歯周病と全身疾患の関係とは…糖尿病・動脈硬化との関連性

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歯周病は、「歯を失うリスクが最も高い疾病」です。しかし、最近では「歯周病がもたらすリスクはもっと深刻である」という考え方が一般的になってきました。全身疾患との関連が指摘されているからです。

こちらの記事では、「歯周病と全身疾患の相関関係」を分析してみたいと思います。末永く健康を保つために、口腔環境の重要性を知っておきましょう。

1.歯周病と動脈硬化の関連性

動脈硬化は、「動脈の壁が厚くなって柔軟性を失い、さらに血管が狭くなること」を意味します。悪化すると、最終的には血管が詰まってしまいます。血管の狭窄・詰まりが脳・心臓で起これば生命にかかわります。脳の血管が詰まれば脳梗塞、心臓の血管が詰まれば心筋梗塞の原因になります。

近年、「歯周病が動脈硬化を促進する」という考え方が広まっているのをご存じでしょうか? 要するに、「歯周病は脳梗塞・心筋梗塞のリスクファクターになり得る」ということになります。

1-1 動脈硬化の原因

動脈硬化にはいくつかの原因がありますが、いわゆる「生活習慣病としての動脈硬化」は「血管の壁に脂質が付着すること」で起こります。この種類の動脈硬化を「アテローム性動脈硬化」と呼んでいます。

何らかの理由で血管壁の内膜が傷つくと、血液が内膜に浸透します。すると、血液に含まれる「LDL(低比重リポタンパク)」が血管壁に入りこみます。LDLは一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれている脂質の一種です。

LDLが入ってくると、免疫細胞は「不要なものが侵入してきたから、捕食しよう」という動きをします。具体的には「マクロファージ」と呼ばれる免疫細胞がLDLを取りこみます。大量のLDLを取りこんだマクロファージは、「泡沫細胞」という細胞に変化します。泡沫細胞は事実上、マクロファージの死骸と考えて構いません。

さて、泡沫細胞が大量に集まると、血管内膜で「粥状硬化巣(アテローム)」という塊になり、血管を圧迫・狭窄します。おかゆのようにドロっとした塊なので、粥状硬化巣と呼ばれているわけです。

さらに、血管内膜の傷を補修するために「血小板」が集まって「血栓」ができると、血管はどんどん狭くなっていきます。血小板がつくる血栓は、傷を治すときの「かさぶた」のような存在です。これが血管内にできると、血栓と呼ばれます。

1-2 歯周病が動脈硬化を促進する理由

さて、なぜ歯周病がアテローム性動脈硬化を促進するのでしょうか? 歯周病菌は歯茎から血管内に入りこみ、全身に回る性質があります。歯周病菌の代表格である「ジンジバリス菌」は、血管内で「MCP-1(サイトカインと呼ばれ、炎症を誘発する物質)」の産生を促します。MCP-1はマクロファージを呼び寄せる性質があるので、間接的にアテローム形成をアシストしてしまいます。

また、ジンジバリス菌はマクロファージを泡沫細胞に変える性質があることも知られています。その上、血小板を集めて血栓の生成を誘発する性質まであり、アテローム形成を多面的に促進します。歯周病が動脈硬化の原因になる恐れは、十分に強いと考えて良いでしょう。

動脈硬化が脳血管疾患・虚血性心疾患などの全身疾患を誘発する恐れがあるなら、がぜん、歯周病予防の重要性は増してきます。歯周病は適切な口腔ケアで予防できますから、将来の健康のためにも、定期健診を受けるようにしましょう。

2.歯周病と糖尿病の関連性

糖尿病は、「インスリン(血糖値を下げるためのホルモン)」が正常に分泌されなくなる病気です。一般に「糖尿病」と呼ばれるのは2型糖尿病で、肥満・運動不足などに起因する生活習慣病の1つです。1型糖尿病は生活習慣と関係なく発症する「自己免疫疾患」の1つなので、ここでは言及しません。

2-1 糖尿病が進行すると…

慢性的な高血糖が続くと、血管が糖によるダメージを受けていきます。結果、あちこちの血管が詰まったり傷ついたりして、体内の各組織に問題を起こします。悪化すると、腎臓の「血液を濾過する機能」が低下する「腎症」、目の網膜が損傷する「網膜症」をはじめ、さまざまな合併症を引き起こします。

2-2 歯周病が糖尿病を促進する理由

歯周病菌は、細胞壁の中にエンドトキシン(内毒素)と呼ばれる毒素を持っています。血管内にエンドトキシンが入りこむと、肝臓・脂肪組織などが反応して「腫瘍壊死因子(TNF-α)」を産生します。TNF-αは「インスリンの働きを妨害する性質」を持っていて、血糖値が下がりにくい状態をつくりだすのです。

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3.まとめ

以上のように、歯周病はさまざまな全身疾患を誘発する性質があります。狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病はいずれも生命にかかわる重病です。歯周病の予防・治療をおこなうだけで全身疾患のリスクを下げられるなら、予防歯科を受診する価値は十分にあると思います。将来の健康のために、今一度、歯周病対策を見直してみませんか?

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