口内炎のとき、もっとも苦労するのは何でしょうか? それはきっと、食事だと思います。食べ物が触れただけで鋭い痛みが走るわけですから、とても「食事を楽しむ」などといった状況ではありません。
そこで、こちらの記事では「口内炎と食事」をテーマに「口腔内の健康維持に役立つ情報」をまとめることにしました。「口内炎のときに避けるべき食べ物」「口内炎のリスクを減らすのに役立つ食べ物」など、誰もが知りたい情報を掲載しています。
この記事の目次
1.口内炎のとき、避けるべき食事は?
一般に口内炎というと、白っぽい潰瘍ができる「アフタ性口内炎」を指すことが多いです。実際、口内炎の中でもっとも頻繁に見かけるのは、アフタ性口内炎です。アフタ性口内炎に次いで、よく見かけるのは「カタル性口内炎」でしょう。こちらは、口腔粘膜に赤い斑点が生じ、周囲が全体的に赤く腫れる…という外見的特徴を有しています。
この章では、アフタ性口内炎・カタル性口内炎などの「多くの人が頻繁にかかる口内炎」を対象として、避けるべき食べ物を紹介したいと思います。
1-1 刺激の強い食べ物・熱い食べ物はNG!
「香辛料の多い食べ物」「熱い食べ物」は、口内炎を刺激するので避けてください。アフタ性口内炎は少しの刺激でさえ痛みが走るので、相当に痛い思いをします。それどころか、「何もしなければあまり痛くない」といわれるカタル性口内炎ですら、刺激性食品が触れれば痛みを感じます。口内炎のときに、わざわざ刺激物を口に入れる必要はありません。
また、刺激を受けると炎症は悪化するので、過度の刺激を与えると治癒も遅くなります。口内炎が出ているときは、やわらかく、味の薄い食べ物を選ぶようにしましょう。辛味はもちろんのこと、強い酸味・塩味も刺激物の範疇です。
1-2 多量の糖分・炭水化物はNG!
まったく食べてはいけない…というのではありませんが、度を超えた糖分・炭水化物は避けるようにしましょう。本質的に、糖分と炭水化物は同じものです。炭水化物は消化されて、最終的にブドウ糖になるからです。そして、ブドウ糖をエネルギーに変換するとき、ビタミンB1、ビタミンB2が消費されるのですが、問題はここにあります。
アフタ性口内炎は「慢性的な物理刺激」「疲労」などに加えて、「ビタミンB群の欠乏」が発症要因になります。ビタミンB1、ビタミンB2はビタミンB群の1つであり、「皮膚・粘膜の健康を維持する栄養素」です。過剰な糖質摂取によって、ビタミンB群を大量消費するのは、望ましくないと思います。実際、ビタミンB群の欠乏が疑われる場合、口内炎の患者さんにビタミン剤を投与することがあります。あえて、欠乏を招くような食事をするのは、得策ではないでしょう。
1-3 脂肪が多すぎる食事はNG!
同じように、「ゼロにしろ」というのはありませんが、脂肪分の過剰摂取も控えるようにしてください。体内に蓄えられた脂肪をエネルギーとして消費するとき、ビタミンB1、ビタミンB2が消費されるからです。
糖質と同様、過度な脂肪分の摂取は、ビタミンB群の欠乏を招く恐れがあります。また、ファーストフードをはじめ、脂肪分の多い食事をしていると、ビタミン不足になりがちです。偏食の癖を直すためにも、脂肪の少ない健康的な食事を心がけましょう。口内炎だけでなく、あらゆる病気リスクを下げることにつながります。
1-4 タンニンを含む飲み物の過剰摂取はNG!
緑茶・紅茶・赤ワイン・コーヒーなど、タンニンを含んでいる飲み物にも注意が必要です。鉄分には、動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。このうち、非ヘム鉄は、タンニンと結合することで「タンニン鉄」と呼ばれる物質に変化してしまうのです。タンニン鉄は小腸でほとんど吸収されないので、鉄分不足を招きます。
アフタ性口内炎のリスクファクターとして「鉄分の欠乏」があるので、口内炎の症状が出ているときに鉄分不足を招くのはよくありません。
2.口内炎を予防!ぜひとも摂取するべき栄養素は?
「1年に5回も6回も口内炎ができる…」など、しょっちゅう口内炎に悩んでいる人は、栄養バランスを見直したほうが良いかもしれません。もちろん、食事を見直すだけで必ずしも口内炎が防げるわけではありませんが、少なくとも偏食を続けるよりは良い結果を生むのではないでしょうか?
この章では、「皮膚・粘膜の健康を保つために役立つ」と考えられている栄養素を紹介することにしました。「どんな食べ物にたくさん含まれているか」も含めて掲載していますので、ぜひ、今後の献立を考える上での参考にしてください。
2-1 ビタミンB1(チアミン)
ビタミンB1は糖質・脂肪を代謝するのに必要な栄養素で、不足すると脚気(かっけ)などの病気を発症します。ビタミンB1を豊富に含んでいる食品は、豚肉・魚卵・うなぎ・ぬか漬けなどです。
2-2 ビタミンB2(リボフラビン)
ビタミンB2は糖質・脂肪・タンパク質の代謝に必要で、身体が正常に発達するために不可欠な存在です。皮膚・粘膜はもちろん、髪の毛、爪、赤血球、さらには病原体と戦うために必要な抗体までが、ビタミンB2を必要としています。ビタミンB2を豊富に含む食品は、レバー・うなぎ・納豆・卵黄などです。
2-3 ビタミンB6(ピリドキシン・ピリドキサール・ピリドキサミン)
ビタミンB6はアミノ酸を代謝するために必要な栄養素で、欠乏すると貧血や痙攣の原因になります。ビタミンB6を豊富に含んでいる食品は、にんにく・まぐろ・かつお・鶏肉などです。
2-4 ビタミンB12(シアノコバラミン)
ビタミンB12はDNA合成・エネルギー産生などの働きを有する栄養素です。また、体内で葉酸の材料になるので、ビタミンB12が欠乏すると、葉酸の欠乏をきたします。ビタミンB12を豊富に含んでいる食品は、貝類・レバー・青魚などです。
2-5 鉄分
鉄は、酸素の運搬に必要なヘモグロビンの材料になります。鉄が不足すると、鉄欠乏性貧血を招きます。鉄分を豊富に含んでいる食品は、レバー・パセリ・卵黄などです。
2-6 亜鉛
亜鉛は、皮膚・粘膜の健康を守るほか、味覚を正常に保つ働きもしています。亜鉛が欠乏すると、味覚障害、皮膚炎、傷が治りにくくなるなど、さまざまな問題が起こります。亜鉛を豊富に含む食品は、牡蠣・レバー・牛肉などです。
3.まとめ
口内炎を早く治すためにも、予防するためにも、食事に気を遣うことは有益です。また、栄養バランスに留意することは、口内炎のみならず、さまざまな病気を防ぐことにつながるでしょう。末永く健康な身体を維持するために、ビタミン・ミネラルを効率よく摂取できる「ヘルシーな献立」を考えてみませんか?
口内炎だけでなく、栄養のバランスを考えた食事は、虫歯、歯周病などにも良いことです。またレーザーによる治療も疼痛の緩和、治癒促進が期待できますので、歯科医院に相談してみてください。
電話:03-3601-7051
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