矯正

幼児期や大人の受け口の矯正と自力で治すトレーニング

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上下の歯の噛み合わせが逆になる受け口(反対咬合)は、見た目も気になる歯並びの一つですが、矯正することで、見た目以外にもさまざまなメリットがあります。

矯正方法に関しては、乳歯がある子供の時期と、永久歯が生えそろった大人の時期で、それぞれ矯正方法が大きく異なります。各時期での適切な矯正方法や、自力で治すための舌のトレーニング方法などもご紹介します。

1.顎の成長が止まった後の矯正方法

上顎が小さいことや、普段の舌のポジションが悪いことが、受け口の原因として挙げられます。幼児期には、舌の筋肉や顎の発達を促す矯正が中心ですが、永久歯が生えそろった大人の矯正では、ブラケットを装着した矯正が一般的となります。

1-1 受け口のブラケット矯正

すべての永久歯が生えそろった時点での、受け口の矯正はブラケット矯正が主体となります。個人差はありますが、顎の成長が止まって噛みあわせの変化が安定した時点からが、この矯正の対象です。目安としては、身長の伸びが止まった時期以降となります。

ブラケットの矯正は、歯の1本1本に器具を装着し、ワイヤーによって歯を動かす方法で、受け口をもたらす歯の傾きやねじれを正します。

費用

およそ60万円から150万円程度

1-2 顎の位置を整える外科矯正

受け口となっている状態は、歯の噛み合わせの問題だけでなく、上下の顎の大きさや位置なども関わってきます。従って、歯の向きや位置を正すブラケット矯正だけでは、どうしても対応できない場合もあります。

事例としては、上顎に対して下顎が大きいケースが挙げられます。この場合は、顎の位置を修正する外科的な手術を行うことで、受け口を直します。

費用

保険の適用が可能 60万円から80万円程度(3割負担の場合)

1-3 簡易的なセラミック矯正

もっとも簡易的な方法としては、セラミック矯正が挙げられます。歯を部分的に削って、セラミックの歯にすることで、歯の形を変えて、反対になった咬合を直します。ただし、健康な歯を削ることが必要で、歯の根に負担がかかるというデメリットもあります。

費用

1本あたりおよそ8万円(総費用は対象となった歯の本数によります)

2.乳歯のある子供の矯正方法

乳歯のある時期の受け口の矯正は、顎の成長が止まった後の大人の矯正方法とは根本的に違います。顎の大きさや舌のポジション、口の周囲の筋肉などが受け口となる要因なので、子供の矯正はこうした要因を改善することが主体となります。

2-1 口の周囲の筋肉をトレーニングする「MFT」

口の周囲や舌の筋肉を正しく使えるようにすることで、受け口を改善していく口腔筋機能療法で、MFT(Myofunctional therapy)と呼ばれています。特に、通常の舌のポジションを上顎に接する正しい位置へと導くことで、舌が下の歯を前に押さないようにします。

費用

1回のトレーニングでおよそ5000円から1万円

2-2 舌の位置を正す「マウスピース矯正」

舌が内側から歯を押す力は非常に大きいものです。従って、普段の舌のポジションが歯並びにも強い影響を与えます。受け口の場合は、普段の舌のポジションが低くなりがちで、いつも舌が下の歯を前方に押している状況となります。

舌の位置を矯正するマウスピースを使うことで、舌のポジションを上に持ち上げる習慣をつけることができます。1日1時間+就寝中に装着します。

費用

およそ5万円程度

2-3 筋肉と歯並びを同時に治す「マウスピース矯正」

舌の筋肉を訓練し口腔筋機能を高めて、きれいな歯並びに導くための、マウスピースを使った矯正が存在します。マウスピースには軟質タイプと硬質タイプがあり、柔らかいものから、次第に固くしていきながら、歯並びを改善します。1日1時間+就寝中に装着します。

費用

およそ5万円程度

2-4 上顎拡大装置による矯正

前歯が永久歯に生え変わる頃に、受け口となってしまった場合は、上顎を広げるような矯正方法もあります。下顎に対して、上顎が小さいと反対咬合になりやすく、上顎の成長を促すことで、受け口を矯正します。

この矯正では、上顎拡大装置という器具を上顎の内側に装着します。上顎には骨のつなぎ目があり、10代前半までは、骨のつなぎ目が左右に分かれています。器具を装着して上顎を広げることで、このつなぎ目を拡大します。

費用

3万円から5万円

2-5 上の前歯のブラケット矯正

前歯の向きが乱れていることによって、下の歯が噛みあわなかったり、受け口になったりする場合には、前歯にブラケットを装着して、部分的に矯正する方法もあります。

費用

およそ2万5千円から(矯正する歯の本数などによります)

3.受け口を矯正する4つのメリット

受け口は、人に歯を見せたときに気になったり、横顔などのフェイスラインが気になったりと、見た目の悩みも強いと思います。しかし、受け口を矯正することには、そうした見た目だけでなく、歯および体の健康を保つ上でもさまざまなメリットがあるのです。

3-1 虫歯や歯周病になりにくい

反対咬合は、適正に噛み合っていないために歯の負担が大きくなります。また、歯列が乱れて隙間ができやすく、虫歯にもなりやすい状態です。受け口を治すことで、虫歯や歯周病になりにくい歯列になります。

3-2 十分な咀嚼ができる

噛み合わせが適正であれば、歯に負担がかからない上に、十分な咀嚼ができるようになります。しっかりと噛めるので、食事を存分に味わうこともできますし、胃腸への負担も軽くなって、きちんと消化でき、体の健康にもつながっていきます。

3-3 歯の治療がしやすくなる

虫歯などで被せ物をするときにも、受け口では噛みあわせのバランスが悪く、詰め物や被せ物が取れやすくなることもあります。受け口を治すことで、歯にかかる力が適正になり、虫歯の治療もしやすいというメリットもあります。

3-4 顎関節症のリスクが軽減される

受け口を含め、歯の噛み合わせが悪いと顎にも負担がかかり、顎関節症にかかりやすくなると言われています。噛み締めや食いしばりの癖など、顎関節症にはさまざまな要因がありますが、受け口もその一因の一つ。受け口を矯正することで、顎関節症のリスクの一つが解消されます。

4.受け口を自分で治すトレーニング

顎や舌の筋肉、口周りの筋肉が発達する時期にある子供の矯正では、治療の一環として、トレーニングで治す方法があることは、前述した通りです。舌が歯を押す力は強いので、舌を使ったトレーニングは、大人にも有効と言われています。

4-1 舌を正しいポジションに収めるトレーニング

オープン&クローズ法

普段の正しい舌の位置は、舌先が上の前歯の根元のやや後方にあります。いつもここに舌が収まっていれば、下の歯を前方に押してしまう癖がなくなります。

オープン&クローズ法のトレーニングでは、舌先を正しいポジションに付けたまま、口の開け閉めを繰り返します。これにより、舌の筋肉が鍛えられて、正しい位置にキープできるようになります。

タンドラッグ法

舌先を正しいポジションに置き、舌全体を上顎に密着させながら、喉の方向へと舌をずらしていくのが、タンドラッグというトレーニング法です。舌のポジションを正すだけでなく、食べ物を飲み込む時の、正しい舌の動きができるようになります。

4-2 受け口を治すベロ回しトレーニング

舌を歯の外側全体に這わせながら回すのが、ベロ回しトレーニングです。頬や唇と歯の間に舌を這わせて、歯の外側をすべてたどるように、奥歯から前歯まで、上の歯から下の歯まで、グルグルと舌を回します。

このトレーニングは1日30回から50回くらいが目安ですが、回数にこだわらず、思い立ったときにいつでも実践してみましょう。受け口だけでなく、歯並びを整えるトレーニングの一つです。

5.まとめ

受け口によって噛み合わせが悪い場合には、いつも咀嚼が不十分になって、常に胃腸にも大きな負担がかかっていることを知っておきましょう。年齢を経ると、より消化器への負担が増してきます。見た目の改善もさることながら、受け口の矯正には、さまざまなメリットがあることを踏まえて、治療を検討してみましょう。

また、大人の矯正と比較すると、子供の受け口の矯正の方が、費用が安い上に、顎の成長を促すことができ、舌のポジションを整えられ、根本的な改善がしやすいと言えます。

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