お悩み解決コラム親知らず

親知らず抜歯後の食事はどうする?傷口を早く治すためのメニューを紹介

親知らず_抜歯後_食事

138,817view

近年は顎の小さい人が増えており、「親知らずが4本ともまっすぐ生えてくる人」は稀(まれ)になりました。たいてい、斜めに生えてきたり、歯茎に埋まったままだったり、何かしら問題のある生え方をしているようです。そのため、ほとんどの人が親知らずの抜歯をしています。

麻酔をするので、抜歯自体はそれほど痛くはありません。問題は抜歯後、麻酔が切れてからです。痛い思いをしないために、傷口の治癒を早めるために、特に「抜歯後の食事」には気を遣う必要があります。こちらの記事では、抜歯後の食事を中心に、傷口をいたわるための基礎知識をお伝えしたいと思います。

1.親知らずの抜歯後、最初の食事までの注意点!

抜歯当日~翌日あたりは、「口の中で血の味がする」「傷口がズキズキ痛む」など、いろいろと不便な思いをします。まずは、歯医者さんで親知らずを抜歯してから、最初の食事までに気をつけるべきポイントをまとめたいと思います。

1-1 最初の食事は、麻酔が切れてから!

食事をするタイミングは、麻酔が切れてからにしましょう。麻酔は抜歯後2~3時間で切れるので、それまではお腹が空いても我慢です。麻酔が切れないうちに食事をすると、舌・頬粘膜(きょうねんまく)を噛んでケガをする恐れがあります。

特に、下顎の親知らずを抜歯した場合は要注意です。下顎の奥歯は麻酔が効きにくいので、伝達麻酔という麻酔を使用することが多くなります。通常の浸潤麻酔と比べて範囲が広くなるため、舌・頬が広くマヒしています。下手に食事をすると、口の中を噛んで、大きなケガを負うかもしれません。

「スープなど、液体ならば…」と思う人もいるかもしれませんが、熱いスープ類はNGです。麻酔が効いているときは、温度の感覚もマヒしています。熱すぎるスープを口の中に長くとどめてしまい、火傷を負う恐れがあるからです。麻酔が切れるまでは、「冷たい」または「常温」の飲み物だけにしましょう。

ただし、麻酔が切れても、出血が激しい場合は食事を控えてください。多少、「口の中が血の味」くらいは普通ですが、明らかに出血しているなら落ち着くまで待つべきです。何も気にせずに食事をすると、出血量を増やす恐れがあります。

1-2 麻酔が切れる前に、最初の痛み止めを服用!

抜歯後、麻酔が切れると傷口が痛みだします。痛いままでは、なかなか食事をとる気分にもなりません。歯医者さんで鎮痛剤が処方されているはずですから、麻酔が効いているうちに1回目を服用してください。

理由は、痛みが出てきてから服用したのでは、鎮痛剤の作用を実感しにくいからです。痛くなってからだと感覚が過敏になっていて、効き目が弱くなったり、効きはじめるのが遅くなったりします。少しでも痛みを弱めたいのなら、麻酔が切れる前に服用するほうが理にかなっています。

1-3 抜歯後、傷口にあてるガーゼをきちんと噛む!

親知らずの抜歯後、歯医者さんで「30分くらい噛んでいてください」と言われ、ガーゼを噛まされるはずです。中には、面倒だからと歯医者さんを出てすぐに吐き出してしまう人がいますが、きちんと30分間、噛んでいてください。

圧迫止血といって、傷口にガーゼ・脱脂綿を押しあてると止血が早まります。30分きちんと噛んでいれば、それだけ早く出血が止まり、食事もとりやすくなります。ただ、30分を超えてもいけません。今度は、ガーゼに唾液が溜まりすぎて、かえって止血を遅らせることになります。30分程度が妥当とされていますから、時間をしっかりと守りましょう。

2.抜歯後の食事を考える!避けるべきNGメニューは…?

親知らず抜歯後、当日~翌日は、なかなか「普通の食事をたくさん食べる」という状況にはなりません。痛みもありますし、多少の出血もあるのが普通です。あまり、積極的に食事をする気分にはならないでしょう。抜歯後の食事メニューには一定の工夫が必要になります。

そこで、この章では「抜歯当日~翌日に避けるべき食事」を紹介したいと思います。避けるべき食事の条件は、「ドライソケットのリスクを増大させる食事」です。「ドライソケット」という言葉を聞きなれない人も多いでしょうから、まずはドライソケットについて説明することにしましょう。

通常、抜歯後の傷口は「ゼリー状に固まった血液」で塞がれていきます。このゼリー状の物体を「血餅(けっぺい)」と呼びます。「かさぶた」と同じように、傷口を保護・修復してくれる存在です。出血量が増えすぎると血餅が形成されず、傷口が塞がらなくなってしまいます。傷口がうまく塞がらなかった場合、「歯槽骨(歯を支える骨)」まで直通の穴がそのまま残ってしまい、激しい痛みが続きます。穴が塞がらなくなった状態を「ドライソケット」といいます。

通常、抜歯の痛みは2~3日で緩和され、1週間もすれば解消します。しかし、ドライソケットになると、治癒は大幅に遅れてしまいます。抜歯後2~3日でむしろ痛みは悪化し、痛みが消失するまでに1ヶ月ほどかかる場合もあるのです。ドライソケットは、親知らずの抜歯後に「何としても避けたい状況」と表現しても言い過ぎではありません。

2-1 抜歯後、アルコール類は絶対にNG!

何としても避けていただきたい食品の筆頭格は、アルコール類です。アルコールは血管を拡張させ、血のめぐりを良くする働きがあります。そのため、傷口からの出血量を増やすことにつながってしまうのです。

出血量が増えすぎると、血液がうまく固まらなくなり、血餅の形成が阻害されることがあります。つまり、飲酒はドライソケットのリスクを増大する危険因子…と考えなければなりません。

2-2 おせんべい・バゲットなど、硬い食べ物はNG!

おせんべい・バゲットに代表されるような「硬く、歯ごたえの強い食品」は避けてください。要するに、「噛んだときに破片になるような食品」がNGということです。破片が傷口に食いこめば痛い…というのは、火を見るより明らかだと思います。

また、先ほども言及したドライソケットのリスクを考えても、硬い食べ物は避けるべきです。傷口にぴったり貼りついた「かさぶた」と違い、血餅は簡単に外れてしまいます。抜歯後の傷口に物理的刺激を与えるのは非常にリスキーです。

2-3 ゼリー状の栄養食品・麺類など、吸いこむ食べ物はNG!

抜歯後、「あまり噛まなくて良い食事にしよう」と考えるのは、とても良くわかります。傷口に負担をかけたくない…という考え方自体は、実に妥当です。しかし、ゼリー状の栄養食品・麺類(そば・うどんなど)はNGです。ちなみに「ゼリー状の栄養食品」というのは、アルミ製のパウチに入っていて、吸いこんで食べる製品を指しています。

理由は、抜歯後に「何かを吸いこむ」という動作は避けるべきだからです。食べ物を吸いこむ動作をすると、傷口の血餅が吸い出されることがあるからです。血餅が外れ、ドライソケットになるリスクがあります。

同様の理由から、ストローを使って飲み物を飲むのもNGです。傷口が塞がってくるまで、吸いこむ動作は控えてください。

2-4 香辛料の入った刺激の強い食品はNG!

カレー・キムチなど、香辛料を使った食品も避けましょう。とはいえ、唐辛子・胡椒(こしょう)などの刺激だけで、持続的に出血量が増える…ということはありません。つまり、ドライソケットのリスクが明確に増大するわけではありません。とはいえ、傷口に刺激が加わるとそれ相応の痛みがあるので、やめておいたほうが無難でしょう。

ただし、香辛料の刺激で痛みが走ったとき、辛味成分を流そうと「ブクブクうがいをする」のは明確にNGです。ブクブクうがいの物理的刺激で、血餅が外れることがあります。この場合のリスクまで加味するなら、「間接的にではあるものの、香辛料はドライソケットのリスクを上げる」と表現しても良いと思います。

3.親知らずの抜歯後におすすめ!傷口に優しい食事とは…?

それでは、親知らずを抜いた当日~翌日におすすめなのは、どんなメニューでしょうか? 「抜歯後とはいえ、食事はとりたいし、栄養バランスもきちんとしたい」という人に向けて、「傷口に負担をかけにくく、栄養価の高い食品」を紹介したいと思います。

3-1 豆腐料理で、しっかりタンパク質を摂取!

豆腐

抜歯当日、肉や魚をしっかり食べる…というのは、現実的ではありません。特に肉類は歯ごたえも強く、痛みが残った状態では食べづらいと思います。また、人によっては「口の中に血の味がする状態では肉・魚は…」と感じる人もいるようです。

そこで、やわらかく刺激のない豆腐がおすすめといえます。原料の大豆は植物性タンパク質の代表ですから、肉・魚を食べられなくてもタンパク質をしっかり摂取できます。傷口が塞がってくるまでは、豆腐をタンパク源にしましょう。

3-2 野菜・果物でスムージーを作る!

野菜

よく火を通した温野菜ならば、噛まなくてもほぐれるほどやわらかくすることも可能です。しかし、美容・健康を気にしている人はたいてい、「生野菜も摂取しなくちゃ…!」と考えています。恐らくは、加熱に弱い栄養素―「ビタミン類」「フィトケミカル」「酵素」などの摂取量が気になるのでしょう。

実際のところ、1~2日、生野菜を食べなかったからといって、特定の栄養素が極端に不足することはありません。ただ、「生野菜を摂取しないと美容が…、健康が…」と気にするのも精神衛生上よろしくないので、そういう場合はスムージーで摂取してみてはいかがでしょうか?

お好きな野菜・果物をミキサーにかけるだけなので、お手軽です。ホウレンソウ・ブロッコリーなどの緑黄色野菜は栄養価も高く、おすすめです。

3-3 食欲がなければ、スプーンで食べるゼリー・杏仁豆腐などを!

ゼリー

中には「どうしても食欲が湧かない」という人もいらっしゃると思います。ただ、何も食べない…というのは、さすがにおすすめできません。せめて、「基礎代謝(生きているだけで消費する熱量)」程度のカロリーは摂取したほうが健康的でしょう。

まったく食欲がないのであれば、スプーンですくって食べるゼリー・杏仁豆腐などで最低限のカロリーだけでも摂取してみてはいかがでしょうか? 「吸いこむタイプのゼリー」をNG食品として紹介しましたが、あくまで「吸いこむ動作が良くない」という話です。スプーンですくって食べるゼリーなら問題ありません。

3-4 もちろん、病気のときの定番「おかゆ」もおすすめ!

おかゆ

結局のところ、重要なのは「傷口を刺激しないこと」です。やわらかくて刺激の少ない食べ物であれば、何でも構いません。病人に食べてもらう食事の定番―おかゆなども、「抜歯後におすすめの食事」だと思います。

大切なのは、「無理をせずに食べられるメニューで、最低限の栄養を摂取すること」です。あまり難しく考える必要はありませんから、「食べられそうなものを食べる」というスタンスでいきましょう。

4.親知らずの抜歯後、ドライソケットになると…?

ここまで解説したとおり、抜歯後の食事を考える上で重要なのは「ドライソケットになるのを防ぐこと」です。そこで、「なぜ、ドライソケットを避けるべきなのか」を具体的に解説したいと思います。

4-1 ドライソケットは、抜歯後の痛みが強い…!

ドライソケットは「骨まで直通の穴」です。骨がむき出しになるわけですから、かなりの痛みを伴います。特に食事中、食べ物・飲み物がドライソケットの穴に入りこんだときは、激痛を訴える患者さんも多いです。食べ物・飲み物が直接、骨を刺激するからです。

4-2 ドライソケットには感染のリスクがある…!

運が悪いと、ドライソケットに入りこんだ食べ物が雑菌のエサになり、内部で雑菌が繁殖することもあります。こうなると、歯槽骨が細菌に感染して、炎症を起こします。この症状を「急性歯槽骨炎」と呼んでいます。

炎症が拡大すると、発熱・喉の痛みなど全身症状が出ることもあります。ひどい場合、頸部リンパ節(首のリンパ)が腫れて、高熱を出すケースもあります。この状態は「化膿性リンパ節炎」と呼ばれます。

また、口腔内で炎症が広がり、顔の形が非対称になるほど腫れる症例もあります。激痛で口を開けることもままならなくなり(開口障害)、唾液を飲みこむことも困難(嚥下障害)になります。この症状は「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」と呼ばれています。高熱などの全身症状を伴うのが普通です。

口腔内の感染が全身症状に至った場合、「歯性感染症」と呼ばれます。稀(まれ)ではありますが、重症例では生命にかかることもあり、決して軽視できません。ドライソケットが感染すると、危険な状況に陥ることもあるのです。

5.まとめ

ドライソケットのリスクを下げるためにも、親知らず抜歯後の食事には一定の注意を払う必要があります。ただ、あまり過度に怖がる必要はありません。ドライソケットになった場合でも感染を起こす例は稀ですし、1ヶ月程度で痛みは治まるからです。その後、多くは3ヶ月以内に見た目が平坦になり、不自然な穴は塞がります。

とはいえ、余分な痛みに1ヶ月も耐えるのは難渋しますし、中には「見た目がなかなか平坦にならない例」もあります。できることなら、ドライソケットを避けたほうが良いのは言うまでもありません。親知らずの抜歯後の食事に気をつけて、1日も早く抜歯した傷口が治癒するように努めましょう。

コージ歯科_親知らず_抜歯後_食事

ページトップへ