マウスピース矯正の値段の目安と特徴も交えた種類別の費用

マウスピース矯正の値段の目安と特徴も交えた種類別の費用

矯正治療は、特定のケースを除き、基本的には保険適用外となります。

そのため、治療費は高額となることが多いのですが、マウスピース矯正は、ワイヤーを使用したブラケット矯正よりも、一般的に安価な矯正方法とされています。

この記事では、マウスピース矯正の値段の目安や種類別の特徴、メリット・デメリット、注意点などを紹介しています。

また、子どものマウスピース矯正についても触れているので、小さな子どもがいる親御さんも、ぜひ参考にしてください。

この記事の目次

1.マウスピース矯正の値段の目安

1-1 マウスピース矯正の値段の目安

マウスピース矯正の値段は、上下顎の場合、150,000円~1,200,000円程度(※)と幅広くなっています。

マウスピース矯正で使われる装置にはいくつかの種類があるため、また、保険適用外の自由診療になるケースが多く、歯医者さんごとに値段の設定が異なるためです。

部分的に矯正するのか、歯列全体を矯正するのかといった範囲によっても値段が変わってきます。

1-2 マウスピース矯正の値段に含まれるもの

マウスピース矯正の値段に含まれているのは、マウスピースのほか検査料、診断料、型取り費用、メンテナンス・調整費用などが含まれていることがあります。

ただし、どの費用が含まれているかは歯医者さんによって異なるため、マウスピース矯正を始める前に確認しておくことをおすすめします。

2.マウスピースの値段とタイプ別の特徴

マウスピース矯正に使われている装置には、国内外の各メーカーが作製したさまざまな種類のものがあります。
マウスピースの値段とタイプ別に特徴を紹介します。

2-1 値段:10万円~おこなえるマウスピース

10万円程度からおこなえるマウスピース矯正は、1~2本程度の比較的軽い歯列矯正に用いられることが多いです。

コンピューターによる解析といった特殊な検査をおこなわない分、費用を安く抑えられます。
食事と歯磨き以外は、24時間の装着が望ましいとされています。

15万円程度からおこなえるマウスピース矯正は、主に前歯の部分的な歯列矯正に用いられることが多いようです。
歯型は毎回採ることになりますが、マウスピースの交換時期は4~6週間と比較的長く設定されているため、通院回数を抑えることができます。

2-2 値段:40万円~のマウスピースは種類が豊富

40万円程度からおこなえるマウスピース矯正は、種類が豊富にあります。

◆寝ている間に装着できるマウスピース

1日8~10時間程度の装着で済むため、寝ている時間を矯正の時間に充てることができるものがあります。
抜歯をともなう矯正にも対応できますが、その場合費用は100万円~と、高額になることが多いようです。

◆前歯や軽度の矯正に向いているマウスピース

前歯に重点を置いた矯正や、軽度の歯列矯正に向いているマウスピースもあります。
歯型を取ったあとに3Dスキャナーを用いて歯の移動量をシミュレーションするため、より結果が期待できるマウスピースが作製できるとされています。

3~4週間のサイクルで新たに歯型を採り、マウスピースを交換しながら矯正を進めていきます。

◆歯型を採る回数が少なくて済むマウスピース

治療前の歯型をベースにして歯の移動量をシミュレーションし、矯正を進める過程で必要な、すべてのマウスピースを作製できるものもあります。
その都度、歯型を採るといった負担が軽減できます。

矯正期間中は、厚みの異なるマウスピースで徐々に矯正していきます。

◆日本製のマウスピース

国内の矯正専門歯科技工所で作られるため、最短10日程度でマウスピース矯正を始められるといった特徴があります。

10日ごとにソフト・ミディアム・ハードとマウスピースの強度を変え、30日ごとに歯型を採って新たなマウスピースを作製する、というサイクルを繰り返します。

2-3 マウスピース選びに迷ったら

どのマウスピースを扱っているかは、歯医者さんによって異なります。
また、患者さんの歯の状態や、どこ(場所)を矯正したいか、どの程度(範囲)矯正したいか、といった希望によって推奨されるマウスピースが変わってきます。

まずは歯医者さんを受診して、自分の希望を伝えると同時に、どんなタイプのマウスピースが合うか相談してみましょう。

3.マウスピース矯正のメリット・デメリット

マウスピースにはさまざまな種類がありますが、共通するメリットやデメリットがあります。
矯正を開始する前に把握し、選ぶ際の参考にしましょう。

3-1 マウスピース矯正のメリット

  • 透明なので見た目を気にせず矯正できる
  • 装着時の痛みや違和感がブラケット矯正と比べて少ない
  • 食事や歯磨きなど外したいときは自分で取り外せる
  • 矯正期間中でも虫歯の治療が可能(最初に歯型を取るタイプは虫歯治療後が望ましい)
  • 矯正期間中でもホワイトニングができる
  • 金属アレルギーの人でも使用できる

3-2 マウスピース矯正のデメリット

  • 1日20時間程度と装着時間が長いものが多い
  • 抜歯をともなうような症例には向いていないものが多い
  • 奥歯の矯正や複雑な矯正、歯を大きく動かす矯正などには不向き
  • 自分で取り外せるため時間の管理が苦手な人は矯正を怠りがちになる
  • 決められた時間装着しないと治療期間が延びることがある
  • 定期的に歯型の採取が必要なものは通院回数が多くなる

3-3 マウスピース矯正を受ける際の注意点

日本矯正歯科学会は、カスタムメイドのマウスピース型矯正装置についての注意事項を、ホームページに掲載しています。

それによると、マウスピース型の矯正装置に関する臨床的研究はまだ少なく、身体への影響や有効性が科学的に高いレベルで明らかにされるまでにはいたっていないようです。

治療結果は歯科医師の責任となるため、治療を始める前にメリット・デメリット、代替治療法といった説明を十分に受け、理解および納得した上で同意することが大切であるとしています。

【参考】日本矯正歯科学会 アライナー型矯正装置による治療指針 一般公開にあたって

4.子どものマウスピース矯正

子どもの乳歯が残っている時期(2歳~小学生頃)の矯正には、床矯正(しょうきょうせい)とマウスピース矯正があります。

床矯正とは、口の中に器具を装着し、顎や口の容積を広げることで歯が並ぶスペースを作り、歯並びを整えるよう動かしていく方法です。

床矯正よりも、異物感や痛みといったリスクも少ないとされるマウスピース矯正は、欧米でも子どもの矯正方法として主流になっているようです。

4-1 子どものマウスピース矯正のタイミング

乳歯が残っている時期にマウスピース矯正を開始することで、治療の成果が大きくなる可能性が高いとされています。

具体的には7歳(小学校1~2年生)頃までに歯並びをチェックしておくことが良いとされています。

しかし、歯の生える時期や顎の骨の成長度合いといったことには個人差があります。
そのため、まずは歯医者さんを受診して、マウスピース矯正が可能か、どのタイミングで開始するのが良いか、といったことを相談してみましょう。

4-2 子どもにかかる負担が少ない

子どものマウスピース矯正は、年齢や歯の生え方、顎の骨の成長度合いといった条件で異なりますが、就寝時の装着と日中1時間程度が多いようです。

起きている間の装着時間が短いため、子どもにかかる負担が少なくて済みます。

4-3 床矯正より安く済むケースもある

矯正治療は、特定のケースを除いて保険適用外となります。
歯医者さんによって、また、使用する器具の種類や矯正する範囲などによって費用が異なります。

ただし、床矯正では、症状によってワイヤーによるブラケット矯正に移行することがあり、その場合、費用が高額となってしまいます。
そうしたケースと比べると、マウスピース矯正の方が安く済む場合もあるようです。

5.まとめ

透明で目立たないマウスピース矯正は、見た目が気になる人や金属アレルギーの人、人と会うことが多い仕事をしている人など幅広い層が興味をもっています。
マウスピースにはさまざまな種類があり、それぞれ値段や特徴、向き・不向きなどが異なります。

まずは歯医者さんを受診して、自分の希望に沿うマウスピースがあるかどうか相談してみましょう。
また、マウスピース矯正を始める前に、先生からメリットやデメリット、代替治療法といった説明をしっかり受け、理解と納得をした上で治療するかどうか検討しましょう。

プロフィール&経歴

目指したきっかけ:医療には関心あったが、やはり一番は両親の教育が大きかったのではないかと思う。
やりがい:大学のときは他の職種とは違う特殊性に惹かれていたのですが、実際歯科医になってからはお礼を言われる部分です。

松本歯科大学卒業後、同病院勤務。
琉球大学医学部付属病院歯科口腔外科にて
顎顔面領域悪性腫瘍治療に従事。
その後都内複数歯科医院勤務後、
麻布シティデンタルクリニックを開院。
現在に至る。

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。

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