歯がしみる原因をリサーチ!虫歯・知覚過敏・歯根膜炎の応急処置法

671view

歯がしみる原因は、大きくわけて4通りに区分することができます。「虫歯」「知覚過敏」「歯の破折」「単純性歯根膜炎」の4つです。当然、歯がしみる原因によって、治療法・応急処置法は異なってきます。

こちらの記事では、「歯がしみる4つの原因」をピックアップし、原因・治療法・応急処置法をまとめることにしました。「なぜ、歯がしみるのか?」「どうすれば、痛みから解放されるのか?」といった疑問を解消するための基礎知識としてお役立てください。

1.歯がしみる!考えられる4つの原因を解説

まずは、「歯がしみる…」というときに考えられる4つの原因を解説したいと思います。「痛みが生じたきっかけは何か」「どんなときに痛むか」などの情報から、歯がしみる原因を特定しましょう。

1-1 虫歯で歯がしみる

歯がしみる代表的な原因は、やはり虫歯です。実際、「歯が痛い」と思ったとき、最初に頭をよぎるのは「虫歯かな?」という一言だと思います。

さて、虫歯の原因は虫歯菌(ストレプトコッカス・ミュータンス菌)が産生する「乳酸」です。虫歯菌は、食事に含まれている「糖質」を「乳酸」に変えて、口の中を酸性に傾ける性質があります。歯の表面にある「エナメル質」は「pH5.5以下の酸性」で溶けはじめます。つまり、虫歯菌の働きで「pH5.5の酸性環境」になると、歯が溶けるわけです。エナメル質に穴があいた状態を「C1:エナメル質齲蝕」と呼びます。

いわゆる虫歯菌―ストレプトコッカス・ミュータンスが歯に穴をあけると、ラクトバチルスなどの細菌が穴を広げていきます。こうして、虫歯がどんどん進行していくのです。エナメル質が突破され、虫歯の穴が象牙質に達すると、「冷たいもの」「甘いもの」がしみる症状が出てきます。この段階が「C2:象牙質齲蝕」です。

さらに虫歯が悪化すると、象牙質を突破して、虫歯菌は歯髄に及びます。歯髄は、世間一般で「歯の神経」と呼ばれている部位です。歯髄が虫歯菌に感染すると、「歯髄炎」という炎症を起こし、何もなくてもズキズキと痛みが走るようになります。何もしなくても痛む状態を「自発痛」と呼びますが、自発痛が生じるのは虫歯が相当に悪化した状態です。この段階を「C3:歯髄の仮性露出」と呼称します。

虫歯のしみ方・痛み方

「C2:象牙質齲蝕」では「冷たいもの」「甘いもの」などが接触したとき、一瞬、「ズキン」と痛みが走ります。「C3:歯髄の仮性露出」になると、脈拍に合わせてズキズキと痛むようになります。この痛み方を「拍動痛」といいます。痛みは強く、継続的です。

1-2 知覚過敏で歯がしみる

知覚過敏は、「何らかの理由で歯の表面がすり減る・溶ける」ことが原因です。ここからの説明をわかりやすくするため、まずは「歯冠」「歯根」という言葉を覚えてください。

歯冠…歯質のうち、歯茎から上に出ている部分
歯根…歯質のうち、歯茎より下に隠れている部分

一般に歯の表面を覆っている層は「エナメル質」だと認識されていますが、エナメル質に覆われているのは歯冠だけです。歯根の表面には、「セメント質」と呼ばれる骨に似た構造の層が存在しています。ただ、セメント質はエナメル質よりやわらかく、物理的刺激によって容易に摩耗する傾向があります。

さて、「歯の表面がすり減る・溶ける」というのは、エナメル質・セメント質が失われて、象牙質がむき出しになる…ということです。そして、象牙質が表面に出てくると、「冷たいもの」「甘いもの」がしみるようになります。この状態を指して、一般に「知覚過敏」と呼んでいます。

知覚過敏のしみ方・痛み方

知覚過敏では「冷たいもの」「甘いもの」が触れたときに、一瞬の鋭い痛みが生じます。悪化すると、「歯ブラシの接触」など物理的刺激に対しても、強い痛みを感じます。稀(まれ)なケースでは、食事も困難なほど激しい痛みが生じる場合もあります。

1-3 歯の破折で歯がしみる

硬いものを噛んだり、顔面を激しくぶつけたりすると、歯が割れることがあります。このとき、亀裂が歯髄(神経)まで達していると、歯がしみる症状が現れます。噛むたびに圧力がかかって亀裂がずれるので、放っておくとヒビが拡大して、歯が完全に割れてしまう恐れもあるでしょう。

破折のしみ方・痛み方

破折の程度によって、痛み方は異なります。歯髄付近に達する亀裂なら、「噛んだ拍子に歯がしみる」などの痛み方をすることが多いです。歯根に小さな亀裂がある状態では、「歯茎がうずくように痛む」という自覚症状を訴える人もいます。亀裂から細菌が入り、歯髄に感染すると夜も眠れないほどの激痛を引き起こすことがあるので、早めに歯科医院を受診するよう心がけましょう。

1-4 単純性歯根膜炎で歯がしみる

種・箸(はし)などの硬いものを噛んだとき、睡眠中に歯ぎしりで強い負荷をかけたときなど、歯根膜炎という炎症を起こすことがあります。

歯根膜は歯と歯槽骨(歯を支える骨)をつなぐ役割を果たしていて、「噛んだものの硬さを確かめる感覚器官」としての役割も負っています。この歯根膜に過度な圧力がかかると、炎症が起きるわけです。細菌感染による炎症は「化膿性歯根膜炎」と呼ばれますが、物理的負荷による炎症は「単純性歯根膜炎」といいます。

噛み合わせの際に負荷がかかり、歯・歯周組織がダメージを受けることを「咬合性外傷」と総称します。そのため、単純性歯根膜炎は、咬合性外傷の一種といえます。

単純性歯根膜炎のしみ方・痛み方

炎症の程度にもよりますが、ひどい場合は「冷たいもの」「熱いもの」がしみるようになり、「噛みわせた瞬間」「歯ブラシなどが歯に接触した瞬間」にまで痛みが走ります。ほとんどすべての刺激が痛みの原因になる状態…ということです。ちなみに、単純性歯根膜炎の人はたいてい「歯が痛む」と訴えます。「歯の根元」ではなく「歯が痛い」と感じるのも、特徴の1つと言えるでしょう。

2.原因別!歯がしみるときの治療法・応急処置法

それでは、歯がしみる4つの原因ごとに「一般的な治療法・応急処置法」を解説することにしましょう。ただ、応急処置はあくまでも応急処置です。いったん痛みが引いたとしても、できるだけ早く歯医者さんを受診するようにしてください。

2-1 虫歯で歯がしみるときの治療法

虫歯を治療するときの基本は「虫歯になった部分を除去して、詰め物・かぶせ物で修復する」という方向性です。ただ、虫歯の程度によって治療方針が変わってくるので、踏みこんで解説することにしましょう。

C1:エナメル質齲蝕

表面のエナメル質が虫歯になっただけなら、通院1回で治療がおわります。虫歯になったところを削って、「コンポジットレジン」と呼ばれる樹脂を詰めます。エナメル質は歯の表面にある厚さ2.0~2.5mmの層です。エナメル質に痛覚はありませんから、この段階なら削るときの痛みを感じることもありません。

C2:象牙質齲蝕

虫歯が象牙質に達すると、「冷たいものがしみる」程度の症状が出てきます。ただ、それほど激しい痛みではないので、この段階で歯科医院を受診する人はあまり多くないのが現状です。虫歯になった箇所を削って、「コンポジットレジン」または「詰め物」を入れます。虫歯の大きさにもよりますが、奥歯の溝にできた虫歯にはコンポジットレジン、歯の隣接面にできた虫歯には詰め物を入れる傾向があります。

C3:歯髄の仮性露出

歯髄炎を起こした虫歯は、激しい痛みの原因になります。多くの患者さんが、この状態になってから歯科医院を受診する傾向にあります。神経に達している虫歯には、「抜髄処置」が必要になります。抜髄とは、いわゆる「神経を抜く治療」です。神経を抜いた上で、詰め物・かぶせ物を入れることになります。

C4:残根

虫歯が悪化して神経が死んでしまい、痛みを感じることもなくなった状態です。歯の内部が虫歯菌に汚染されているので、たいていは抜歯になります。

虫歯で歯がしみるときの応急処置

すぐに歯医者さんを受診できない場合は、市販の鎮痛剤を服用して痛みを抑えることになります。痛みが強いのでれば、医療用と同成分の鎮痛剤を選びましょう。ロキソプロフェンを主成分とする鎮痛剤(商品名:ロキソニン)がおすすめです。

2-2 知覚過敏で歯がしみるときの治療法

治療法を理解するにあたっては、まず「どうして、知覚過敏が痛むのか」を知る必要があります。象牙質の表層に神経は通っていませんから、普通に考えれば「象牙質がむき出しになっただけで痛む」というのは不可解です。なぜ、象牙質がむき出しになると「冷たいもの」「甘いもの」がしみるのでしょうか?

知覚過敏の痛みは「象牙質に存在する無数の穴(象牙細管)」に由来します。象牙細管は「象牙質表面」から「歯髄腔(神経)」に向かって伸びており、細管の中には「組織液」という液体が入っています。そして、組織液の存在が、知覚過敏で痛みが生じる理由なのです。

「冷たいもの」が象牙細管の入口に触れると、組織液が冷やされて収縮します。つまり、組織液の体積が減ります。組織液の体積が減ると、象牙細管内部の圧力が小さくなり、結果的に歯髄を引っぱる力が働きます。この「引っぱる力」が歯髄を刺激して、痛みが生じるわけです。

「甘いもの」は、浸透圧の影響です。「甘いもの」が象牙細管の入口に触れると、浸透圧の影響で組織液が引っぱられます。組織液が手前(象牙質表面の方向)に移動することで、連鎖的に歯髄を引っぱる方が働きます。その結果、歯髄が刺激されて痛むわけです。

以上の「知覚過敏で痛みが生じるメカニズム」を「動水力学説」と呼びます。知覚過敏の治療は、動水力学説に基づいておこなわれています。

多くの歯科医院でおこなわれるのは、「象牙細管の入口を封鎖する治療法」です。象牙細管の表面に蓋をすれば、「冷たいもの」「甘いもの」の影響が内部に及びません。象牙細管の入口を塞ぐ成分としては、「フッ化物」「シュウ酸カルシウム」などが知られています。

知覚過敏で歯がしみるときの応急処置

歯医者さんを受診する時間がない場合、軽度の知覚過敏の場合は、「知覚過敏向けの歯みがき粉」でセルフケアしても良いでしょう。「象牙細管内で組織液が動く刺激が、歯髄に伝わりにくくなる成分(感覚を鈍麻させる成分)」「象牙細管の入口を狭くする成分(封鎖する成分)」を含んだ歯磨き粉が市販されています。

2-3 破折で歯がしみるときの対処法

破折した場所によって、大きく状況が変わります。歯冠に亀裂・破折が生じた場合、接着することで解決する可能性があります。ただし、亀裂が神経に達しており、痛みが強いケースでは抜髄(神経を抜く処置)が必要です。

歯根に亀裂が生じている場合、事態は深刻です。歯茎のすぐ下が横向きに割れているなら治療可能ですが、「歯根の奥深くに亀裂が入っている場合」「歯根が縦に割れている場合」は抜歯になります。

破折で歯がしみるときの応急処置

痛みが強ければ市販の鎮痛剤を用いてください。ただし、鎮痛剤で痛みが引いたとしても、早急に歯科医院を受診するべきです。亀裂の生じた歯で噛んでいると、どんどん亀裂が広がっていきます。亀裂が拡大すると歯を失う恐れもありますから、すぐに歯科医院を受診してください。

2-4 単純性歯根膜炎で歯がしみるときの治療法

単純性歯根膜炎の場合、自然治癒を待つことになります。そのため、歯医者さんを受診すると鎮痛剤が処方されることになります。病気というよりは、事故・ケガのたぐいなので、「痛い場所で噛まないよう注意しながら、治癒を待つ」という方向性になります。

単純性歯根膜炎で歯がしみるときの応急処置

単純性歯根膜炎であることがハッキリしている場合は、市販の鎮痛剤を服用して痛みを抑えるだけでも構いません。いずれにせよ、自然治癒を待つしかないからです。

3.まとめ

以上、歯がしみる場合に考えられる4つの原因でした。「土日で近所の歯医者さんがやっていない」「どうしても今日は外出の予定がある」といった場合、上記を参考に応急処置をしてみてください。ただし、痛みが引いたとしても、一度は歯科医院できちんと診断してもらうようにしましょう。歯根破折など、歯を失いかねないケースも考えられるからです。

コージ歯科_歯_しみる

不正確な情報を報告

不正確な情報を報告

メールアドレス:任意
コメント(オプション):
ページトップへ