舌のしびれは何が原因…? 心身症・神経痛のほか、癌・糖尿病の恐れも!

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舌がしびれる…という場合、どのような病気を疑ったら良いのでしょうか? 実のところ、舌のしびれはさまざまな理由で起こります。心身症から、生命にかかわる重大な病気の初期症状まで、原因は多岐にわたります。

そこで、こちらの記事では「舌がしびれる主な理由」を解説することにしました。なぜ、舌がしびれたら、すぐに医療機関を受診するべきなのか…。その理由に納得いただき、早期受診を促す一助になれば幸いです。

1.舌痛症で舌がしびれる…!

舌がしびれる病気の1つに、「舌痛症」があります。舌痛症は「原因らしい原因が見当たらないのに、舌に痛み・しびれが生じる病気」です。昔は「気のせい」で片付けられることもありましたが、最近は「心身症の1つ」と見なされるようになりました。

実際、舌痛症を発症しやすいのは、「几帳面・神経質な生活で、ストレスの多い環境に置かれている40代以上の女性」です。これは「心身症を発症しやすい人の特徴」に、そのまま合致しています。

舌痛症の治療法

心身症の一種なので、多くは抗うつ剤による治療が功を奏します。心身症に対しては、「セロトニン」という脳内物質を増加させる薬を使うことが多いです。そのため、第一選択はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)になります。SSRIだけで十分な作用を得られない場合は、三環系抗うつ薬を処方します。

舌痛症に用いられる医薬品の一例
一般名 商品名 種別
パロキセチン パキシル SSRI
セルトラリン ジェイゾロフト SSRI
フルボキサミン ルボックス(デプロメール) SSRI
エスシタロプラム レクサプロ SSRI
アミトリプチリン トリプタノール 三環系抗うつ薬
クロミプラミン アナフラニール 三環系抗うつ薬
アモキサピン アモキサン 三環系抗うつ薬

 

セロトニンが不足すると、気持ちが不安定になったり、落ちこんだりしやすくなります。ごく簡単に表現するならば、「セロトニン不足=抑うつ状態」というわけです。そして、セロトニン不足は心身症の発症にも関連しています。

そこで、セロトニンの減少を抑える薬を投与するのです。セロトニンは役割を終えると再度、吸収されるようになっています。この吸収(再取り込み)を阻害して、セロトニン量が減らないよう維持するのが、SSRIの作用機序です。

三環系抗うつ薬に関しても、基本的な作用機序は同じです。つまり、セロトニンの再取り込みを阻害します。しかも、セロトニンの再取り込み阻害に関しては、三環系抗うつ薬のほうが強い作用を示します。

ただ、三環系抗うつ薬は作用が広く、ノルアドレナリン(不足すると、気力・意欲が低下)の再取り込みを阻害する働きも持っています。ほかにも、いろいろと副作用があり、あまり安易に使う薬ではありません。古い薬なので、作用は強いけれど、副作用も多いのです。そこで、SSRIを第一選択として、十分な作用が得られなければ三環系抗うつ薬の処方を検討する…という方向性が一般的になっています。

2.神経痛・神経麻痺

舌を支配する神経に神経痛・神経麻痺が生じていると、舌のしびれを感じることがあります。ちなみに、舌は2つの神経の支配領域に分かれています。舌先2/3は三叉神経(厳密は三叉神経の分岐の1つである下顎神経が、さらに分岐した舌神経)の支配領域であり、舌の根元1/3が舌咽神経の支配領域です。

神経痛は「血管が神経を圧迫している」などの理由で、痛みを感じる症状です。特に三叉神経痛は、大部分が「動脈硬化を起こした血管が神経を圧迫する」というメカニズムで発生します。舌咽神経痛も血管に原因があると考えられていますが、舌咽神経痛それ自体が稀(まれ)な疾患であることから、はっきりしていません。

神経麻痺は、神経の損傷に起因することが多いです。たとえば、「骨を削るような難抜歯」「神経叢(しんけいそう:神経の集まり)に麻酔を打つ伝達麻酔」などで三叉神経が損傷する例が存在します。

神経痛・神経麻痺の治療法

三叉神経痛・舌咽神経痛に対しては、「薬物療法」「神経ブロック」「外科手術」などの治療法が用いられます。

まず、薬物療法では、てんかんの治療に用いられる抗痙攣薬「カルバマゼピン(商品名:テグレトール)」を処方します。神経伝達を抑えて痛みを感じにくくする薬ですが、副作用もあるので長期連用には慎重さが求められます。

神経ブロックは、「神経破壊薬」「高周波熱凝固」により、痛みが伝達されないようにする治療法です。三叉神経痛には「ガッセル神経節ブロック」をはじめとした三叉神経ブロックによる除痛が広くおこなわれています。一方、舌咽神経痛に対する神経ブロックの有用性は、十分に立証されていません。

外科手術は、「神経を圧迫している血管を剥離し、移動させる術式」です。根本原因を解消できる治療法ですが、術後10年で2~3割が再発(三叉神経痛の場合)する…という報告もあります。

神経麻痺に対しては、神経細胞を修復する薬「メコバラミン(商品名:メチコバール)」などを用いた薬物療法が一般的です。そのほか、神経麻痺に起因する痛覚過敏には、局所神経をブロックするほか、「星状神経節ブロック」がおこなわれることもあります。星状神経節ブロックが奏効すれば、交感神経を抑制し、痛覚過敏を緩和することが可能です。

3.舌癌

舌癌の腫瘍がある程度、大きくなると、しびれが生じることがあります。これは、腫瘍が神経を圧迫することが原因です。

舌癌は口腔癌全体の約6割を占めており、もっとも頻繁に見られる口腔癌となっています。舌の中央部ではなく、辺縁部(横の縁取り部分)に好発するので、「舌の側面にデキモノが生じて、だんだん大きくなっている場合」は要警戒です。

舌癌の治療法

舌癌に対しては、「外科手術」「放射線治療」「化学療法」の3つを組み合わせた集学的治療がおこなわれます。とはいえ、根治を目指すにあたって中心となる治療法は外科手術です。放射線治療・化学療法は、手術前になるべく腫瘍を縮小しておくための補助的治療となります。ただ、術前に腫瘍を縮小することは重要です。切除範囲を少しでも狭い範囲にとどめることが、術後のQOL(生活の質)を向上するために大切だからです。

腫瘍の大きさによって切除範囲が大きく変わるほか、「所属リンパ節(頚部リンパ節)に転移しているかどうか」によっても手術規模が異なります。リンパ節転移が見られる(または疑われる)場合には、「頚部リンパ節郭清(かくせい)」といって、リンパ節を切除する必要が出てくるからです。

4.糖尿病

糖尿病には自己免疫性疾患の「1型糖尿病」と、生活習慣病の「2型糖尿病」が存在しますが、一般に「糖尿病」といった場合は2型糖尿病を指しているのが普通です。もちろん、この記事で言及したいのも、2型糖尿病です。

本来、食事によって血糖値が上昇すると、膵臓が「インスリン(血糖値を下げるホルモン)」を分泌して、血糖値を下げます。しかし、日常的に高血糖が続くような生活をしていると、膵臓が疲弊してインスリンを分泌しなくなります。結果、血糖値が下がらなくなり、さまざまな弊害が出た状態を「糖尿病」と呼んでいるわけです。

代表的な弊害は、血液中の糖によるダメージで、血管が動脈硬化を起こすことです。その結果、腎臓の血液濾過能力が低下する「糖尿病腎症」、目の網膜に血液が行き渡らなくなる「糖尿病網膜症」そして、末端のしびれを起こす「糖尿病神経障害」などが起こるのです。糖尿病神経障害の一端として、舌がしびれることもあるでしょう。

糖尿病の治療法

食事療法・運動療法で生活習慣を改善するとともに、インスリンを注射するなどの対症療法をおこないます。また、しびれの要因になっている糖尿病神経障害に対しては、「アルドース還元酵素阻害薬」を用いるのが一般的です。神経障害の原因は、神経に「ソルビット」と呼ばれる糖アルコールが溜まることです。そこで、ソルビットを作り出す「アルドース還元酵素」の働きを阻害して、症状の緩和・病状進行の遅延を試みます。

5.まとめ

以上のように、「舌がしびれる」という症状1つにも、さまざまな病気が隠れている恐れがあるのです。この記事で紹介した症状以外にも、「脳梗塞の初期症状」というケースが考えられます。脳梗塞の場合、舌以外にも「身体の左右どちらか、半身がしびれる」「モノが二重・三重に見える」などの症状が出ることが多いです。

いずれにしても、「舌がしびれる」という症状は、重篤な病気の一症状であることも多く、決して軽視できるものではありません。「痛いわけじゃないし…」と軽く見る人もいるようですが、「しびれる」というのは、ただ単に痛いよりもハイリスクな症状と考えてください。舌のしびれ・麻痺に気づいたら、早期に医療機関を受診しましょう。

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