治療した歯が痛い!神経過敏・2次カリエスの原因&対処法

治療した歯が痛い

257view

せっかく歯医者さんで歯科治療を受けたのに「治療した歯が痛い」と悩んでいる人はいませんか? 治療直後に痛みが出たり、あるいは治療から長期間が経過して痛みが出たり、人によっていろいろなケースが考えられます。

こちらの記事では、治療した歯が痛い…と悩んでいる人に向けて、「痛みの原因」と「一般的な対処法」を解説することにしました。「痛みのない状態」を取り戻すために、どのような対処が必要なのでしょうか?

1.治療した歯が痛い!治療直後に痛み出したケース

治療を受けた当日・翌日など、治療してから間もなく痛みだす場合があります。「なぜ、治療を受けたのに痛むのだろう…?」と不思議に感じる人も多いようですが、これは別に驚くほどのことではありません。実のところ、歯医者さんに行った直後、治療した歯が痛いというのは、よくあることなのです。

1-1 歯を削った当日、痛み出した…!

歯を削る治療をした後、歯が痛みだすことがあります。「噛むと痛い」「冷たい水がしみる」といった痛み方をすることが多いです。「治療した歯が痛い」と訴える人が多いのは、わりと初期の虫歯(C2:象牙質齲蝕)の段階で治療した人たちです。

ここで少し、虫歯の進行度について補足しておきましょう。虫歯にはいくつかの段階があり、歯医者さんを受診する段階として多いのは「C2:象牙質齲蝕」と「C3:歯髄の仮性露出」です。C2の段階では、痛むとしても「冷たいもの・甘いものがしみる」程度で、何もしていないときは痛みません。まだ、虫歯が神経まで達していないからです。夜も眠れないほどズキズキと痛むのは、C3の段階になります。

要するに、C2の段階で治療を受けた人は「それほど痛くないけれど治療を受けにきた」という人たちです。しかし、治療で歯を削れば、神経に多少の刺激が加わるのは避けられません。結果、神経が過敏になり、痛みを感じやすくなるわけです。

また、C2の虫歯を治療するにあたっては、「コンポジットレジン」と呼ばれる「歯科用プラスチック樹脂の詰め物」を使うことがよくあります。このコンポジットレジンも、神経に刺激を与える要因になります。レジンはペースト状をしており、歯の穴に詰めてから固めます。「光重合」といって、特定の波長の光を当てることで固まる性質を持っているからです。

問題は、「固まるときに収縮して、体積が減る」という特性です。体積が減るとき、レジンが周囲を引っぱる方向に圧力を与えます。この圧力が神経に伝わると、やはり過敏になって痛むことがあるのです。

一般的な対処法→経過観察 or 抜髄

「削った刺激」にしても、「レジンの刺激」にしても、大半は「一時的に神経が過敏になる」というだけです。多くの場合、数日~1週間で痛みは落ち着いてきます。ただ、削る範囲が「神経ギリギリ」まで達していると、治療後の痛みが治まらない場合もあります。そういったケースでは、やむを得ず「抜髄(神経を抜く治療)」をすることになります。

1-2 根の治療(根管治療)の当日、痛み出した…!

虫歯がC3の段階に達していると、抜髄(神経を抜く治療)が必要になります。局所麻酔下で歯髄(神経)を取り除き、いわゆる「根の治療」をおこないます。歯の内部に残っている虫歯を除去して、無菌化する処置です。正式名称では「根管治療」と呼びます。

さて、根管治療の後、神経がなくなったはずの歯が痛むことがあります。患者さんにしてみれば、「もう神経はなくなっているのに、どうして…?」となるところでしょう。しかし、抜髄の直後に痛みが出ることは、決して珍しいことではありません。

根管治療の「根管」は、「歯の内部にある神経・血管の通り道」です。非常に細く、複雑に入り組んでいるので、根管治療のときに内部を削って拡大します。細く曲がりくねった複数の根管を、太く真っ直ぐな1本の根管にまとめるわけです。そうしないと、感染防止の薬剤を隙間なく詰めることができません。当然、根管の拡大に伴い、あちこちの細い根管内に入っている神経も取り除かれていきます。

しかし、細い根管を確実に探しあて、すべての神経を除去する…というのは、決して簡単な作業ではありません。分岐している細い根管―副根管の神経まで、100%除去できる保証はありません。すると、取り残した神経が痛むことがあるのです。

一般的な対処法→根管内の消毒・洗浄 or 水酸化カルシウム製剤

多少、神経の取り残しがあるくらいなら、それは普通の経過です。神経を100%取り除くことなど、そもそも期待できません。根管をきちんと消毒・洗浄すれば、内部を無菌化することができます。無菌化が完了すれば炎症も鎮まり、痛みもなくなっていくことが多いです。

治療器具の入っていかない「細い副根管」に関しては、「水酸化カルシウム製剤」を入れて根管閉鎖を期待する方法もあります。水酸化カルシウムの働きにより、副根管の入り口が骨組織で閉鎖されるからです。骨組織による封鎖のことを「アペキシフィケーション」と呼びます。

2.治療した歯が痛い!長期間を経て痛み出したケース

治療直後ではなく、過去に治療した歯が数年後に痛みだすこともあります。この場合、痛みの原因は3種類に区分することができます。神経が残っている歯なら「虫歯の再発」、神経を取り除いた歯なら「根尖性歯周炎」が真っ先に疑われますが、そのほかに「歯周病の急性発作」も考えられます。

2-1 神経が残っている歯が痛み出した…!

痛みの原因として高確率なのは、虫歯の再発です。詰め物・かぶせ物の奥で虫歯が再発し、虫歯菌が神経に達したものと思われます。多くの場合、神経の炎症(歯髄炎)が起きて、強い痛みに襲われます。

虫歯が再発することを「2次カリエス」と呼びます。歯科医院によっては「受診理由となる虫歯の半分以上が2次カリエス」というところもあり、「虫歯は非常に再発率の高い疾病である」という事実がわかります。

銀歯など、削った部分を埋めるための人工物を「補綴物(ほてつぶつ)」といいます。補綴物は人工物なので、虫歯になることはありません。しかし、補綴物の下には天然歯が残っており、天然歯の部分は虫歯になる恐れがあります。

さて、人間の噛む力は、だいたい本人の体重に等しいと考えられています。体重60kgの人なら、60kgの強さで噛んでいるわけです。60kgの衝撃が毎日加わるわけですから、補綴物が変形することは珍しくありません。そして、補綴物が変形するたびに、「歯と補綴物の隙間」は大きくなっていきます。

そして、あるとき、歯と補綴物の隙間に歯垢(プラーク)が溜まりはじめ、補綴物の奥が虫歯になるのです。補綴物の裏側は目で見ることができませんから、早期に気づくことは不可能です。ある日、虫歯菌が歯髄に達して「治療した歯が痛い」と気づくのです。

一般的な対処法→虫歯の再治療

2次カリエスは虫歯の再発ですから、再治療をするしかありません。たいてい、2次カリエスに気づくのは「何もしなくてもズキズキ痛む段階」になってからです。要するに、C3の段階になっている…ということです。この段階で治療をすると、基本的には抜髄(神経を抜く治療)になります。

2-2 神経を取り除いた歯が痛み出した…!

「神経を抜いた歯は痛まない」と信じている人も多いですが、実のところ、そうとも言い切れません。すでに神経を除去したはずの歯が痛む…ということも起こります。神経を抜いた歯が強く痛む場合、「根尖性歯周炎」が疑われます。

神経を抜く治療をすると、歯の内部には空洞が生じます。神経の入っていた部分が空っぽになるからです。空洞を放っておいては、歯の内部が再感染してしまいます。そこで、神経を抜いた後に「根管治療」をおこなうのです。根管治療は「歯の内部にある虫歯をきれいに取り除き、空洞に薬剤を詰めこむ治療」です。薬剤はもちろん、再感染を防ぐための薬剤になります。

ただ、薬剤は万能ではありません。現代の医学では、再感染の確率をゼロにすることはできないのです。結果、一定の確率で、歯の内部が再感染することになります。しかし、すでに神経がないので、歯の内部が再感染して虫歯になっても、気づくことは不可能です。

そのため、再感染した場合、歯の内部は虫歯菌の巣窟になってしまいます。歯髄腔(神経の入っていた空間)、根管(歯の根っこ方面にある神経・血管の通り道)が感染し、最終的には歯の根に到達するのです。虫歯菌が歯根におよび、周囲に炎症を起こすと「根尖性歯周炎」になります。

歯根周囲の炎症を「根尖病変(根尖病巣)」と呼んでいます。当初は「歯茎が腫れる」といった症状をきたし、さらに悪化すると膿が溜まってきます。大量の膿が溜まると、歯茎が内側から圧迫されて強い痛みを覚えます。

一般的な対処法→感染根管治療or歯根端切除術or抜歯

根本原因は「歯の内部が細菌感染したこと」なので、歯の内部を再び無菌化する方針になります。具体的には、虫歯における「根の治療」を再び実施します。これを「感染根管治療」と呼んでいます。

感染根管治療で無菌化できなければ、歯根端切除術を試みます。歯茎を切開して歯根を露出させ、歯根の先端を切除するのです。さらに、歯根の切断面から薬剤を詰める「逆根管充填」をおこない、歯内の無菌化を目指します。この方法でも無菌化が望めないようであれば、残念ながら抜歯を余儀なくされます。

2-3 急に歯茎が腫れあがった…!

「治療した歯が痛い」と思っても、実際には「歯茎が腫れあがっている」というケースがあります。痛み方が根尖性歯周炎と似ているので、患者さん自身が判別するのは困難だと思いますが、「虫歯の再発がなく、歯茎だけが腫れている」という部分が異なります。この場合、原因は歯周病の急性発作です。

本来、歯周病菌は痛みのないまま進行していくのが普通です。しかし、たまに「歯周ポケットの歯周病菌が歯茎に感染して炎症を起こす」という症例があります。これを「歯周病の急性発作(急発)」と呼びます。

一般的な対処法→抗生物質による消炎

歯茎への細菌感染が原因なので、「歯科治療で原因を取り除く」という方向にはなりません。まさか炎症1回で歯茎を切り取るわけにもいきませんから、薬で炎症を鎮めることになります。細菌感染なので、抗生物質で原因菌を抑え、消炎を図ることになるでしょう。

3.まとめ

歯科治療において「治療した歯が痛い」というケースは珍しくありません。大切なのは、早期に歯医者さんを受診し、適切な処置を受けることです。「何か問題が起きているのか、経過観察で良いのか」をきちんと診断してもらえば、それほど大きな問題になることはありません。自己判断を避け、「何か問題を感じたら、歯医者さんに相談する」という習慣づけをしましょう。

ごうデンタルクリニック_治療した歯が痛い

ページトップへ