抜歯後、血餅が取れたら大変…!ドライソケットを予防する重要性とは!?

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「保存不可能な虫歯」「口腔トラブルの原因になる親知らず」は、一般的に抜歯となります。さて、皆さんは「抜歯したとき、特に注意するべきことは何か」をご存じでしょうか? それは「血餅(けっぺい)が取れないようにすること」です。

とはいえ、「血餅とは何か」を詳しくご存じない人も多いと思います。そこで、こちらの記事では「血餅がどのようなもので、どのような役割を負っているのか」を解説することにしました。抜歯後のポイントを理解するための一助として、お役立ていただければ幸いです。

1.「重度虫歯」「斜め・横向き親知らず」は抜歯対象

もちろん、歯科治療における第一目標は「歯を救い、保存すること」です。しかしながら、すべての歯を救うことはできません。「存在することで、周囲の歯に悪影響が及ぶ」と判断された歯は、抜歯となります。

◆「C4:残根」まで進行した虫歯
◆斜め・横向きに生えてきた「親知らず」

上記のような歯は、基本的に保存することができません。「C4」は虫歯菌によって神経が死んでしまい、内部が菌の巣窟となった虫歯です。神経・血管の通り道である「根管」も虫歯菌に侵されており、保存する術はありません。もはや歯の内部を無菌化できないので、存在するだけで周囲に細菌をまき散らす「感染源」となります。こうなっては、抜歯が唯一の手段です。

斜め・横向きに生えた親知らずも、周囲の歯に悪影響を及ぼします。まず、歯磨きの邪魔になるので「歯肉の炎症」「虫歯」を引き起こす要因になります。さらに、隣の歯を圧迫して、全体の歯並びを悪化させる場合もあるのです。やはり、周囲にまで問題が波及しないうちに抜歯するよりほかありません。

2.抜歯の傷口は、どのように塞がっていく…?

さて、抜歯した箇所は、すぐにきれいに治るわけではありません。「抜歯窩(ばっしか)」と呼ばれる傷口になり、塞がるまでには一定の期間を要します。ごく普通の抜歯でも、傷口が完全に塞がり、歯茎が元通りになるまでは1か月ほどかかります。

ところで、歯茎の傷口はどのように塞がっていくのでしょうか? 皮膚に傷を負ったなら、塞がるまでの間は「かさぶた」が傷を塞ぎます。しかし、口の中に「かさぶた」ができるイメージは湧きませんね。

実際、口腔内の抜歯窩に「かさぶた」は形成されません。代わりに「血餅(けっぺい)」が形成されます。血餅は「血液がゼリー状にかたまったもの」で、抜歯窩を保護・修復する役割を持っています。

2-1 血餅はどのように形成される…?

傷ができると、「フィブリン」というタンパク質が、周囲の赤血球・白血球・血小板などを捕らえ、くるみこんで「ゼリー状のかたまり」を作り出します。「血餅が抜歯窩を塞ぐこと」が、治癒の第一歩です。

ちなみに、血餅が形成されるのは口腔内だけではありません。皮膚の傷であっても、まずは血餅が形成されます。ただ、皮膚の場合は血餅の外側で血液が凝固し、「かさぶた」ができます。そのため、表面からは血餅が見えないのです。

2-2 血餅が傷口を修復する!

抜歯から時間が経つと、だんだん血餅の中に毛細血管が入っていきます。そして、だいたい1週間くらいで、血餅は「肉芽組織(にくげそしき)」というものに変わります。肉芽組織は、抜歯から20日前後で「線維性結合組織」になり、周囲から上皮(歯茎)が伸びてきて、治癒に向かいます。

ただ、歯槽骨の穴が塞がるのには時間がかかり、仮骨形成から骨組織が完成に至るまでは半年~1年かかります。ただ、歯茎の穴が塞がれば、食事などに困ることはありません。一応、歯茎表面が塞がる1か月を目途に「傷口が治った」と考えて良いでしょう。

3.血餅が取れたら、どうなる…?

皮膚にできる「かさぶた」は表面が固まっているので、取れる心配はほとんどありません。しかし、抜歯窩の血餅は脱落することがあります。傷口を修復させるための血餅が取れたら、抜歯窩はどうなるのでしょうか? この章では「運悪く、血餅が取れた症例」について解説したいと思います。

3-1 どういう場合に血餅が取れるのか?

血餅は、物理的接触によって簡単に外れてしまいます。血餅脱落の要因となり得る物理刺激には、以下のようなものがあります。

◆歯ブラシの接触
◆指・舌でいじる
◆ブクブクうがいをする
◆ストローで飲み物を飲む
◆麺類を強くすする
◆舌打ちをする

直接、血餅を触るのはもちろん、「うがいによる水圧」もリスクファクターになります。そのほか、「何かを吸いこむ動作」も気をつけてください。抜歯窩にはまった血餅を吸いだす恐れがあります。基本的に「吸いこむ動作(=口腔内を陰圧にする動作)」すべてがNGと考えましょう。

3-2 血餅の形成を妨げる行動にも注意!

また、中には「血餅が形成されない症例」というのも存在します。血液がうまくかたまらなかったり、血液量が不足していたりすると、血餅の形成不全が起こります。血餅の形成を妨げる要因としては、以下のようなものが知られています。

◆抜歯当日の飲酒・入浴・運動
◆ピル(経口避妊薬)の服用
◆抜歯当日の喫煙
◆抗血小板薬・抗凝固薬の服用

基本的に「血流を促進する行動(=血がかたまるのを阻害する)」「血流を減らす行動(=血餅形成に必要な血液が足りなくなる)」はリスクファクターです。また、「血液をサラサラにする薬」は、当然ながら血餅の形成を阻害します。

3-3 血餅が取れたら、傷口はどうなるのか?

さて、血餅が取れた場合、抜歯窩はどのような経過をたどるのでしょうか? 傷口を塞ぐものがなくなるので、抜歯窩は「開いた穴」になります。穴は「歯槽骨(=歯を支えている骨)」まで直通しています。この状態になった傷口を「ドライソケット」と呼称します。

ドライソケットは骨まで直通しているので、痛みの原因になります。特に飲食物がドライソケットに入りこむと、骨を刺激して激痛を覚えます。通常なら2~3日で痛みがひいてくるのですが、ドライソケットになると2~3日で痛みは増大します。

同時に、痛みの持続期間も長くなることに注意してください。普通なら痛みは1週間でほぼ消失しますが、ドライソケットの痛みは2週間~1か月にわたって持続します。骨が刺激されるような痛みが長期間続くわけですから、患者さんは少なからぬ苦痛を受けることになるでしょう。

4.まとめ

抜歯後、血餅が外れると「ドライソケット」になってしまいます。治癒が遅れるだけで、いずれ穴は塞がりますが、「激しい痛みに2週間以上も耐える」というのは、どう考えても「避けるべき状況」です。抜歯から2、3日の間は特に傷口への刺激を避け、ドライソケット予防に努めることが重要といえます。

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