親知らずの痛みのピークはいつ?抜歯後の痛みを乗り越える対処法

親知らずの痛みのピークはいつ?抜歯後の痛みを乗り越える対処法

「親知らずの抜歯は痛い」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

もちろん、麻酔をするので抜く瞬間に痛むことはあまりありません。むしろ、痛みがピークを迎えるのは麻酔が切れてからになるでしょう。

この記事では、「親知らずを抜歯したときの痛み」について解説し「麻酔が切れたあとの痛みを抑える方法」を伝えていきます。

この記事の目次

1.抜歯後の痛みを緩和する!痛みのピークはいつ頃…?

抜歯を終えてから1~3時間で麻酔が切れ始めます。抜歯した傷あとがすぐに塞(ふさ)がるわけではないため、麻酔が切れ始めると多少の痛みが出てきます。

この章では「痛みのピーク」と「痛みを抑えるための注意点」を解説します。

1-1 抜歯直後~麻酔が切れるまで

歯医者さんで痛み止めを処方されているはずです。

麻酔が切れ始める前に1回目を服用しておきましょう。痛み止めが効くまでに一定の時間がかかるうえ、強い痛みが出てからでは痛み止めの作用を実感しにくくなるためです。

【注意点】

麻酔が切れるまでの間、食事は控えましょう。感覚が鈍くなっているので、口の中を噛むなどケガを負うリスクがあります。

また、水分は摂取しても構いませんが、熱い飲み物は避けるようにしましょう。温感・冷感も鈍くなっているので、火傷する恐れがあります。

1-2 抜歯当日~翌日

抜歯当日の夜から翌日(人によっては翌々日) くらいが痛みのピークと言われています。忘れずに痛み止めを服用しましょう。抜歯後24時間以内であれば、解熱・冷却シートなどで頬から冷やすのもよいとされています。

また、口の中ににじむ程度の出血が続いていても、ガーゼでぬぐい切れないほどの量でなければ、この時点では過度に気にしなくても良いでしょう。

痛みだけでなく「腫れのピーク」も翌日から翌々日くらいに現れます。

見た目が気になる場合は、マスクで顔を隠すなど工夫すると良いでしょう。血行が良くなると痛み・腫れともに悪化する可能性が高いため、なるべく安静を保つよう心がけましょう。

【注意点】

抜歯した傷あとには「血液がゼリー状になったもの」がはまっているはずです。これは「かさぶた」のような働きをするもので「血餅(けっぺい)」と呼ばれています。

血餅が外れると「ドライソケット(傷口が顎の骨まで直通になった状態)」になってしまいます。

ドライソケットになると、激しい痛みが1カ月近く引かないケースもあるので、血餅が外れないように注意しましょう。

過度なうがい」「ストローなどで何かを吸いこむ動作」「蕎麦やうどんをすする動作」「歯ブラシの接触」などは血餅が脱落する原因になります。 患部にそうした刺激を与えないようにしましょう。

1-3 抜歯2~3日目

抜歯から2日ほどでピークを過ぎ、痛みはだんだん治まっていきます。

「何かの拍子に痛む」程度の痛みは一週間ほど続くこともありますが、「何もしていないのにズキズキ痛む」といった大きな問題は次第になくなっていくでしょう。

痛みがなければ、痛み止めを飲む必要はありません。ただし、抜歯後の感染を抑えるための抗生物質を処方されている場合は、忘れずに飲み切るようにしましょう。

【注意点】

抜歯から2日を過ぎても「痛みがまったく引かない」「痛みが強くなった」という場合、血餅が外れてドライソケットになっている恐れがあります。

ドライソケットかもしれないと感じたら、抜歯した歯医者さんに連絡して指示を受けましょう。ドライソケットが炎症を起こし、「骨髄炎」などの口腔トラブルに発展する恐れもあるからです。

また、この時点で出血が続いている場合、傷口が炎症を起こしていたり、持病などで服用している薬が関係していたりする可能性も考えられます。不安な場合は遠慮せず、歯医者さんに相談しましょう。

2.抜歯後の痛みと、親知らずの「位置・生え方」

親知らず抜歯後の痛みは、抜歯の難しさに比例すると言われています。抜歯が難しくなるほど、麻酔が切れてからの痛みも増大する傾向があります。

親知らずの状況ごとに痛みの程度を解説します。

2-1 上顎の親知らず~普通抜歯~

多少斜めに生えているとしても、抜歯が困難になるほどの問題がなければ、普通抜歯となるでしょう。

上顎骨は下顎骨よりやわらかく、処置の時間が短い傾向があります。そのため、上顎の普通抜歯は親知らずの抜歯の中では痛みが少ないとされています。

2-2 下顎の親知らず~普通抜歯~

「歯根と骨の癒着」などが起きておらず、ある程度普通に生えてきた親知らずなら、普通抜歯が基本です。

ただし、下顎骨は上顎骨よりも硬く厚みがあるため、抜歯の際にはかなりの力がかかり、処置の時間も長くなる傾向にあります。そのため、上顎に比べると強い痛みを訴える人が多くなります。

「通院回数を減らしたい」などの理由で複数の親知らずの同時抜歯を要望した場合、「上顎2本」「同じ側の上下2本」などであればOKしてくれる歯医者さんもいます。

しかし、「下顎の親知らず2本」の同時抜歯は避けた方がよいとする歯医者さんが多いです。

左右の下顎に強い痛みが出てしまうと、食事をとるのが困難になるからです。この事実からも「下顎の親知らずの抜歯は痛みが出やすい」という傾向が見て取れます。

2-3 埋伏智歯~歯茎切開~

斜めに傾いている親知らずは、一部が歯茎に埋まっていることが多いです。一部が埋まっている親知らずを「半埋伏智歯(不完全埋伏智歯)」、全て埋まっている親知らずを「完全埋伏智歯」と言います。

「歯根と骨の癒着」があると難しい抜歯になりますが、歯茎に埋まっているだけならば、一応は普通抜歯の範囲内です。基本的には、歯茎を切開して親知らずを抜くことになります。

歯茎の切開をともなう分、少しだけ抜歯後の痛みが強くなることがあります。

2-4 骨性埋伏智歯~骨開削~

「歯根と骨の癒着」が起きている親知らずは、抜歯に困難をともないます。

歯茎だけでなく、歯槽骨(歯を支える骨)に埋まっているケースを「骨性埋伏智歯」と呼んでおり、抜歯には骨を削って癒着を剥(は)がす「骨開削」を要します。

歯茎に加え骨まで削っているので、抜歯後の痛みはかなり強まるのが普通です。特に、横向きに埋まっている「水平埋伏智歯」の場合「水平埋伏智歯抜歯術」と呼ばれる術式になります。

歯は、生えている向きにしか抜くことができないため、「横向きの歯を上に引き抜くこと」は不可能です。

そこで歯茎を大きく切開し、歯の頭(正常に生えていれば目に見えている部分)を切除してから、生えている方向に引き抜きます。「歯の頭があった分のすき間」を活用して抜歯するわけです。

骨との癒着を起こしている水平埋伏智歯の抜歯は、傷が大きくなりがちで、骨も削っている状態なので特に痛みが強くなります。

3.まとめ

基本は、親知らずの抜歯から2日ほどで痛みはピークを過ぎ、徐々に治まっていきます。痛み止めを服用し、患部に刺激を与えないように気をつけていれば、耐えられないほどの痛みを感じる心配はないでしょう。

ただし「骨開削をともなう下顎の抜歯」などでは、予想外の痛みを感じるケースがあるかもしれません。

痛みが不安な場合は、歯医者さんに相談して「痛み止めを多めに出してもらえないか」など具体的な対処法について検討してもらいましょう。

コメント

親知らずが腫れて痛い。抜いてほしいというのは歯科医院を営んでいるとよくあることです。しかし、親知らずが痛む一番の原因は歯磨き不足です。親知らずの向きが曲がっていて汚れが溜まりやすかったり、奥歯でよく見えなくて磨けていないなどです。レントゲン写真を撮れば、親知らずの向きもある程度精査できますので、是非痛くなる前に歯科で相談をしてみてください。抜いた後の痛みに関しては、近年ではCGF(自由診療)という再生療法を併用して、痛みを抑える治療を行っているクリニックもあります。再生療法は国の許可が必要な治療です。

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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