歯並びが悪い原因は?歯列に悪影響を与える習慣をチェック

歯並びが悪い原因は?歯列に悪影響を与える習慣をチェック

歯並びが悪いことで生じるのは、見た目の問題だけではありません。歯がきれいに並んでいないと、「ほかの歯が邪魔になって歯ブラシの届かない場所」が生じることもあります。要するに、虫歯・歯周病の原因にもなり得るわけです。

しかし、なぜ、歯並びがガタガタになってしまうのでしょうか? 人によってはきれいに並び、人によってはガタガタになる…というのは、なんだか不思議な気がします。そこで、こちらの記事では、歯並びが悪くなる原因を探ってみることにしました。

この記事の目次

1.歯並びが悪い原因は…?先天的原因と後天的原因

「歯並びなんて、生まれつきで決まるもの」と思っている人も多いようですが、必ずしも生まれつきですべてが決まるわけではありません。歯並びの悪化要因には、先天的原因と後天的原因が両方あります。つまり、「生まれつき」と「習慣・環境」が組み合わさって、歯並びが決まってくるわけです。

1-1 「悪い歯並び」をもたらす先天的原因

先天的原因に関しては、「努力して予防する」ということができません。先天的原因による問題は、歯列矯正などで対応していくことになるでしょう。

歯・顎(あご)の大きさ

体型・身長などと同じように、「歯・顎の大きさ」はある程度、親から遺伝します。当然、「歯が大きくて、顎が小さい」という場合、歯並びが悪化しやすくなるでしょう。歯がきちんと並ぶだけのスペースが足りないからです。

歯の本数

先天的に「特定の歯が欠如している(先天欠如)」「もともと存在しないところに歯が生える(過剰歯)」といった特徴を持っている場合、歯並びに悪影響が出やすくなります。

とくに先天欠如になりやすい歯は親知らずですが、親知らずは端にあるので欠如しても問題にはなりません。歯並びに悪影響を与えやすいのは、二番目に先天欠如を起こしやすい上顎側切歯(じょうがくそくせっし)です。上顎側切歯は手前から2本目の上前歯で、親知らずに次いで退化傾向にある歯として知られています。

よく見られる過剰歯は、親知らずのさらに奥に生える過剰歯(第四大臼歯)、上顎中切歯(一番手前の前歯)の間に余分に生える過剰歯(正中過剰歯)です。一部が埋まっていたり、傾いて生えてきたりするので、周囲の歯を押して歯並びを悪化させてしまいます。悪影響が大きくなる前に、過剰歯を抜歯するのがよく見られる対応です。

1-2 「悪い歯並び」をもたらす後天的要因

習慣・環境などの後天的原因は、子供時代(成長期)の行動が影響してきます。幼少期の習慣に気をつけることで、歯並びの悪化を予防・緩和する余地は十分にあるでしょう。

舌癖(ぜつへき)

歯は「唇・頬・舌からの圧力が等しい場所に生える」という説があるのをご存じでしょうか? 歯は常に、唇・頬・舌から押され続けています。前歯は「舌と唇」、奥歯は「舌と頬」によって、表裏の二方向から押されているわけです。片側からだけ押されれば、押された方向に動いてしまいそうですが、両側から同じ力で押されていれば動かないでしょう。これが、「それぞれからの圧力が等しい場所に生える」ということです。

弱い圧力でも押され続けていれば、歯は動いてしまいます。ということは、舌で前歯を押す癖があれば、前歯が外側に動くことになります。裏側から舌で押すわけですから、いわゆる出っ歯になってしまうでしょう。こういった、「舌の動きの癖」を「舌癖(ぜつへき)」と呼びます。日常的に同じ舌癖を繰り返していると、力がかかった方向に歯が動かされてしまうわけです。

口呼吸

口呼吸が癖になっている場合も、歯並びに悪影響を及ぼすことがあります。何ごともないとき、口は閉じているものです。しかし、口呼吸が習慣化していると、口は常に半開きになります。すると、「唇が歯を押す圧力」が前歯に伝わらなくなり、歯は舌の圧力で外側に押されるようになります。結果、上前歯が外側に動けば「出っ歯」、下前歯が外側に動けば「受け口」になるわけです。

指しゃぶり・爪噛みなどの悪習慣

子供が指しゃぶりを続けたり、爪・鉛筆などを噛んだりしていると、歯並びに悪影響を与えます。指・爪・鉛筆などをずっと口に入れていると、口腔が正常に閉じている時間が短くなります。結果、歯が普通とは異なる位置に動いてしまい、「前歯がきちんと噛みあわなくなる」などの不正歯列につながります。

顎の発育不良

幼少期から14歳くらいまで、人の骨格は成長を続けています。この時期には、身体だけでなく顎も大きくなります。成長期にやわらかいものばかり食べていると、顎がうまく成長せず、永久歯がきちんと並ぶだけの大きさに育たなくなる場合があります。成長期には歯ごたえのある食べ物をとり、顎の成長を促しましょう。

乳歯の虫歯

乳歯が虫歯になると、本来の時期より早く抜けることがあります。この場合、将来的な永久歯の歯列に悪影響が出ます。一か所だけ早く抜けると、前後の歯が倒れてきて「永久歯が生えるスペース」を圧迫することがあるのです。

2.歯並びが悪いと、どんな悪影響がある?

歯並びに問題があると、見た目以外にも、さまざまな問題・不便が生じます。軽度ならともかく、重度の不正歯列は機能面への悪影響も大きいのです。以下に、「歯並びによって生じる主な問題」を列挙することにしましょう。

・虫歯・歯周病のリスク増大
・顎関節症のリスク増大
・頭痛・肩こりの原因
・発音が不明瞭になる

歯並びが悪いと「傾いた歯が邪魔になって歯ブラシが届かない」などの問題から、歯磨きによるセルフケアが非効率になります。また、顎のバランスが崩れて、顎関節症を誘発する恐れもあります。さらには、顎関節症による顎・首のゆがみが頭痛や肩こりを誘発するなど、全身のバランスに悪影響を与えるリスクも指摘されています。

そのほか、歯並びの悪化は「発音しにくくなって、滑舌が悪くなる」など、発音にもネガティブな影響を及ぼします。たとえば、前歯が傾いていれば「サ行」「タ行」など「舌を前歯の裏に当てる音」を発音しにくくなるでしょう。歯並びは、私たちの日常生活と密接にかかわる大きな問題といえます。

3.まとめ

歯並びは先天的に決まるだけでなく、さまざまな生活習慣の影響を受けて決まる部分があります。特に成長期の生活習慣は将来の歯並びに大きな影響を与えますから、子供の癖・習慣には十分に注意しなければなりません。

もし、歯並びに気になるところがあれば、早めに歯医者さんに相談するようにしましょう。歯列矯正は、子供のころのほうが早く終わりますし、費用も安くなる傾向にあります。

 

先生からのコメント

この記事は特にお子さまをお持ちの親御さんが気になさる内容だと思います。口呼吸をずっとしているようであれば耳鼻科で診てもらう必要があるかもしれません。悪習慣があれば歯並びが崩れるリスクとしてはかなり高いものになります。歯並びも個性ととらえることもできますが、やはりきれいに並んでいることより美しいものはありませんよね。また、歯の形を考えても、歯並びが悪ければその歯が持つ能力を使いきれません。その分負担がかかるということにつながります。歯列矯正だけではなく、歯列誘導といった小矯正も含めて歯医者さんで相談してみてはいかがでしょうか?

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。

ページトップへ