虫歯の予防に乳酸菌!?口の中を健康に保つ新しい予防法を解説

虫歯_乳酸菌

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「乳酸菌がおなかの調子を整えてくれる」という話は、誰もがご存じだと思います。それに加えて、最近では「乳酸菌が虫歯・歯周病を予防してくれる」という考え方も広まってきました。

こちらの記事では、「乳酸菌が歯を守ってくれる」という説が本当なのか…、その実態をお伝えすることにしました。ふだんの生活習慣で虫歯を予防する方法があるなら、試してみたいと思いませんか? それでは、「乳酸菌の働き」と「乳酸菌と虫歯予防の関係」について確認してみましょう。

1.虫歯・歯周病菌を予防してくれる乳酸菌とは?

世間一般には「おなかに良い細菌」として知られる乳酸菌ですが、種類によって作用はいろいろです。ただ、乳酸菌の中には「健康を維持するために役立つ種類」もたくさんあり、実際、近年になって「善玉菌を活用した健康法」が普及してきました。こういった「善玉菌の有効活用」を「プロバイオティクス」「バクテリアセラピー」などと呼んでいます。

もちろん、中には「口の中の健康を守ってくれる乳酸菌」も存在しています。事実、最近になって「善玉菌を使った虫歯・歯周病予防」が注目を浴びはじめました。この章では、「プロバイオティクスによる虫歯・歯周病予防」を紹介することにしましょう。

1-1 虫歯・歯周病の予防に役立つ乳酸菌

それでは、「虫歯・歯周病の予防」に役立つ乳酸菌を紹介したいと思います。口腔環境を改善するために有用な乳酸菌としては、次の3種類が広く知られています。

ラクトバチルス・ロイテリ菌(L.ロイテリ菌)

ラクトバチルス・ロイテリ菌は、「ロイテリン」という物質をつくりだす働きを持っています。ロイテリンには虫歯菌・歯周病菌の増殖を抑え、口腔内の環境を向上する作用があります。また、ロイテリ菌にはプラーク(歯垢)を分解し、虫歯菌の住み処をなくす働きも期待できます。

こういった作用から、今、歯科の「プロバイオティクス」でもっとも注目される菌種となっています。実際、予防歯科を重視する歯医者さんの中には、ロイテリ菌を含有するサプリメントを扱っているところも少なくありません。

乳酸菌TI2711

歯周病菌のうち、3種類に対する殺菌作用が認められています。口腔内も、腸内と同じように「善玉菌と悪玉菌がせめぎあっている」と考えられています。乳酸菌TI2711には、「悪玉菌を減らし、善玉菌優位の状態をつくりだす」という働きが期待できます。

乳酸菌L8020

虫歯菌・歯周病菌を減少させる働きが認められています。また、歯周病菌が持っている毒素(LPS)を中和する作用があり、歯周病リスクを抑えてくれます。そのほか、カンジタ真菌(カビ)を抑制する作用も知られています。カンジタ真菌にはバイオフィルム(細菌のかたまり)を生成する働きがあるので、カンジタ真菌を抑えることは、口腔環境を保つことにつながります。

1-2 プロバイオティクスで歯を守る方法は?

「歯を守るためのプロバイオティクス」は「普及しはじめた段階」です。そのため、「おなかに優しいヨーグルト」のように、たくさんの市販品が販売されている…という段階には至っていません。

たとえば、ロイテリ菌を含有するサプリメントを販売しているのは、ロイテリ菌の多くを保有するスウェーデン―バイオガイア社くらいです。そのほかの「歯に良い乳酸菌」にしても、特定の販売元が市販している…といった状況になっています。

ただ、今の調子で「プロバイオティクス」が普及していけば、いずれは「善玉菌の力で歯を守る」という考え方が当たり前になる日も来るでしょう。ふだんのブラッシングなどで歯の健康を守りながら、「プロバイオティクスを取り入れられないか」という視点を持ち続けておきましょう。

もちろん、関心があれば、今の段階で歯医者さんに相談するなり、プロバイオティクス製品を活用するなりしてみるのも良いと思います。

2.乳酸菌にも善玉と悪玉が!?知られざる乳酸菌の真実

この章では「あまり知られていない乳酸菌の真実」を解説したいと思います。実のところ、すべての乳酸菌が歯に良い…というわけではありません。世間では「乳酸菌=善玉菌」という認識が一般的ですが、すべての乳酸菌が善玉菌とは限らないのをご存じでしょうか?

そもそも、乳酸菌という言葉自体、別に「身体に良い菌」という意味ではありません。そこで、まずは「乳酸菌」という言葉の定義を確認してみたいと思います。

2-1 乳酸菌には6つの特徴がある!

乳酸菌と呼ばれる種類の細菌には、6つの特徴があります。以下にかかげる6つの条件を満たした最近が、乳酸菌と呼ばれるわけです。

消費したブドウ糖の50%以上に相当する乳酸をつくりだすこと

乳酸菌は「ブドウ糖を乳酸に変える」という働きを持った細菌のことです。乳酸だけを生成する乳酸菌を「ホモ乳酸菌」、乳酸のほかに酢酸・アルコールといった副産物を生み出す乳酸菌を「ヘテロ乳酸菌」と呼びます。

「桿菌(かんきん)」または「球菌」であること

これは細菌の形状です。「桿菌」は細長い棒状の細菌、「球菌」は球状の細菌です。乳酸菌は、これらのうち、いずれかの形状をしていなければなりません。

「グラム陽性菌」であること

細菌の分類方法に「グラム染色」というものがあります。色素染色したときに、紺色・紫色に染まる細菌を「グラム陽性菌」と呼んでいます。乳酸菌に分類されるためには、グラム陽性菌であることが条件になります。

「芽胞(がほう)」を形成しないこと

一部の細菌は、耐久性の高い細胞構造を形成することがあり、この構造を「芽胞」と呼びます。乳酸菌は、芽胞を形成しない細菌です。

運動性を持たないこと

「細菌の運動性」というのは「自力で動くことができる」という意味です。乳酸菌は運動性を持たない細菌なので、自力で移動することはありません。

ナイアシンを必要とすること

乳酸菌は、生長のために「ナイアシン」を必要とします。ナイアシンは「ビタミンB3」とも呼ばれ、ニコチン酸・ニコチン酸アミドの総称です。

乳酸菌というのは、以上の6条件を満たす細菌のことです。これらの条件さえ満たしていれば、「身体に良い細菌」でも「身体に悪い細菌」でも、等しく乳酸菌に分類されます。

2-2 実は、虫歯菌も乳酸菌の仲間だった!

さて、「乳酸菌の6条件」を満たす細菌はたくさん存在します。乳酸菌の仲間は7つのグループに分類されていて、それぞれ以下のように呼ばれています。

ラクトバチルス属

一般には「乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)」と呼ばれることもあります。ヨーグルト製造に使われるなど、いわゆる「乳酸菌」です。「ラクトバチルス・ガセリ(ガセリ菌)」「ラクトバチルス・ブルガリクス(ブルガリア菌)」「ラクトバチルス・ロイテリ(ロイテリ菌)」などが知られています。

ラクトコッカス属

一般に「乳酸球菌」と呼ばれる場合もあります。いわゆる「乳酸菌」の1つで、乳製品の発酵に用いられるほか、「ほかの菌の増殖を抑える作用」があることから保存料として使われることもあります。「ラクトコッカス・ラクティス」などが知られています。

エンテロコッカス属

エンテロコッカス属の一部は、人間の大腸などに生息しています。「腸球菌」の一種でもあります。整腸作用・免疫調整作用を持つ善玉菌もいる一方、菌血症・尿路感染症・腸球菌髄膜炎などの感染症を引き起こす種類も存在します。

ストレプトコッカス属

一般には「レンサ球菌」と呼ばれることも多いです。一部、ヨーグルトの発酵に役立つ種類も存在しますが、病原菌として働く種類もたくさんあります。肺炎の原因となる「肺炎球菌」、化膿性の炎症―蜂窩織炎(ほうかしきえん / フレグモーネ)を引き起こす「A群β溶血性レンサ球菌」などが知られています。また、虫歯を引き起こす虫歯菌の正式名称は「ストレプトコッカス・ミュータンス」であり、実は、虫歯菌も乳酸菌の一種です。

ペディオコッカス属

チーズ・ヨーグルト・ワイン、そして一部のビールを発酵させるのに使われています。また、キャベツの漬物(ザワークラウト)を乳酸発酵させるのも、ペディオコッカス属の乳酸菌です。

リューコノストック属

ワインの発酵のうち、「リンゴ酸が乳酸に変わる発酵」を担っているのが、リューコノストック属の乳酸菌です。また、キャベツの漬物(ザワークラウト)の発酵にも役だっています。

ビフィドバクテリウム属

一般には「ビフィズス菌」という名前で認識されています。おなかの調子を整えてくれる有用な菌として認知されています。代表的な菌種である「ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム」などが知られています。

このように、乳酸菌の中にも、善玉菌と悪玉菌が存在します。「まさか、虫歯菌が乳酸菌の仲間だったなんて…」と驚いた方も多いのではないでしょうか?

3.まとめ

「善玉菌の力で健康を守る」という考え方が普及してきた現在、だんだんと「歯を守る乳酸菌」の存在感が増してきています。「プロバイオティクスが予防の主役になる」という時代も、それほど遠くはないのかもしれません。

どんなものであれ、有効活用するには「一定の基礎知識」が不可欠です。プロバイオティクスへの理解度を向上するためにも、「乳酸菌ってどういうものなのか」といった「善玉菌に関するリテラシー」を身に着けておきましょう。

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