせが強い部分にも使える場合がある
・金属を使用しない設計にできる場合がある
・レジンを含むため、経年による変色や摩耗が起こることがある
オールセラミック
約96,000円~120,000円
・着色しにくい
・経年による変色が少ない
・自然な見た目を目指しやすい
・金属を使用しない設計にできる
・強い力がかかると割れることがある
・自由診療のため費用が高くなることがある
メタルボンド
約63,000円~102,000円
・表面がセラミックのため着色しにくい
・金属のフレームにより強度を確保しやすい
・前歯にも奥歯にも使える場合がある
・金属アレルギーの人には不向きな場合がある
・歯と歯ぐきの境目が黒く見えることがある
ジルコニアクラウン
約80,000円~116,000円
・着色しにくい
・経年による変色が少ない
・強度が高く、奥歯にも使える場合がある
・金属を使用しない設計にできる
・材料が硬いため、噛み合わせの調整が重要
・費用が高くなることがある
金歯
約84,000円~105,000円
・嚙み合わせが強い部分にも使える場合がある
・適合性やなじみのよさが期待できる場合がある
・金色のため目立つ
・金属アレルギーを招くことがある

(※1)条件を満たせば保険適用になる場合もある

※2026年時点のEPARK歯科掲載自由診療料金情報を参考に編集部集計

2-1 CAD/CAM冠

レジンにセラミックの粒子を練り合わせた素材が、ハイブリッドセラミックです。 前歯や奥歯に使われることがあります。
自由診療の白い差し歯の中では、比較的費用を抑えられることがあります。 金属を使用しない設計にできるため、金属アレルギーが心配な人に検討される場合があります。
ただし、レジンが含まれているため、経年による変色や摩耗が起こることがあります。条件を満たしていれば保険内でできる場合もあります。

2-2 オールセラミック

レジンを使わず、すべてセラミックで作られた差し歯が、オールセラミックです。 前歯の差し歯に使われることが多い素材です。
着色しにくく、経年による変色が少ないため、自然な見た目を目指しやすい特徴があります。 金属を使用しないため、金属アレルギーが心配な人にも検討されることがあります。
ただし、セラミックは強い嚙み合わせや硬いものを食べたときに割れてしまうことがあります。 自由診療のため、費用は歯科医院ごとに異なります。

2-3 メタルボンド

内部は金属で、表面をセラミックで覆ったものがメタルボンドです。 前歯にも奥歯にも使用できる場合があります。
表面がセラミックのため着色しにくく、見た目にも配慮しやすい素材です。 ベースが金属なので、嚙み合わせが強い部分にも使える場合があります。
ただし、金属が使われているため、歯ぐきが下がった状態になると、歯と歯ぐきの境目が黒く見える場合があります。 金属アレルギーの人には不向きな素材です。

2-4 ジルコニアクラウン

自由診療の中でも比較的高額になりやすい素材が、ジルコニアクラウンです。 ジルコニアはセラミックの一種で、強度が高い素材として知られています。
強い嚙み合わせにも対応しやすいため、奥歯にも使われることがあります。 着色しにくく、経年による変色が少ない点も特徴です。 金属を使用しない設計にできるため、金属アレルギーが心配な人にも検討されることがあります。
ただし、セラミックと比較すると透明感が少ない場合があるため、前歯に使う場合は表面にセラミックを焼き付けることがあります。 また、材料が硬いため、咬み合う歯への負担を考えて噛み合わせを調整することが重要です。

2-5 金歯(ゴールドクラウン)

金合金を素材とした差し歯が金歯です。 純金ではなく、強度や加工性を考えて、プラチナや他の金属を合わせた合金で作られています。 主に奥歯の差し歯として使われます。
十分な強度がありながら、歯になじみやすい素材として検討されることがあります。 適合性に配慮しやすい素材として、古くから使われています。
ただし、色が金なので目立ってしまうことがあります。 また、頻度は高くありませんが、金属アレルギーを引き起こす場合があります。

3.前歯を保険適用内の差し歯にするときの留意点

保険適用内の差し歯は、経済的な負担を抑えやすいメリットがあります。 しかし、前歯を保険適用内の差し歯にする場合、自由診療の素材と比較して、見た目や変色などの面で注意が必要になることがあります。
両方を十分に考慮した上で決めることをおすすめします。

3-1 色が合わないことがある

保険適用内の差し歯でも、装着した直後は自然な歯に近い色合いに見えることがあります。 しかし、経年による変色があるほか、周りの歯の色や透明感と合わないことがあります。

3-2 レジンが変色することがある

レジンは、飲食物やタバコといった着色汚れが付きやすい素材です。 装着当初はきれいに見えても、食習慣や嗜好品(しこうひん)などによる着色で色合いが変わってしまうことがあります。
また、毎日きちんとケアしていても、時間が経つにつれてレジン自体が黄色く変色することがあります。

3-3 歯ぐきが黒くなることがある

保険適用内の前歯の差し歯には、金属を使った被せものが用いられることがあります。 金属が影響して、歯と歯ぐきの境目が黒く見えることがあります。
レジンが使われている場合、差し歯自体も経年によって黄色く変色することがあります。

3-4 歯の厚みが増すことがある

レジンに強度を持たせるには、ある程度の厚みが必要になります。 差し歯が厚く大きくなると、周りの歯となじまないことがあります。

3-5 むし歯を招くことがある

差し歯や土台が劣化し、歯との間に隙間が生じることがあります。 そこに食べカスといった汚れが溜まり、細菌が増殖すると、差し歯の下でむし歯になることがあります。

3-6 周囲の歯や歯の根を傷めることがある

差し歯を入れる際、人工の土台を入れてその上に差し歯を被せる方法があります。 土台には、レジンや金属などのものがあります。
金属の土台は強度がありますが、歯よりも硬いため、強い力がかかることで、土台を入れた歯の根の部分に負担がかかることがあります。

3-7 レジンが剥がれてしまうことがある

レジンは、長く使ううちに劣化することがあります。 レジン自体の劣化、あるいはベースの金属との接着部分の変化などによって、レジンが剥がれてしまうことがあります。

4.奥歯を保険適用内の差し歯にするときの留意点

奥歯は前歯と比べると見えにくいため、保険適用内の差し歯でも、見た目の問題が少ないと感じる人もいます。 ただし、奥歯は噛む力が強くかかる場所のため、素材の強度や噛み合わせ、清掃のしやすさなどに注意が必要です。
保険適用内の奥歯の差し歯では、次のような問題が生じることがあります。

① 金属が影響して歯ぐきが黒く見えることがある
② 金属や被せものの劣化によって歯との間に隙間が生じると、むし歯になることがある
③ 素材が硬いため、咬み合う歯に負担がかかることがある
④ 白い保険適用の被せものは、歯の部位や噛み合わせ、施設基準などによって適用できないことがある

奥歯の差し歯を選ぶ際は、見た目だけでなく、噛み合わせや清掃のしやすさ、再治療のリスクなども含めて歯科医院と相談しましょう。

5.まとめ

差し歯にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や費用が異なります。 メリットやデメリットもさまざまであるため、一概に保険適用内・外のどちらが良いとは言えません。
選ぶ際は、見た目や機能性、耐久性、金属アレルギーの有無、費用、将来的なメンテナンスなどがポイントになってきます。
保険適用内の差し歯は、使える素材や適用の条件が制限されているため、希望通りの結果が得られないこともあります。 保険適用外の差し歯は全額自己負担になるため、費用や色、素材など自分の希望をしっかりと伝え、納得したうえで選びましょう。
また、保険適用の範囲や費用は制度改定により変わることがあります。治療前に、保険適用の可否、自己負担額、素材の特徴、保証やメンテナンスの内容について歯科医院に確認しましょう。

QAサイトで差し歯の値段について質問している人がいるので、こちらも参考にしてください。

『差し歯の値段』に関して、歯医者さんの回答を見る

【参考サイト】
・厚生労働省 令和8年度診療報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
・J-STAGE「チタン鋳造のクラウン・ブリッジへの応用と留意点」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdmd/40/1/40_14-18/_pdf/-char/ja
・日本補綴歯科学会
https://www.hotetsu.com/

飯田尚良 先生監修
コメント

最近保険適応または自由診療の中でCAD/CAMによる白い歯が勧められています。オーダーメイドのように説明されていますが、パソコンによる自動作成であるためセミオーダーと考えるべきです。rn不適合のケースが最近多く見受けられます。しっかりとした調整をしてもらってください。

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。

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