歯茎が赤いのは危険なのか?その原因と対処法【注意すべき口内の異変】

歯茎が赤いのは危険なのか?その原因と対処法【注意すべき口内の異変】

歯磨きをしていて、歯茎の赤みが気になることはありませんか?歯茎の色は、虫歯や歯周病、親知らずといったさまざまな歯の病気に気づけるきっかけにもなります。歯茎が赤いのは、歯茎の危険信号とも言えるのです。

記事では、歯茎が赤いときのさまざまな症状や赤くなる原因、対処法について紹介しています。

この記事の目次

1.歯茎が赤い時の症状

健康な歯茎はピンク色をしています。歯茎の状態が悪くなるにつれ、ピンク → 赤 → 赤紫 → 黒(紫)へと進んでいきます。

状態が良くない歯茎は形も丸みを帯びてきて、健康な歯茎と比べると、柔らかくなります。歯茎が赤くなると以下のような症状が現われます。

1-1 出血しやすい

赤い歯茎は、歯茎についた細菌を排除するために歯茎に血液が集まり、炎症が起きている状態です。

この状態のときは少しの刺激にも弱いため、歯磨きをしたり、せんべいのような硬い物を食べたりすると、痛みはないのに出血することがあります。

1-2 歯茎がムズムズと痒くなる

細菌がつき炎症を起こしている歯茎は、とても敏感な状態です。
少しの刺激にもムズムズし、かゆみが出ます。

1-3 冷たいものがしみる

歯茎が赤く腫れる原因の一つに歯周病があります。
歯周病による炎症の場合は、進行するにつれ、歯茎が下がってきます。

歯の外側はエナメル質に覆われているので刺激は受けないのですが、歯茎が下がることでエナメル質に覆われていない象牙質が露出するので、冷たい水などを飲むとしみてしまいます。

1-4 口臭がする

歯茎が下がることによって、歯と歯茎の間の溝が広がって歯周ポケットができます。歯周ポケットに細菌が溜まることで、膿のような臭いがします。

また、そういった歯茎は少しの刺激でも出血する状態です。血液の臭いも口内に充満するので、細菌による臭いと合わさって口臭はより強くなります。

2.歯茎が赤くなる原因

では、歯茎が赤く腫れるのはどのような原因が考えられるのか紹介します。

2-1 口内炎

歯茎や唇、舌や口角などの粘膜やその周辺に引き起こされる炎症を、口内炎と呼びます。

口内炎には、主にストレスや睡眠不足などの免疫力低下で起きる「アフタ性口内炎」と、歯磨きが不十分なことや熱湯などの物理的刺激で起きる「カタル性口内炎」があります。

これらの口内炎が原因で歯茎の赤みがある場合、口の中を清潔に保つ、規則正しい生活を送るなどのケアをおこなうことで、自然に解消する可能性が高いと言えます。

2-2 親知らず

奥歯である親知らずはまっすぐ生えてこないことが少なくありません。そのため、ブラッシングのときに毛先をしっかり当てることが難しい部位です。

磨き残しで歯垢(プラーク)が溜まることで、親知らずの周囲に炎症が起きることがあります。

これを智歯周囲炎と呼びますが、一度炎症が治まっても、汚れをしっかり取り除くことが難しいために、疲れや体調不良などによっても炎症が再発しやすくなります。

親知らずによって歯茎に赤みや痛みが生じている場合、原因となっている親知らずを抜歯しなければ改善しない場合が多くあります。かかりつけの歯医者さんと相談してみましょう。

親知らずが与える影響イラスト

2-3 歯肉炎

歯周病には歯肉炎、歯周炎、歯槽膿漏(重度の歯周炎)の3段階があります。

歯肉炎は歯周病の初期症状であり、歯と歯茎に細菌がつくことで炎症が起きています。

歯肉炎がさらに進行し歯周炎になると、歯と歯茎の間の溝に歯周ポケットができ、広がっていきます。これは、歯を支える骨が溶かされている状態です。

歯槽膿漏は歯を支える骨の3分の2以上が失われて、歯がグラグラして今にも抜け落ちそうな状態です。ここまでくると、抜歯が必要になり義歯やインプラントを埋め込むといった治療法でしか歯の機能を取り戻せないこともあります。

歯周病は糖尿病患者に発症しやすいと言われています。体を守る白血球が弱ることで、細菌に感染しやすくなるからです。歯周病との相性は悪く、合併症も引き起こすことがあるので注意が必要です。

2-4 歯根囊胞(しこんのうほう)

虫歯が原因で歯茎が赤く腫れることもあります。

虫歯が歯の神経にまで進行してしまうと、身体の防衛機能が働いて毒素が顎に広がらないように歯茎の内部に袋を作って閉じ込めてしまうことがあります。

袋の中に細菌が溜まることを「歯根囊胞」と呼びます。

虫歯が深く進行したときだけでなく、歯の神経を取るような深い虫歯の治療の後でも起きます。歯の根を洗浄して無菌状態にすることで治療します。

2-5 骨髄炎

骨髄炎になると、歯茎がかなり腫れて顎も痛くなります。歯を支える顎の骨の中にまで細菌が入り込むことで起こります。

強い痛みを感じ、嘔吐や発熱といった全身に及ぶ症状が出ます。抗生物質を長期間投与して、顎に広がった細菌を抑えていくなどの治療をすることがあります。

2-6 歯肉がん

歯茎にがんができることでも赤く腫れます。がんの中ではかかる比率は少ない方なのですが、口内炎など他の原因と見間違われやすいので進行した状態で見つかることが多いと言えます。

喫煙や飲酒が原因の多数を占めていますが、虫歯や歯周病といった不衛生な口内環境、義歯や詰め物が歯茎に長期間刺激を与えることも歯肉がんのリスクとして挙げられます。

歯科口腔外科で、手術によってがんを切除することで治療します。

3.自宅でできるケア

歯茎が赤く腫れた状態は、さまざまな要因によって起こります。自分の判断だけでは原因を特定することは難しいでしょう。

ただし、自分でケアをして赤い腫れが改善されるのなら心配はありません。ここで紹介するケアを試して、症状が改善されないなら歯医者さんに行きましょう。

3-1 歯ブラシだけでなく、デンタルフロスも使う

歯茎の腫れは、歯茎に細菌がついて汚れていることで起こります。しっかりとブラッシングをして、歯や歯茎の汚れを落とすことで症状が改善することが多くあります。

ただし、歯ブラシだけではどんなに丁寧に磨いても、歯と歯の間、歯茎に溜まった歯垢を取り除けません。

歯みがきのときにデンタルフロスも使うことで、歯ブラシでは取り除くことができない汚れもしっかり取り除くことができます。

デンタルフロスには糸巻タイプとホルダータイプがありますので、自分が使いやすい方を選んでください。

【関連記事】「デンタルフロスの使い方を詳しく図解!正しく使ってお口のケアにつなげよう」

3-2 口呼吸の人は鼻呼吸を心がける

唾液には細菌から歯や歯茎を守るバリアの働きがあります。唾液が少ない人は虫歯や歯肉炎になりやすくなります。

また、口呼吸の人は口内の唾液が乾燥しやすくなります。歯茎のバリアが剥がれてしまって、歯茎が無防備になるので細菌に感染しやすくなるのです。

3-3 間食を控え、食べたらすぐにケアする

唾液には口の中を浄化してくれる働きがありますが、食後に時間が経ってから働きます。

1日に何度も食事をして間隔を空けなければ、歯垢が作られる時間が増えるので、口内環境は悪化します。なるべく次の食事まで間を空けるよう心がけてください。

食後の30分以内は細菌が特に活発なので、すぐに歯を磨いて口内を清潔にしてあげることが大事です。

どうしても歯を磨けないときや、間食でおやつやジュースを口に入れたときは、ティッシュで歯や歯茎を拭うようにしましょう。

3-4 タバコをやめる

タバコを吸うことが怖い理由は、ニコチンが血管を収縮させて酸素不足にしてしまうことです。

これによって、細菌と戦う免疫力が低下するだけでなく、歯茎の赤みが歯肉炎であった場合も、進行をさらに促進させてしまいます。本人が自覚したときには、改善が難しい状況になっていることが多いのです。

4.まとめ

歯茎が赤くなっても、虫歯のような痛みを感じることが少ないため、症状に気づきにくいかもしれません。

しかし、症状に気づいたときには、すでに改善が難しくなっている場合もあります。毎日チェックすることで歯茎の異常を見逃さないようにしましょう。

歯茎の炎症を改善に導く治療は、歯医者さんで歯垢や歯石を除去してもらうことです。長く自分の歯を使うためには、自分でできるケアを続けながらも、定期的に歯医者さんでチェックしてもらうことも大切です。

歯茎の状態で判断に迷ったら、早めに歯医者さんに相談しましょう。

コメント

単に歯肉に発赤があると言っても歯肉炎から口腔ガンまで様々なことまでが考えられます。定期的な歯科検診が早期発見につながり安心を得る事ができます。自分勝手な判断は避け歯の専門家に任せる事をお勧めいたします。

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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