出っ歯を矯正したい!種類別・矯正方法のまとめ【歯の矯正読本】

出っ歯を矯正したい!種類別・矯正方法のまとめ【歯の矯正読本】

「出っ歯」が影響するのは、見た目の問題だけではありません。出っ歯の部分は上下の歯がぴったりと噛みあわないので、口をきちんと閉じるのが難しくなります。結果、前歯周辺が乾燥し、ドライマウスを招くケースもあります。

こちらの記事では、見た目だけでなく機能的な問題を起こすこともある「出っ歯」の矯正方法をまとめることにしました。「出っ歯がコンプレックスになっている人」はもちろん、「出っ歯に起因する噛み合わせの問題に悩んでいる人」も、ぜひ参考にしてください。

この記事の目次

1.「出っ歯」を矯正するには、どんな方法がある?

まず、「出っ歯」の正式名称は、「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」または「下顎遠心咬合(かがくえんしんこうごう)」ですが、ほとんどの人にとって耳慣れない言葉だと思いますので、記事内では「出っ歯」という俗称で統一します。

「出っ歯」を解消するためには、歯列矯正が必要です。ただ、近年は歯列矯正にもさまざまな手法が出てきました。そこで、まずは「出っ歯を矯正するために用いられる主な方法」を紹介したいと思います。

1-1 ワイヤー矯正

ワイヤー矯正というのはベーシックな矯正方法です。歯にブラケットという器具を取り付け、ブラケットにワイヤーを通して歯を引っぱります。

ワイヤー矯正のメリット
・歯を動かす力が強く、重度の出っ歯にも対応できる
・普及率の高い手法なので、多くの歯科医院で実施可能
・矯正の中では、費用が安い部類
・見た目だけでなく、噛み合わせ自体を整えられる

ワイヤー矯正のデメリット
・歯の表面にブラケットをつけるので目立つ
・ブラケットに食べ物が挟まりやすく、虫歯リスクが高い
・装置が口腔内粘膜を傷つけることがある
・矯正に際して、抜歯を必要とすることも多い

1-2 舌側矯正

舌側矯正は、歯の裏側にブラケットを装着し、ワイヤーで引っぱる矯正法です。別名で裏側矯正と呼ぶこともあります。ブラケットを装着する場所は異なるものの、歯を動かす原理はワイヤー矯正と同じです。

舌側矯正のメリット
・裏側にブラケットをつけるので、外見的にはわからない
・歯の裏側は虫歯になりにくいので、表側矯正より虫歯リスクが低い
・裏側は口腔粘膜に密着しないので、口腔内を傷つけるリスクが低い
・見た目だけでなく、噛み合わせ自体を整えられる

舌側矯正のデメリット
・表側矯正に比べて、費用が高い
・表側矯正に比べて、矯正期間が長くなる
・技術的に複雑で、実施できる医療機関が限られる
・ブラケットが舌にぶつかるので、違和感が大きい
・矯正に際して、抜歯を必要とすることも多い

1-3 マウスピース矯正

マウスピース矯正は、着脱可能なマウスピースを用いて矯正する手法です。マウスピースは透明なので、装着していても外見的には目立ちません。

マウスピース矯正のメリット
・透明の器具を使うので、外見的に目立たない
・着脱可能なので、食事・歯磨きに悪影響が及ばない
・歯を動かす力が弱いので、痛み・違和感が少ない
・矯正に際して、抜歯することはない
・見た目だけでなく、噛み合わせ自体を整えられる

マウスピース矯正のデメリット
・歯を動かす力が弱いので、重度の出っ歯は矯正できない
・着脱可能なので、装着を続けるのに本人の意志が求められる
・抜歯することはないが、一部の歯を削る場合がある

1-4 部分矯正(ワイヤー)

部分矯正は、前歯だけを矯正して、出っ歯を解消する方法です。ワイヤー矯正と同じ方法ですが、ブラケットを装着するのは前歯だけです。ただ、前歯だけを動かすので、全体の噛み合わせを機能的に整えることはできません。

部分矯正(ワイヤー)のメリット
・歯を動かす力が強いので、前歯の並びがデコボコでも矯正可能
・部分矯正の場合、費用が大幅に安くなる

部分矯正(ワイヤー)のデメリット
・ブラケットに食べ物が挟まりやすく、虫歯リスクが高い
・見た目は整うが、噛み合わせが良くなるわけではない
・矯正に際して、抜歯を必要とすることも多い

1-5 部分矯正(矯正用インプラント)

重度の不正咬合がある場合、矯正用インプラントを用いることもあります。これは、小さなインプラントを埋め込んで、「インプラントを支点としてワイヤーで歯を引っぱる」という方法です。固定されたインプラントを利用し、歯を強く引っぱるのが特徴。歯を動かす力を強めることができます。

部分矯正(矯正用インプラント)のメリット
・歯を動かす力が非常に強く、重度の出っ歯を効率的に矯正できる
・短期間で大きく歯を動かせる場合がある
・抜歯をせずに歯を大きく動かせるケースもある

部分矯正(矯正用インプラント)のデメリット
・インプラントの埋めこみで、外科的治療を要する
・ワイヤー矯正と併用するので、費用が高くなる
・見た目は整うが、噛み合わせが良くなるわけではない

1-6 セラミック矯正

セラミック矯正は、厳密には「矯正」ではありません。出っ歯になっている歯を大きく削り、セラミック製のかぶせ物をする手法です。出っ歯になっている部分を削り、代わりに「まっすぐ伸びた白いかぶせ物」を装着することになります。

セラミック矯正のメリット
・セラミック製のかぶせ物に取り換える処置なので、1日で完了する
・人工物を入れる処置なので、歯の形状・色合いを指定できる

セラミック矯正のデメリット
・健康な歯を大きく削るので、歯の寿命が縮まる
・神経を抜く場合も多いので、将来的に歯を失うリスクが高まる
・セラミックのかぶせ物には、10年ほどで寿命が来る
・見た目は整うが、噛み合わせが良くなるわけではない

2.出っ歯を矯正すると、機能面でもメリットがある!

軽度の出っ歯は「見た目の問題」であり、「本人のコンプレックスになっているかどうか」が治療するかどうかの基準になります。しかし、重度の出っ歯になると、「機能的な問題」が出てくるのをご存じでしょうか?

出っ歯が影響する機能的問題

・虫歯・歯周病リスクが高まる
・口臭が悪化しやすくなる
・発音に悪影響を与える
・顔をぶつけたとき、前歯が折れやすくなる

出っ歯の状態だと、上下の前歯が噛みあいません。そのため、いつも口が少し開いている状態になります。結果、口腔内が乾燥して、ドライマウスのような症状をきたします。唾液には殺菌作用があり、虫歯菌・歯周病菌の増殖を抑える働きをしています。

唾液がすぐに乾燥してしまうと、口腔内で細菌が繁殖しやすくなるのです。細菌が増えやすい口腔環境だと、虫歯・歯周病リスクも増大しますし、口臭も悪化しやすくなります。

そのほか、前歯の裏に舌を当てて発音する「サ行」「タ行」の発音が困難になるなど、発声への悪影響も見逃せません。また、顔をぶつけたときに「前歯を折る」「前歯が口腔粘膜に刺さる」などの大けがを負いやすくなるリスクもあります。

以上から、重度の出っ歯の場合は「機能的な影響」も考慮した上で、矯正するかどうかを検討してみてはいかがでしょうか?

3.まとめ

矯正方法の多様化により、それほど費用をかけずに「出っ歯」を解消する方法も出てきました。重度の不正咬合は「機能的な影響」も無視できませんから、矯正治療を考慮してみても良いと思います。前歯だけの部分矯正であれば、費用・期間とも負担が少ないので、ぜひ、矯正歯科に知見を持つ歯医者さんに相談してみましょう。

 

先生からのコメント

外科的な方法もあります。症状がひどい場合は上顎骨の一部を除去して、前をつめます。1ヵ月くらい入院が必要です。軽い場合は歯の周りの歯槽骨に小さな穴を開けて全体を無理やり下げる方法です。歯科口腔外科専門の先生に相談してください。

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住所:東京都葛飾区お花茶屋2-5-16
電話:03-3601-7051
執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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