舌苔が増加する原因は…?口臭などの口腔トラブルを予防するために

舌苔_原因

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「舌が白く汚れている」と感じたことはありませんか? 舌の表面に見られる「白い付着物」は舌苔と呼ばれます。ある程度の舌苔が付着しているのは普通のことですが、あまりに多量の舌苔があるようなら要注意です。

多量の舌苔は、口臭の発生源になることもあります。実際、オーラルケアの一貫として「舌苔の除去」をしている人も珍しくありません。そこで、こちらでは「舌苔が付着する原因」「多量の舌苔が誘発する口腔トラブルの種類」を解説することにしました。

1.舌苔が付着する原因~なぜ、舌が白くなるのか?

舌苔が付着する原因を考えるにあたっては、「舌苔が何からできているのか」を知る必要があります。そこで、まずは舌苔の構成要素をまとめることにしましょう。

◆剥がれ落ちた粘膜細胞
皮膚と同じく、口腔粘膜も新陳代謝(ターンオーバー)をしています。古くなった細胞は、剥がれ落ちるわけです。その剥落した粘膜細胞が舌の表面に付着して、舌苔の一部になります。要するに、皮膚でいうところの「垢」に相当します。

◆食品残渣(ざんさ)
食品残渣というのは、要するに食べ物の残骸です。食べ物の一部は舌の表面に残り、舌苔の構成要素になります。

◆唾液ムチン
ムチンは、粘性のあるタンパク質です。潤滑剤のように口腔粘膜を保護すると同時に、咀嚼・嚥下を助けています。噛んでいるうちに、食べ物はひとまとまりのペーストになり、スムーズに飲みこめるようになります。この働きを「食塊形成(しょっかいけいせい)」と呼びますが、食塊形成にはムチンが欠かせません。

◆細菌
腸内に常在菌がたくさん棲んでいて、細菌集団のバランスを「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう / 腸内フローラ)」と呼ぶことはよく知られています。同じように、皮膚・口腔内など、至るところに常在菌がいて、細菌叢を構成しているのです。もちろん、舌の表面にもたくさんの常在菌が棲んでいます。

舌表面に棲んでいる主な細菌としては、比率の多いほうから順に「連鎖球菌」「ベイヨネラ」「ジフテロイド」「ブドウ球菌」「バクテロイデス」「カンピロバクター」「フゾバクテリウム」などがあげられます。これらの細菌もまた、舌苔の主な構成要素です。

◆その他
そのほか、舌苔には白血球、脂肪球、色素などが含まれています。「舌の付着物」と表現される舌苔ですが、実にさまざまな構成要素から成っていることがわかります。

以上のように、舌苔は「粘膜細胞・食品残渣・微生物などから構成され、粘性のある付着物」です。舌苔の性質を理解していると、「舌苔の増加を招く原因」を理解しやすくなります。

1-1 舌苔増加の原因①~ドライマウス

口腔トラブルの1つに「ドライマウス(口腔乾燥症)」というものがあります。唾液の分泌量が減少して、口腔内が乾く症状を指します。ドライマウスの人は、舌苔が付着しやすいのをご存じでしょうか?

唾液には「口腔内を洗浄し、雑菌の繁殖を抑える働き」があります。単に「口腔内を洗う」というだけではありません。唾液には「殺菌物質・抗菌物質」が含まれているのです。主な殺菌物質としては「リゾチーム」が挙げられます。リゾチームは「細菌の細胞壁を分解する働き」を持っていて、細菌を直接殺菌することが可能です。

抗菌物質の代表格は「ラクトフェリン」でしょう。ラクトフェリンは口腔内の第二鉄イオンと結合することで、細菌の増殖を抑えます。「なぜ、第二鉄イオンと結合すると、細菌の増殖が抑えられるの…?」と不思議に思うかもしれません。

しかし、ラクトフェリンが第二鉄イオンと結合することには大きな意味があります。第二鉄ラクトフェリンと結合してしまえば、もう細菌は第二鉄イオンを利用できません。細菌の生育には鉄が不可欠なので、あらかじめ第二鉄イオンを利用不可能にしておくことで、生育を抑えることができます。

さて、雑菌の繁殖を抑えてくれる唾液が不足するわけですから、「ドライマウス=口腔内の雑菌増加」という図式が成り立ちます。舌苔の主な構成要素に「微生物」がありますから、「ドライマウスは舌苔の増加要因である」と結論づけられます。

ドライマウスの原因としては、「噛む力の低下」「口呼吸の習慣」「薬の副作用」「加齢」などが知られています。まずは「噛みごたえのある食品をしっかり噛む」「自然な鼻呼吸の習慣を取り戻す」といったところから、ドライマウス対策をはじめましょう。

1-2 舌苔相加の原因②~舌の筋力低下

本来、過剰な舌苔は自然に落ちていきます。舌は「口腔の天井部分(硬口蓋)」に接触しているのが自然な状態です。何もしていないとき、舌と硬口蓋は触れあっているわけです。結果、舌表面と硬口蓋が擦れあい、過剰な舌苔の付着は妨げられます。

しかし、舌の筋力が低下していると、自浄作用がうまく働きません。舌の位置が沈んでしまい、硬口蓋に密着しなくなるからです。この状態を「低位舌」といいます。

低位舌を招く原因としては、「噛む回数の不足」「会話の不足」が挙げられます。そう、舌は噛むときにも重要です。「食べ物を歯の方向に押しやる役割」を負っていて、舌がなければまともに咀嚼はできません。また、会話中、発音するときにも舌は動き続けています。「噛みごたえのあるものをしっかり噛むこと」「人と活発に話すこと」は、舌の筋力を維持し、低位舌を防ぐためにも有用です。

2.過剰に付着した舌苔は、口腔トラブルの原因に…?

一定量の舌苔は、誰にでも存在します。完全に舌苔をなくす…ということはできませんし、するべきでもありません。しかし、過剰な舌苔が付着していると、さまざまな口腔トラブルの要因になることもあります。

2-1 多量の舌苔は口臭の原因に…?

舌苔を構成する微生物のうち、「バクテロイデス」「フゾバクテリウム」などは口臭の原因になります。これらの細菌は、タンパク質を分解して「揮発性硫黄化合物(VSC)」を産生するからです。そして、舌苔には「粘膜細胞」「唾液ムチン」「食品残渣」など、タンパク質が豊富に含まれています。微生物がこうしたタンパク質を分解すれば、VSCが発生することになります。

VSCは口臭の主な原因であり、「硫化水素」「メチルメルカプタン」「ジメチルサルファイド」などの総称です。いずれも強い臭気を持った気体です。以上の事実を踏まえれば「多量の舌苔は口臭の原因になる」と考えて、間違いないでしょう。

2-2 誤嚥性肺炎のリスクが上がる…?

唾液などが気管に入りこむことを「誤嚥(ごえん)」といいます。若い人なら「咳きこむことで、誤嚥を防ぐ機能―咳反射」が働きますが、高齢者・病気の人だと、咳反射がうまく働かないこともあります。

誤嚥すると、唾液と一緒に、口腔内の雑菌が気管・肺に入ってしまいます。もし、肺が雑菌に感染すると、肺炎を起こします。誤嚥が原因の肺炎であることから、こうした肺炎を「誤嚥性肺炎」と呼んでいます。高齢者には誤嚥性肺炎で命を落とす人もたくさんいて、リスクの高い病気の1つと考えられています。

さて、舌苔はたくさんの細菌を含んでいます。そして、舌表面の常在菌には、肺炎の起炎菌(炎症を起こす細菌)である「連鎖球菌」「黄色ブドウ球菌」が含まれているのです。当然、過剰な舌苔が付着していれば、誤嚥性肺炎のリスクは上昇します。

3.まとめ

過剰な舌苔は口臭の原因になるばかりでなく、誤嚥性肺炎のリスクを高めることさえあります。しかしながら、歯ブラシなどで舌苔をゴシゴシ擦るのはNGです。舌表面を傷つけ、味覚異常をきたす恐れもあるからです。舌苔を除去するのなら、「舌ブラシ」「スポンジ」など舌を傷つけない器具を使うようにしてください。

また、できることなら、「付着した舌苔を除去するケア」より「舌苔の付着を抑えるケア」のほうが望ましいと思います。「ドライマウス予防」「噛む力の維持・向上」など、口腔環境を底上げする習慣づくりを心がけましょう。正しい習慣を身につければ、過剰な舌苔が付着することもなくなっていくはずです。

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