歯周病の症状を解説!治療法・感染経路などの知識を総まとめ

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歯がなくなる原因の第1位は歯周病です。抜歯原因の42%を占めていて、第2位の虫歯(32%)よりずっと多いのです。日本人の多くが、歯周病の進行により歯を失っています。

当然、歯を失うのは「重度の歯周病」です。軽度・中等度のうちに手を打てば、歯を失うことを予防できます。そこで、歯周病の症状を知り、悪化する前に治療を受けることが、歯を残していくために重要になるのです。

1.段階別!歯周病の症状を確認

歯周病は進行すると、赤く腫れて出血を起こしたり、歯茎が下がってきたりします。ここでは、歯周病の症状を段階別にわけて紹介することにしましょう。

歯周病_症状_歯茎の変色

歯周病は、「歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)」で進行していきます。そして、歯周病が進行するほど、歯周ポケットは拡大します。そこで、歯周病の進行度を確認するときは、歯周ポケットの深さを計測するのが普通です。

1-1 軽度歯周病

歯周ポケットが4mmくらいなら、軽度歯周病に分類します。軽度のうちに治療すれば、歯周ポケットを3mm以内(正常値)に回復させることも可能です。

◆軽度歯周病の症状
・歯茎がやや赤くなる
・歯茎が腫れて見える
・歯磨きのときに出血する

1-2 中等度歯周病

歯周ポケットが6mmくらいまでなら、中等度歯周病となります。中等度の歯周病では、歯を支えている骨―歯槽骨(しそうこつ)が溶けはじめています。ここで進行を食い止めないと、歯を失うリスクが出てきます。

◆中等度歯周病の症状
・歯茎が赤黒く腫れる
・歯磨きのとき、出血量が増えてくる
・歯茎が下がって、歯が長く見える

1-3 重度歯周病

歯周ポケットが7mmくらいになると、重度歯周病です。歯を支える歯槽骨は半分以上が溶けていて、歯を失う寸前まできています。

◆重度歯周病の症状
・歯茎がぶよぶよと腫れる
・口臭が強くなる
・歯がグラグラと揺れはじめる

2.歯周病の症状を食い止める!主な治療法

次に、歯周病の治療法を紹介したいと思います。軽度・中等度・重度の進行度合によって、治療方針は変わってきます。進行度別に、主な治療法を解説することにしましょう。

2-1 軽度歯周病⇒スケーリング

軽度の歯周病に対しては、スケーリングをおこなうのが普通です。「スケーラー」という器具で、歯周ポケットの歯石を取り除きます。歯石は歯周病菌の棲み処になるので、「歯石除去=歯周病菌の減少」となります。

歯周病_症状_スケーリング

2-2 中等度歯周病①⇒ルートプレーニング

中等度の歯周病なら、ルートプレーニングをするのが一般的です。歯周ポケットのより深いところまでスケーリングした上で、歯根(歯の根元)表面をなめらかに整えます。歯石を除去すると同時に、再度の付着を防ぐわけです。歯周ポケットの深い部分を治療するので、麻酔を使うこともあります。

2-3 中等度歯周病②⇒歯周ポケット掻爬術(そうはじゅつ)

歯周組織が炎症を起こしている場合などは、歯周ポケット掻爬術をおこなうこともあります。麻酔をして、歯石のほか、汚染セメント質・炎症組織を掻き出します。汚染セメント質は「歯周病菌などに汚染された歯の表層」、炎症組織は「炎症を起こしている歯茎」です。

2-4 重度歯周病⇒フラップ手術

歯周ポケットの5mmより深い位置に歯石があると、普通の方法で除去するのは困難になります。そこで、麻酔をかけて歯茎を剥がし、歯の根元を見ながら歯石などを取り除きます。これを「フラップ手術」または「歯肉剥離掻爬術」といいます。

3.歯周病になる原因とは?

歯周病の有病率は、20歳代で約7割、30~50歳代で約8割、60歳代で約9割…と増えていきます。一方、生まれてすぐの赤ちゃんの口の中に歯周病菌はいません。ということは、何らかの理由で歯周病菌が入ってきて、定着しているわけです。

外から入ってきた細菌が定着して、歯周病になる…。要するに、「歯周病菌はうつる」という結論になります。

3-1 歯周病は感染症の1つ

歯周病菌は、1種類ではありません。「歯周病の原因になる細菌」を全部ひっくるめて、歯周病菌と呼んでいます。10種類を超える歯周病菌が存在しますが、ここでは3種類を紹介しましょう。

ポルフィロモナス・ジンジバリス

歯周病菌のなかで、もっとも代表的な存在です。歯周ポケット内部に付着する力が強く、細菌の棲み処である「バイオフィルム」を構築します。歯周組織を壊すほか、歯槽骨が溶けるのを促進する働きもあります。歯周病患者の60~70%くらいから、ジンジバリスが見つかります。

トレポネーマ・デンティコラ

同じく、歯周病患者の60~70%くらいから見つかる細菌です。歯周ポケット周囲の歯肉組織だけでなく、血管の中にまで入りこみます。

プレボテラ・インターメディア

「血を養分にする」という性質を持った歯周病菌です。女性ホルモンを好むので、血液中の女性ホルモンが増える妊婦さんの口の中で増えやすくなります。妊婦さんの歯周病を引き起こす主な原因です。

アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス

歯茎の内部まで入りこみ、組織を破壊する歯周病菌です。若い患者さんの歯槽骨を急速に溶かしていく「侵襲性歯周炎」に関連している…と考えられています。

ジジバリスは夫婦間・親子間など、長く一緒にいる人たちの間で感染することがわかっています。また、アクチノミセテムコミタンスは大人から大人にはうつらず、「大人から子供にだけ感染する」という性質を持っています。

3-2 母子感染が代表的な感染経路

生まれたばかりの子供は、歯周病菌・虫歯菌を持っていません。外部から侵入することで、歯周病菌・虫歯菌に感染します。最大の感染経路になっているのは、母子感染です。「食器の共有」「子供へのキス」などが、主な感染原因になります。

4.歯周病を放置した場合の危険性

歯周病を発症すると、全身にも悪影響を及ぼすといわれています。歯周病に関連しているとされる病気には、たとえば次のようなものがあります。

4-1 糖尿病

糖尿病の患者さんは、歯周病の併発するリスクが高くなります。糖尿病が悪化すると歯周病にかかりやすくなり、歯周病が悪化すると糖尿病にかかりやすくなる…といった相関関係が知られています。

4-2 狭心症・心筋梗塞・脳梗塞

「歯周病菌」「歯周病菌が発生させる毒素」は、血流に乗って血管・心臓の弁などに悪影響を与え、脳疾患・心疾患の発症リスクが高くなると考えられています。

4-3 早産・低体重児の出産

歯周病にかかっている妊婦さんは、かかっていない妊婦さんに比べて早産や低体重児の出産の確率が高くなるといわれています。歯周病の炎症物質が、へその緒を通じて胎児の成長に悪影響をもたらすことが原因と考えられていて、歯周病の症状が重ければ重いほど、早産のリスクは高まると言われています。

5.まとめ

歯周病は歯を失う原因になるばかりでなく、全身疾患にも関与しているのではないか…と考えられています。口の中はもちろん、全身の健康を維持するためにも、早期治療を心がけましょう。痛みなどの自覚症状が乏しいので、定期的に歯科健診を受けることが第一です。

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