親知らず抜歯後のタバコはNG!4つの理由と重大なリスクとは?【歯科医師監修】

親知らず抜歯後のタバコはNG!4つの理由と重大なリスクとは?【歯科医師監修】

喫煙者の人は「親知らず抜歯の当日と翌日はタバコを我慢するように」と言われた経験があるのではないでしょうか?2日も我慢するなんて!と思ったかも知れませんが、抜歯後のタバコにはさまざまなリスクがあります。この記事では、タバコを吸わない方がいい理由とリスクを解説します。

この記事の目次

1.タバコを吸ってはいけない4つの理由

抜歯した後に空いた穴が早く塞がるようにするには、タバコを控えることをおすすめします。その理由について詳しく解説していきます。

1-1 傷口の治りが遅くなる

傷口を塞ぐためには血液が必要なのですが、タバコにふくまれるニコチンには血管収縮作用があるため、血の流れが悪くなることで、傷口が塞がるまでの時間がかかってしまいます。

タバコの煙にふくまれるニコチンは、即効的に血管を収縮させる働きを持っています。

ニコチンの血管収縮作用の強さをイメージするために、タバコを吸い始めたころのクラクラするような感覚を思い出してみてください。これは、頭の血管が収縮して酸素不足になり、瞬間的にめまいを引き起こしていることで現れる症状です。

1-2 薬の作用が弱まる

ニコチンの作用で毛細血管が収縮してしまうと、抜歯後に処方される『痛み止め』や『化膿止め』などの薬の効果が出にくい傾向があります。体の細部にまで薬がいきわたりにくいことがその理由です。

1-3 傷口からの細菌感染リスクが高まる

タバコには免疫力を下げる作用があり、歯を抜いたばかりの傷口からの細菌感染リスクが高まります。

私たちの肺には『マクロファージ』という、体に入ってきた有害物質をたべてくれる働きをする細胞が大量に存在しています。

この細胞が、喫煙のたびにひっきりなしに入ってくる有害物質を食べ続けているので、本来対応すべき病原体に対処する余裕がなくなってしまい、その結果、免疫力が弱まってしまうのです。

また、タバコには唾液の分泌量を減らしてしまう作用もあります。唾液には『リゾチーム』や『ラクトフェリン』などの抗菌物質がふくまれ、これらが口腔内の雑菌が増えるのを抑制してくれています。

そのため、唾液の分泌量が減れば、それだけ口腔内の雑菌は増えてしまいます。

1-4 血餅を作る血液が足りなくなる可能性がある

親知らずを抜いた後の穴は、『血餅(けっぺい)』というゼリー状に血が固まったものができて、傷口の保護や修復がおこなわれます。皮膚でたとえると『かさぶた』のようなものをイメージしてください。

タバコのニコチンによって血液の循環が悪くなると、血餅を作るに十分な量の血液が送られずに、血餅が外れやすくなる可能性があります。

2.激痛が続く!喫煙が引き起こす『ドライソケット』

2-1 ドライソケットとは?

ドライソケットとは、抜歯のために切開した傷口が塞がらず、歯を支える骨である『歯槽骨』まで直通の穴ができ、激しい痛みをともなう症状のことを指します。

ストローで吸う、麺をすするなど吸い込む動作や、強めに口をゆすぐ行為などがきっかけで『血餅』が外れてしまうと、ドライソケットになることがあります。

2-2 激痛が2週間~1カ月続くことも

抜歯後は通常2、3日で痛みがやわらぎますが、ドライソケットになってしまうと2、3日後から逆に痛みが増大します。そして、仕事に集中できないほどの激痛が2週間から1カ月ほどつづきます。日常生活にも悪影響がでるほどです。

3.歯性感染症の原因になることも

ドライソケットになると、歯茎の内部に細菌が入りこみ、歯槽骨が細菌感染を引き起こすリスクが高まります。歯槽骨の周辺で炎症が起こるため、『急性歯槽骨炎』と呼ばれています。

さらに悪化すると、首のリンパが腫れて熱が出る『急性化膿性リンパ節炎』や、顎骨のあたりにまで感染して顔が大きく腫れる『顎骨骨膜炎』などを引き起こすこともあります。

これらの感染症は歯が原因で生じるので、まとめて『歯性感染症(しせい かんせんしょう)』と呼ばれます。

4.いつまで禁煙するべき?

傷口がおおかた塞がってくるまでは、禁煙することをおすすめします。舌で触ると血餅を外してしまう可能性があるので、なるべく触らないようにしましょう。

禁煙を指示される期間は先生によってさまざまです。2日間という先生もいれば、中には「抜歯当日だけは禁煙してください」と指示を出す先生もいます。

しかし、親知らずの抜歯後の傷が落ち着くまでは1カ月程かかります。タバコを控える期間は長い方が望ましいと言えます。

抜歯時に、最低どれくらいタバコを控えたらよいか、確認しておきましょう。自己判断は、血餅が外れるリスクや、治りを遅らせる可能性もあるので控えましょう。

5.まとめ

親知らずの抜歯後にタバコを吸うと、ドライソケットや細菌感染などさまざまなリスクがあります。処方された薬をきちんと作用させ、できるだけ早く傷口を治すには、タバコを吸うのは避けましょう。

明海大学 歯学部 病態診断治療学講座
山本信治教授監修
経歴・プロフィール

明海大学 歯学部 病態診断治療学講座 口腔額顔面外科学分野Ⅰ 主任教授
東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 客員教授

【略歴】
東京歯科大学卒業
東京歯科大学大学院歯科学研究科(口腔外科学専攻) 修了
東京歯科大学口腔外科学第一講座 病院助手
東京歯科大学口腔外科学講座 助手
学命により中国北京大学口腔医学院顎顔面口腔外科講座に研究留学
東京歯科大学口腔がんセンター 講師
東京歯科大学口腔外科学講座 講師
東京歯科大学口腔外科学講座 准教授
神奈川歯科大学大学院歯学研究科歯学教育学講座 准教授
神奈川歯科大学 客員教授 臨床教授
東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座 講師
明海大学 歯学部 病態診断治療学講座 主任教授
東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 客員教授
現在に至る

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コメント

親知らず抜歯後のタバコはNG!ですが、抜歯前でも「麻酔がききにくい」「抗生剤の前投与がききにくい」とかもあります。また、タバコによる健康被害には大きく分けて次の3種類があります。「能動喫煙(喫煙者に対する直接の健康被害)」「受動喫煙(副流煙や呼出煙が引き起こす健康被害)」「残留受動喫煙(喫煙者の衣服や体だけでなく、喫煙場所に置かれている家具、壁紙、カーペットなどに付着した揮発性の残留物が再度浮遊し、周囲の人に喘息などを引き起こす健康被害)」。残留受動喫煙による健康被害は成人よりも乳幼児に多く見られると言われています。親知らず抜く前にタバコ辞めましょう!

医院情報
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電話:03-3601-7051
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執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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