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舌に「できもの」を見つけたときの対処法!口内炎・舌がんの特徴とは?

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舌に違和感・痛みを感じたら、鏡で状態を確認してみましょう。舌の表面に「できもの」が現れているかもしれません。口内炎なのか、それともほかの病変なのか…、とても気がかりだと思います。

こちらの記事では、舌に発生する「できもの」の特徴・症状・治療法を解説しています。「できもの」の正体が何なのか、医療機関を受診するべきかどうか…。困ったときの情報収集にお役立ていただければ幸いです。

目次

1.舌の「できもの」は口内炎かも…?
1-1 アフタ性口内炎
1-2 カタル性口内炎
1-3 ヘルペス性口内炎

2.口内炎だけじゃない!舌に現れる「できもの」
2-1 地図状舌
2-2 口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)
2-3 口腔白板症
2-4 紅板症
2-5 舌がん

3.まとめ

 

1.舌の「できもの」は口内炎かも…?

舌に「できもの」を見つけたとき、最初に疑うのは口内炎だと思います。実際、口の中に何らかの「できもの」が発生した場合、もっとも高確率の原因は口内炎です。そこで、まずは舌に発生する口内炎の種類を解説したいと思います。

1-1 アフタ性口内炎

誰かが「口内炎」という言葉を口にしたときは、たいてい「アフタ性口内炎」を指しています。もっとも高頻度で見られる口内炎です。「白いできもの」が現れた場合、真っ先に疑うべきなのが、アフタ性口内炎でしょう。

アフタ性口内炎の特徴
黄白色~灰白色
形状 2~6mm程度の円形・楕円形で、やや窪んでいる
病変の輪郭 明瞭
発生個数 多くの場合、1~3個程度
痛みの強さ 強い~非常に強い

何もしていないときにズキズキ痛むことはありませんが、「食品・歯などが接触したとき」「辛味・酸味などの刺激物を口にしたとき」に強い痛みが走ります。「口内炎は痛い」というイメージを作り出したのは、間違いなくアフタ性口内炎でしょう。

アフタ性口内炎の原因は何?

アフタ性口内炎が形成されるメカニズムはわかっていません。ただ、「アフタ性口内炎の発生率を高める要因」はいくつか指摘されています。具体的には、下図のリスクファクターが複数そろうとアフタ性口内炎を発症する傾向があります。

アフタ性口内炎のリスクファクター
睡眠不足 慢性的疲労
過度のストレス 口腔内の清掃不足
物理的刺激 ドライマウスによる唾液不足
鉄分の欠乏 ビタミンB群の欠乏

物理的刺激は単発ではなく、慢性的な刺激です。同じ部位に繰り返しの刺激が加わった場合に、アフタ性口内炎を発症しやすくなります。「割れて鋭利になった歯」「入れ歯の金具」などが同じ場所に何度も当たると、そこにアフタ性口内炎ができることがあるわけです。

アフタ性口内炎の一般的な治療方法

基本的には自然治癒する疾患なので、経過観察でも構いません。通常、1~2週間で軽快します。ただし、明らかに6mmを超える潰瘍があったり、同時に5個以上の口内炎が現れたりしているようなら、医療機関を受診したほうが良いでしょう。

医療機関を受診した場合、治癒を早めるために抗炎症剤を処方するのが一般的です。抗炎症剤としては、口腔用のステロイド剤を用いることが多いです。具体的には「トリアムシノロン軟膏(商品名:ケナログ)」「デキサメタゾン軟膏(商品名:デキサルチン)」などが用いられます。

そのほか、「ビタミンB群の不足」が考えられればビタミン剤投与、「口腔内に割れて尖った歯がある」といった場合は歯科治療をおこないます。

1-2 カタル性口内炎

アフタ性口内炎に次いで、頻繁に見られる口内炎です。カタル性口内炎の場合、「赤いできもの」を生じます。アフタ性口内炎が「白い口内炎」と呼ばれるのに対し、カタル性口内炎は「赤い口内炎」と呼ばれます。

カタル性口内炎の特徴
赤~紅色
形状 小さな斑点で、周囲に発赤・腫れ
病変の輪郭 不明瞭
発生個数 多くの場合、多数の紅斑
痛みの強さ 弱いが、熱感を伴う

小さな紅斑が複数できて、周囲全体が赤く腫れることが多いです。何もしていないときはほとんど痛みませんが、「若干、熱いような感覚がする」と訴える人もいます。辛味・酸味など刺激の強い食品を口に含むと、痛むことがあります。また、悪化すると「粘り気のある唾液が分泌される」「口臭が悪化した」などの自覚症状が現れることがあります。

カタル性口内炎の原因は何?

多くの場合、直接の原因は物理的刺激です。「不適合な詰め物・かぶせ物」「入れ歯の金具」などによる刺激が口内炎の引き金になることがあります。慢性的な体調不良に陥っていたり、口腔内が不衛生な状態にあったりすると、発症率が向上します。物理的刺激がきっかけになることから「単純性口内炎」と呼ばれることもあります。

カタル性口内炎の一般的な治療方法

基本的には、1週間~10日で自然治癒します。ただし、口腔内の衛生状態が悪いと治癒が遅れる傾向です。また、周辺が細菌感染すると炎症が広がるので、なるべく口腔内を衛生的に保ってください。ただ、アルコールの入った洗口液は刺激が強すぎるのでNGです。刺激の少ない「うがい薬」を使うと良いでしょう。クロムヘキシジン(商品名:コンクール)、ポビドンヨード(商品名:イソジン)、アズレンスルホン酸ナトリウム水和物(商品名:アズレン)などがおすすめです。

医療機関を受診した場合、多くは「ステロイド系抗炎症薬」が処方されます。「デキサメタゾン軟膏(商品名:デキサルチン)」「トリアムシノロン軟膏(商品名:ケナログ)」などを用いることが多いです。

1-3 ヘルペス性口内炎

ヘルペス性口内炎は、ウイルス感染症の症状として発症する口内炎です。「初感染で発症した場合」は広範囲に水ぶくれの「できもの」が生じて、高熱・倦怠感などの全身症状を伴うことが多いです。一方、「すでに感染している人の再発例」では、「口唇ヘルペス」「ヘルペス性口内炎」などの皮膚・粘膜症状にとどまるのが普通です。

ヘルペス性口内炎の特徴
白~赤色
形状 中心が白く、周囲が赤い水疱(水ぶくれ)
病変の輪郭 明瞭
発生個数 多くの場合、多数の水疱
痛みの強さ 強い~非常に強い

ヘルペス性口内炎は痛みが強く、症状が出ている間は食事に苦労することが多いです。ヘルペス性口内炎の場合、舌だけでなく、唇・歯茎・頬粘膜など口腔全体に水疱が現れます。そのため、ほかの口内炎との識別は容易でしょう。

ヘルペス性口内炎の原因は何?

原因となるウイルスは「単純ヘルペスウイルス1型」です。日本人の7~8割が感染しているウイルスで、一度でも感染すると体内から除去する方法はありません。要するに、ほとんどの人が体内に単純ヘルペスウイルス1型を飼っているのです。

ふだん、単純ヘルペスウイルス1型は「三叉神経節」という場所に潜んでおとなしくしています。しかし、風邪・体調不良などで免疫力が低下すると、唇・口腔内まで下りてきて「口唇ヘルペス」「ヘルペス性口内炎」などを引き起こします。

ヘルペス性口内炎の一般的な治療法

ウイルス感染症なので、抗ウイルス薬による治療をおこないます。前述のとおり、単純ヘルペスウイルス1型を体内から根絶する方法はありませんが、増殖を抑えて治癒を早めることは可能です。

ヘルペスウイルスに対する抗ウイルス薬は、「ウイルスが増殖するために必要な酵素―DNAポリメラーゼの働きを抑える」というメカニズムで作用します。以上のメカニズムから、「DNAポリメラーゼ阻害薬」と呼ばれています。

ヘルペスウイルスの主な抗ウイルス薬
薬剤名 有効成分名 使用法
ゾビラックス アシクロビル 内服
アクチビア アシクロビル 内服
ヘルペシア アシクロビル 外用
サワイ アシクロビル 点滴
バルトレックス バラシクロビル塩酸塩 内服
ファムビル ファムシクロビル 内服
MEEK ビダラビン 外用
SW ビダラビン 外用
F ビダラビン 点滴

上図には市販外用薬も含まれていますが、市販薬の適応症は「口唇ヘルペスの再発例」です。ヘルペス性口内炎は、適応外になります。なので、ヘルペス性口内炎を治療するにあたっては、医療機関を受診して内服薬を処方してもらう必要があります。

1-4 カンジダ性口内炎

カンジダ性口内炎は、入れ歯を使用している高齢者によく見られる口内炎です。別名を「口腔カンジダ症」と呼び、症状によって3種類に区分できます。それぞれ「偽膜性カンジダ症」「萎縮性カンジダ症」「肥厚性カンジダ症」と呼ばれているので、まずは個々の特徴を解説することにしましょう。

偽膜性カンジダ症の特徴
白色
形状 苔のような膜状の病変
病変の輪郭 不明瞭
発生個数 多くの場合、ひと続きの1ヶ所
痛みの強さ 多くの場合、痛みはない

 

萎縮性カンジダ症の特徴
赤色
形状 広範囲に発赤
病変の輪郭 不明瞭
発生個数 多くの場合、ひと続きの1ヶ所
痛みの強さ 弱いが、熱感を伴う

 

肥厚性カンジダ症の特徴
白色・肉色・赤色など
形状 表面が盛りあがり、皮膚のようになる
病変の輪郭 不明瞭or明瞭
発生個数 多くの場合、1個
痛みの強さ 痛みはない

種別によって外見的特徴は大きく異なりますが、いずれもあまり痛みはありません。もっとも多く見られるのは偽膜性カンジダ症で、舌の表面に「もやもやとした白い苔状の病変」が現れます。擦ると剥がれますが、出血することがあります。また、苔状の病変を剥がした裏側は、多くの場合、発赤・びらんをきたしています。

カンジダ性口内炎の原因は何?

原因はカンジダ菌と呼ばれる真菌(カビ)です。ただ、カンジダ菌自体は口腔内に生息する常在菌なので、それほど大層な病原菌ではありません。実際、感染力は弱く、若くて健康な人が感染することは稀(まれ)です。

カンジダ菌に感染するのは、たとえば「きちんと手入れをせずに入れ歯を使用している人」などです。入れ歯の洗浄剤を使わずにいると、入れ歯の内部でカンジダ菌が増殖し、舌・歯茎への感染を招くことがあります。

そのほか、抗生物質の多用・長期連用もカンジダ感染症のリスクファクターです。抗生物質は真菌に効果がなく、細菌だけを殺菌(または静菌)します。真菌と細菌は本来、口腔内で勢力争いをする関係です。抗生物質の長期連用で細菌を抑えていると、敵のいなくなった真菌が大量増殖して、カンジダ感染症を招きます。

カンジダ性口内炎の一般的な治療法

真菌感染症なので、治療には抗真菌薬を用います。真菌に特徴的な植物性細胞膜を合成するためには、エルゴステロールと呼ばれる成分が不可欠です。そこで、エルゴステロールの合成に使う酵素―シトクロムP450の働きを抑えて、増殖を抑制する抗真菌薬を持ちます。この作用機序を有する抗真菌薬としては「アゾール系抗真菌薬」が挙げられます。

2.口内炎だけじゃない!舌に現れる「できもの」

舌に発生する「できもの」は、口内炎だけではありません。この章では、口内炎とは異なる種類の「できもの」を紹介したいと思います。中には、将来的にがんに変わる恐れのある病変も含まれていますので、「口内炎じゃないから…」と楽観はできません。

2-1 地図状舌

舌表面に「白い縁取りのある赤斑」が生じます。「できもの」というよりは、「模様」と表現したほうがしっくりくる外見です。赤斑は不規則な形状をしており、大小の赤斑が複数、生じることもあります。複数の赤斑が入り組んだ模様を描くと、世界地図のような外見になることから、「地図状舌」と呼ばれています。

外見的な変化を除けば、症状らしい症状はほとんどありません。ただ、人によっては軽度の痛みを訴えることもあります。原因は不明ですが、「ビタミンBの欠乏」「自律神経失調症」などが発症要因になると考える人もいます。無症状なら経過観察、痛みがある場合には対症療法をおこなうのが一般的です。

2-2 口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)

舌を含めた口腔粘膜に、「網状模様・発赤・びらん・水疱」といった病変が生じます。白色型と紅色型の2種類に区分されています。白色型は「白色の病変をきたすもの」で、紅色型は「白色に加え、赤色の病変をきたすもの」を指します。いずれも「レースのように広がる、ひとつながりの病変」で、やや広範囲にわたることが多いです。

自覚症状は人によって差がありますが、多くの人が痛みを訴えます。そのほか、熱感・口腔内不快感・出血・味覚異常などを訴える人もいます。原因ははっきりしていませんが、「免疫細胞が粘膜の基底細胞を攻撃する自己免疫性疾患の一種である」という考え方がやや有力視されています。40代以降の女性に多く発症する傾向があります。

「放置するとがんに変わる恐れのある病変」を「前がん病変」と呼んでおり、口腔扁平苔癬は前がん病変の1つです。ただ、がんに変わるのは1%程度とされているので、基本的には痛みなどの症状に対処しながら、経過観察することになります。炎症が強い場合には、ステロイド剤を用いて炎症を鎮めるのが一般的です。

2-3 口腔白板症

口腔白板症は、舌を含めた口腔粘膜の一部が「白色になって盛りあがる症状」を指します。舌に発生する場合、舌の側面にできることが多いです。表面の質感は「つやつやと滑らかなもの」「ざらざらしたもの」「複雑にデコボコしたもの」など、さまざまなケースがあります。

自然治癒は期待できず、むしろ時間が経過するほど大きくなる傾向です。舌に白い病変が発生して、2週間経っても改善しなければ、白板症を疑ってください。放置すると、白い部分に赤い斑点が混じる「紅斑混在型」に変わることがあり、紅斑が混じると痛みが生じることもあります。

さて、白板症は代表的な「前がん病変」で、3~5%はがんに変わると考えられています。もしも、「だんだん大きくなっている白い病変」があるなら、早めに歯科口腔外科を受診するようにしましょう。

2-4 紅板症

舌をはじめ、口腔粘膜の一部が盛りあがって赤くなっている場合は、紅板症の恐れがあります。表面がつやつやしていることが多いですが、一部にえぐれたような潰瘍が見られるケースも多いです。

紅板症が形成される過程で粘膜が薄くなるのですが、その際に刺激痛を感じることがあります。しかし、紅板症が形成されてからは、基本的に痛みません。「刺激痛のあった部位が赤く盛りあがってきた」という場合、紅板症が強く疑われます。

紅板症は「前がん病変」の中でも特にハイリスクで、全体の50%程度が口腔がんに変わると考えられています。もし、紅板症の恐れがある病変を見つけたら、早急に歯科口腔外科を受診してください。「病変の一部を切除して検査すること」を生検といいますが、生検した段階で初期がんになっていることも珍しくありません。

ただ、紅板症・初期がん(上皮内がん)のうちに治療をはじめれば、生命予後に支障はありません。むしろ、「早期発見できて良かった」とポジティブに捉え、すぐに適切な治療を受けるようにしましょう。

2-5 舌がん

舌がんは文字どおり「舌にできるがん」です。舌に発生する「できもの」の中で、もっとも悪性度が高いものになります。口腔がん全体の約6割を占めていて、もっとも頻繁に見られる口腔がんです。舌の中央に発生することはほとんどなく、大部分が側面・辺縁部に発生します。

根治を目指すにあたっては、外科手術が中心となります。ただ、腫瘍の大きさによっては、まず放射線治療・化学療法(超選択的動注:腫瘍に栄養を送っている動脈に抗がん剤を入れる治療)をおこなって、腫瘍の縮小を試みます。なるべく腫瘍を小さくして、切除範囲を最低限にとどめるためです。術後のQOL(生活の質)を考慮した場合、切除範囲が小さいに越したことはありません。

比較的、初期の舌がんに対しては「舌部分切除」「舌可動域半側切除」を実施します。半側切除までにとどめることができれば、術後の再建によって、舌の機能をほぼ維持することが可能です。嚥下・咀嚼はもちろん、発音への影響もほとんどありません。

進行がんになると、「舌可動部全摘出」「舌全摘出」を余儀なくされ、術後のQOLに明確な影響が出ます。舌には「噛んでいる食べ物を歯の位置に固定する役割」「飲みこむ食べ物を喉に送り出す役割」があるので、咀嚼・嚥下が困難になります。また、舌の大部分がなくなることで、発音機能にも大きな障害が残ります。

3.まとめ

ここまで解説したように、「舌に生じるできもの」にはさまざまな種類が存在します。「自然治癒が期待できる口内炎」から「生命にかかわる恐れのある舌がん」まで、リスク面でも多種多様です。

基本的に「口内炎と思われるできもの」に気づいたら、経過観察は2週間までにとどめてください。2週間を過ぎて自然治癒しないなら、恐らく、その「できもの」は単なる口内炎ではありません。歯科口腔外科を受診して、医師の診断を仰ぎましょう。

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